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バグ取り日和(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
9/25

9.

「しっかし、呑気よねぇ」


 マリアの座席の右側に座るタケルが、給湯室の方へ顎を向ける。


 そこには、金属製の弁当箱を手にして給湯室へ向かう部長の姿があった。


「戦いの後で『ま、こうなるよな』ってヘラヘラした顔して、夕方のお弁当食べるのよ」


「弁当いつも2個持ってくるって、作る方の奥さん大変ですね」


「そうだ。マリアちゃんの前の部署で、現地のデバッグにスキー担いでいった疑惑の上司がいたじゃない?」


 マリアは、四十代の上司Zの顔を思い出した。


 彼女が見つけたバグを「通らないルートのバグだから」とか「費用がない」とかで修正しなかった。しかし、バグが忘れ去られた後でそのルートは通るように修正されてしまった。それで、サービスイン後にそのバグが原因でシステムダウンが発生し、Zは雪深い現地へシステム改修に呼び出されたのだ。


「いましたねぇ……」


「その上司、あの部長の元部下よ」


 マリアは、部長の後ろ姿を二度見した。


「ねえねえ、マリアちゃん。その上司って、本当にスキー担いで行ったの?」


「本人は否定していましたが、現地にいた担当者は見たって」


「担いでいたところ?」


「いえ、滑っているところ」


「やーねぇ。デバッグに行ってスキー滑ってるの? なら、バグを仕込んで『いやー、ダウンしましたか』ってスキーを担いでデバッグついでに滑りに行くって噂も本物かもね」


「ホントですか? それ、尾ひれ付いていません?」


「聞いてないの? 冬になるとよく現地に呼び出されるじゃない? きっとそうだって話よ」


「ひどい話ですね」


「それはそうと、そろそろ始まるわよ」


「ええ、そうですね」


「「弁当テロ」」

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