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3-4:ドラゴニュートの少女が年下だった件について

教授コメント

『同じ長寿の種族であるエルフとドラゴニュートの年齢による成熟の比較は興味深いところです』

 水も滴る良い男という言葉は何も本当に水を滴らせているわけじゃなくて、良い男が水を滴らせていたら色っぽいから素敵って意味なんだと思うよ。

 だから、僕が水を滴らせていても出てくる形容詞は『濡れ鼠』だよね。


「だ、大丈夫、セカイ?」


「うん、平気だよ」


「シャーロット、やりすぎ」


「はあ? あたしが悪いって言うの?」


「川に落とす必要はない」


「それはっ……悪いと思ってるわよ」


 シャーロットは尻すぼみに声を小さくしていく。

 あ、川に落としたのは悪いと思ってるんだ。


「で、でも、裸を見られたらこれくらいして当然でしょ?」


「しない」


「私も、しなかったかな」


「しないの⁉」


 シャーロットはアルメルとナディアの回答に驚いている。

 うん、それはシャーロットの反応の方が正しい気がするよ。


「変な奴らに襲われるし、今日は厄日ね」


 シャーロットはどこか疲れた様子を見せる。

 あの後、エルにフェルランから警備隊の人を呼んできてもらったんだよね。

 盗賊たちは警備隊に引き取られたんだけど、話を聞く限り、どうも彼らは誰かに頼まれて僕らを襲ったらしい。

 それが誰かと言うのは結局白状しなかったんだけど、誰かが僕らを狙っているということだけは確かだよね。


 あ、シャーロットの服はその時にエルに買ってきてもらったんだ。

 まさかフリルのついたワンピースを買って来るとは思わなかったけどね。


「でも、シャーロットだけじゃなくて、セカイも狙われてるなんて驚きよね」


「え、そうなの?」


「だって、人間が亜人を狙うなんて珍しくないもの」


「私も捕まった」


「確かにそうかも」


 この世界の人間が亜人を尊重しているようには見えないし、そうなるとエンシェントドラゴンなんていうのは捕まえれたら高値で取引されそうだよね。


「ん、その点で行ったら異世界人なんてもっと高く売れそうだけど」


「セカイは異世界人だけど人間じゃない。普通の人には違いなんて分からないわよ」


「そっかー」


「だから、不思議」


 僕のことを異世界人だと知っている誰かが依頼した?

 それも一緒に居るシャーロットの正体も知ってる人間……そんな人いるのかなあ。


「もー、疲れたー!」


「シャーロット、うるさい」


「うるさいって何よ! あたしが疲れたって言ってるんだから、止まりなさいよー!」


「まあ、そろそろ日も傾き始めたし、野宿の準備をし始めても良い頃合いなんじゃないかな?」


「そうだな。暗くなってからでは、何かとやりにくいことも多いだろう」


「分かった」


 僕とエルに宥められ、ナディアは渋々と言った感じで立ち止まった。


「ふん、何よ。あたしの言うことは聞かないのに、こいつらの言うことは聞くんだ」


「貴女のは我儘。セカイのは提案」


「ま、まあまあ、喧嘩はしないで」


「分かった」


「もー、またこいつの言いなりじゃない!」


 ナディアはシャーロットを無視して背負った野営道具を下ろし、準備を始めていく。

 あー、なんでこんなに仲が悪いんだろう。

 シャーロットのお嬢様気質が気に食わないのかな?

 うーん、可愛いものだと思うんだけど、それは僕が男だからそう感じてるのかな?


「セカイ、晩御飯はどうする?」


「あ、それなんだけど、フェルランで貰った野菜を先に使っちゃおうかなと思って」


「生ものは足が早いものね。じゃあ、私、野菜を洗って来るわね」


「一人で大丈夫?」


 昼のこともあるし、アルメル一人で言ってもらうのはちょっと怖いよね。


「なら、私が一緒に行こう」


「エルが行ってくれるなら安心だね」


「じゃあ、行ってくるわね」


「うん、二人ともいってらっしゃい」


 そうしてアルメルとエルを見送り、僕はナディアの準備を手伝いに行く。

 ナディアは鞄から取り出した折り畳みのテーブルを見て首を傾げていた。


「どうしたの、ナディア」


「セカイ、この板はなに?」


「これは折り畳みのテーブルだよ」


「テーブル?」


「ここのボタンを押すと開いて、足が出てくるんだよ」


「ここ?」


 ナディアが側面に付けられたボタンを押し込むとカチリという音と共にテーブルが開き、足が伸びてくる。


「おー!」


 その自動化された一連の動きに背後からシャーロットの感性が聞こえてきた。


「なにそれ、すごいじゃない! どうなってるの、これ!」


 シャーロットは近づいて来て楽しそうに机をペタペタと触り始める。

 無邪気な笑顔を浮かべるシャーロットに、ナディアは驚いたような表情を浮かべる。


「すごいすごーい!」


「シャーロット、貴女いくつ?」


「はあ? いきなり何よ」


「教えて」


「15歳よ。それが何なのよ」


「……」


 ナディアはどこか納得したように頷く。

 何に納得したんだろう?

 シャーロットは15歳って言ったけど、それと関係してるんだよね。


「ドラゴニュートって何歳くらいまで生きるの?」


「何歳って、寿命なんてないわよ」


「え、あ、そうなんだ」


 エルフも寿命はないんだったよね。

 それで、アルメルが100歳で……ん?


「さっきまでごめん」


「な、なによ、いきなり謝ったりして」


「よく一人で歩けた。偉い」


「あ、頭を撫でるんじゃないわよ!」


 ナディアのシャーロットに対する態度がいきなり変わる。

 明らかに優しくなったのは、多分シャーロットが思ってた以上に幼かったからなんだろう。


 だって、アルメルで100歳だよ?

 同じ寿命のない種族なのにシャーロットは15歳って、幼女だよね。

 まあ、外見は幼女そのものだったんだけど、亜人の外見ってあまりあてにならないからね。


「うー、なんなのよ、もー」


 ナディアに頭を撫でられ、シャーロットは口ではそう言いながらもどこか満更でもない笑みを口の端に浮かべていたのであった。


エディルメモ

『属性、幼女が追記されました』


読んでくださりありがとうございます。

よかったら感想、ブクマ、評価などよろしくお願いします。


ちょっとリアルの方で忙殺されていました。

暇になりそうもないので週一更新できるかできないか、くらいになりそうです。

暇になったら一気に更新するつもりなので、少々お待ちください。

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