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バグ取り日和(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
13/25

13.

 2年目のマリアは、今いる部署でもピカイチのデバッガー。


 新人研修後にコーディングを担当したが、いかんせんキータッチが遅すぎて仲間の足をひっぱるのでデバッグ要員に回された。


 そうしたら、デバッグに目覚めたらしく、ソースコードを斜め読みしてもバグを見つけることが出来る特技まで身につけた。


 仕様書そのもののバグも見つけることが出来るのだから恐れ入る。


 彼女が点検すると、後工程に残るバグの残存率が0.1%以下になる。


 なので、彼女へ点検依頼が回されるモジュールは多い。



 ところが、今回はさすがのマリアもミスが連発した。


 あまりに単純なバグが多すぎて、指摘の作業に時間が取られるからだ。


 それは、コードを書いたら読み返さずにマリアへ回すことが増えたから。時間もないし、どうせマリアが完璧にするだろうと。


 マリアは長時間の作業が続き、疲労も重なり、作業効率が低下する。バグの見落としが増える。


 それに気づかないチームの仲間は「マリアのチェックが終わったから」と完全に信用して再チェックなんかしない。



 ――特定の要員に頼っていたツケが、ここで回ってきた。



 マリアが所属するチームのモジュールはいつものようにほぼ完璧だと思って結合し、他システムと対向試験をした別チームは、システムがまともに動かず動揺する。


 納期まで時間がないから、試験のやり直しの無駄稼働は痛い。


 さらに悪いことに、プログラム修正後にやっと動き出したと思ったら、対向試験をするチームにまで今回のごり押し仕様変更が伝わっていなかったというとんでもない事態が露見した。


 変更前の古い仕様に基づいた試験項目が未だにまかり通っていて、仕様変更で修正されたモジュールが駄目出しで差し戻されるという滑稽な事態が発生した。



 ――ついに、開発の足踏みが始まった。

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