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脱皮  作者: 陳 建器
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準二ート青春譚

 吉田メンタルはダメな男だ。料理も掃除もコミュニケーションも愛想笑いも何もかもうまくできない。学生時代は教室の隅でうなだれて本を読んで女子に気持ち悪いと言われていた。大学卒業間近になんとか就職できたが、社会人になってからも疎まれた。仕事は全く覚えられない、敬語もうまく使えない。ぼそぼそと話し客の怒りを買い、会社をクビになった。転職活動は全く上手くいかず未だに就職できない。いまアルバイトしているバーに至ってももうすぐ3か月になるのに酒の名前すら覚えられず暇なのにシフトを減らされている。

「明日、ゲーセン行かねぇ?」

 大して上手くないのに暇さえあればゲームセンターに行く機会を常に伺っている。今は常に暇なので会うと必ず誘われる。一人では行かないらしい。寂しいから。もうすぐ24歳になる成人男性が求められる精神力には程遠い。小学校5年生とどっこいどっこいだろう。

「オレさぁ、ビッグになりてぇ」

 中学2年生が言うようなことを言う。だが、3学年も進級した。急成長だ。

 吉田はすることがないのか、ずっとテレビに釘付けだ。テレビの中ではワイドショーの司会者が結論の出ない問題に講釈を垂れている。

「やっぱ、ベッキーには頑張ってもらいたいよ。昔から応援してたんだよね、オレ。」

 お前も頑張ってくれ。吉田はワイドショーに飽きたのか、チャンネルを変える。

「キムラ緑子っていままで何やってたんだろうね。こんないい女優いないよ。」

誰が誰に対して何をいっているのか。準二―トの自覚を持て。もう吉田はテレビに飽きてテレビを消した。

「もうさぁ、SEXってダサいよね。SEXはほんとうにダサい。まだ流行ってんだ、アレ」

童貞は黙れ。急に何を言う。


「そう言えば、小林のバンド、8月にメジャーデビューするらしいよ」

「ふぅん」

吉田は少し真面目に少しバツが悪そうに生返事をする。

「すごいよな、小林。すごいよな。」

念を押すように吉田に伝える。

「そうだな」

「でも、あいつがな。あいつでも出来るんだな。でも、なんであいつができるんだよ。コツコツすこーしずつ、すこーしずつ努力してたからか?運がよかっただけだろ。」

吐き捨てるように言う。その場でYoutubeを開き吉田に小林のバンドの曲を聴かせた。

「音がズレまくってるよ。全然ダメダメ。小林、こんなんで大丈夫か。メジャーもメジャーだな。クソだな。」

吉田は相変わらず暴言を吐いている。さっきまでボーっとしていた人間が嘘のようにイキイキしている。暴言を吐いてイキイキするのが吉田だ。ひどい人間性だ。

「今度、大宮のサッカー場で小林のバンドがメジャーデビューを記念してコンサートをやるらしい。小林から大塚と吉田にぜひ来てほしいとチケット貰ったんだけど、お前は小林のバンド嫌いだし行かないよな。」

吉田は一瞬虚を突かれたが持ち前の図々しさで立て直し。

「しかたねぇな。小林がそこまで言うなら行くしかねぇな。」

と照れながらこたえた。


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