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男
ピピピ、ピピピ
煩いアラームが鳴っている。
クソっ、もう朝か。まだ寝ていたのにこの世界というやつはお構いなしに廻ってやがる。
布団を出る。目と口がカラカラだ。目薬どこいったっけな。
カーテンを開けるとそこにはいつもと同じ景色が拡がっていた。
身支度を済ますと家を出る。はやくしないと講義が始まっちまう。
そう思いながら家を出た。
「えーここがこうでー」
大学では名前も知らない講師が偉そうに講義をしている。
まったくつまらない授業だ。俺が趣味の話をするほうがよっぽど有意義だ。
こうしてつまらぬ日々を大学では過ごしている。
親からの仕送りを受け、親の給料で大学に通い、こんな生活を送っていて何になるのか。
父は小さいころに亡くなり、裕福な家庭ではなかったが母は大学に進学させてくれた。
バイトしたところではした金しかもらえない。
時間だけが余っている、そんな贅沢な時間だ。