18.
マネージャーHが協力会社社員を紹介するが、その紹介された人物の姿が見えないので、みなはキョトンとする。
自社の社員の様子がおかしいことに気づいたHは振り返り、ドアの後ろに隠れていた彼女を呼び出した。
すると、黒に身を包んだ中学生くらいの背丈の少女が現れた。
「ゴスロリ……」「マジで……」「イベント会場で見るのと同じ……」「お人形さんみたい……」
ヒソヒソ声がマリアの周りから聞こえてくる。
マリアは、片付けているときに思い描いていたパートナーさんの姿とのギャップがあまりに大きく、目が点になった。
カンナは、赤髪のロングヘアで黒縁の眼鏡をかけている。丸顔の雪肌が西洋人みたいで、チークも口紅も入れていない。
なんといっても目を引くのは、黒を基調としてレースとフリルがふんだんに付いた服装。これは、ゴシックロリータの典型の服装だ。
銀色のイヤリングが揺れている。首から大きめの十字架を下げている。指にはめている銀の指輪は、もしかするとドクロのデザインかもしれない。
――彼女が凄腕のプログラマー。
部屋中のみんながカンナの姿に困惑顔になり、言葉を失った。