表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バグ取り日和(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
12/25

12.

 マリアは、点検を依頼されているモジュールのコードがあまりにも単純バグが多くて呆れ、さらにコピーされてばらまかれた同じバグを修正する落ち穂拾いに飽きてきて、プロジェクトリーダBのところへ相談しに行った。


 ノートパソコンの画面に顔を近づけキーボードをバリバリ叩いていらつく三白眼のBは、四十代の切れ者といった風体で、近寄りがたい雰囲気を周囲にまき散らしている。


「Bさん、ちょっとよろしいでしょうか?」


 Bは画面に視線を貼り付けたまま、キーを連打する。


「よろしかぁないけど、何」


 腰が引けるが、マリアはグッと我慢した。


「あのー、あまりにバグが多くて――」


 Bは、チェッと舌を鳴らすが、一向にマリアの方を向かない。


 少しの沈黙の後、ドキドキするマリアに返ってきた言葉は、


「時間がかかってもいいから()()()


 Bは、自分が向き合うモニターに向かって「やって」に力を込めて言葉を吐く。


「コピーされて同じバグが大量に――」


grep(グレツプ)かけてsed(セツド)で置換すりゃいいじゃん」


「単純バグが――」


「単純なら見つけんの楽じゃん?」


「それが――」


「何心配してんの? 残業代払わないって言ってないんだから()()()


 取り付く島もないマリアは、一度もこちらを見なかったBに「失礼しました」と蚊の鳴くような声を残してその場を去った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ