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15.
「こうなったら上と相談するわよ。みんなも一緒に来て」
「あのBと?」「無理っしょ」
「いや、その上。マネージャーHさんとこよ」
「でもよ。Hが、Bに任せっきりで放置してたからこうなったんじゃね? 聞く耳あんのか、甚だ疑問系」「入社四年目のお前の言葉なんか、聞くのかよ?」
タケルはニヤッと笑う。
「この業界、三年もいればその道のベテランよ。さ、行きましょ」
「行くって誰が?」「どこまで?」
「どこまで? 範囲のこと? 手の空いている人なら誰でもいいわよ」
タケルの言葉に、周囲にいた五人がバラバラと立ち上がった。その中にタケルの先輩もマリアもいた。
「あら、先輩まで。いいのかしら?」
「タケルにだけ任せるわけにいかんだろう?」
「ありがとうございます」
一礼して笑みを浮かべるタケルだったが、内心は『そういうことは先輩が率先して進言すべきことじゃないの?』『若手が動いてから腰を上げるなんて、恥ずかしくないの?』と不満げだった。