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2-21:再戦、エンシェントドラゴンが強すぎ件について

教授コメント

『亜人調査レポートのはずが手に汗握るファンタジー小説を読まされていました』



“Aqua Breath”


 ドラゴンのブレスを広範囲の水流が防ぎながら、僕は湿原を駆けあがる。

 森から遠ざかり、火山の方へとドラゴンを誘導していく。


「ていうか、火山まで結構距離があるね!」

『およそ500m西です』


 ぬかるむ足場でドラゴンの攻撃を捌きながら移動するには遠すぎる道のりだね。

 けれど、ドラゴンはそんな足場をものともしない突進でこちらに迫る。


 あー、魔法を使わないで物理できたかー。

 僕としては、そっちの方が対処しにくくて辛いんだよね。


『回避行動、右へ5m』

「おっけー!」


 ある程度まで引きつけて、僕は横に駆け出す。

 ドラゴンが追跡してくるも速度の乗った走りでは曲がりきることはできずに、僕の横を通りすぎていく。


「よし、今のうちだ」


 ドラゴンに背を向け、火山の方へと向かう。

 50m7秒前半の平均的な走りを見よ!


『後方より火球』

「撃ち落とす!」

『了解。音域、低。倍音成分、低。属性付与、土。グランドフォール、起動』


“Ground Fall”


 空中に出現させた巨大な岩石を火球の接近に合わせて振り下ろす。

 威力を軽減しきれず、岩石は砕けるも火球は勢いを無くし霧散していく。

 その砂塵の中を抜け、翼を真っ赤に染め上げたドラゴンが眼前に迫る。


「昨日と同じようにはいかないよ!」


“Quake Impact”


 地面が隆起し、土によって形成された掌が翼を受け止める。

 ドロリと溶けるも、それは粘性によって翼に纏わりつき、徐々にドラゴンの勢いを殺していった。


「もう一発っ!」


“Quake Impact”


 逆サイドに発生したクエイクインパクトがドラゴンの腹部を殴りつける。

 それにドラゴンは苦悶の声を上げ、数歩後ろによろめきながら下がった。


「よし、やっぱりこっちの方が相性がよさそうだね!」


 昨日は火には水が強いなんて安直な考えで属性を選んでいた。

 けど、よく考えると焼け石に水って言葉もあるように、熱が伝わりやすい水を使うのは魔力が同等以上の時じゃないと効果が薄いんだ。


 それほど魔力が乗せられていない火球ならまだしも、最後に見た熱線とか、絶対受けられる気がしない。

 でも、土なら溶けはするけど、あの温度で蒸発することはない。

 液状でも翼に絡みつけばドラゴンの動きを制限できる。


「これなら、正面から行けるかも?」

『ブレス、来ます』


 肌がピリピリとした空気の振動を感じ取った。

 天を仰ぐドラゴンの喉元に魔力が溜まっていく過程が、渦巻く蒸気の流れによって可視化される。

 あ、これはまずいね。

 正面から行けるはずもないよね。


「足元を崩すよ!」

『了解。音域、中。倍音成分、高。属性付与、水。デープスワンプ、起動』


“Deep Swamp”


 ドラゴンは仰いでいた口を勢いよく振り下ろすようにして、ブレスを吐きだそうとする。


 しかし、足元のぬかるみが沼へと変化し、脚を取られたドラゴンは体勢を崩す。

 圧縮された熱線は僕とは明後日の方向に放たれ、上空の雲を蹴散らしていった。


 え、威力ヤバくないですか?

 ミサイルで雲を散らした前例もあるけど、それと同等以上なの?

 本当に戦闘機みたいだね!


「あ、でも、飛ばないから戦闘機よりはやりやすいね」


 ん?

 というか、なんで飛ばないんだろう。

 ドラゴンなんだから、本当は飛べるはずだよね。

 空中から火の玉を落とされるだけで、こっちは辛いと思うんだけど……。


「……もしかして」


 地に足を付けていないといけない理由がある?

 だとしたらそれはなんでだ?


『ドラゴン、接近』

「くっ、考えるのは後回しかな!」

『音域、高。倍音成分、低。属性付与、土。メテオストライク、起動』


“Meteor Strike”


 正面に発生させた岩石を高速度でドラゴンに打ち放つ。

 純粋な質量に任せたその一撃をドラゴンは正面で受け止めながら無理やり迫る。

 ぶつけられた頭部からは少なくない血が滴るも、速度を落とすことなく僕に突進してくる。


 怯みもしないの?

 結構、タフなんだね!


「クエイクインパクト、行くよ!」

『否認。魔力回復にインターバルを要求』

「あ、魔力足りないんだね」


 そりゃそうか。

 あんなに魔法を打ちまくってたら魔力もなくなるよね、そうだよね。


「絶体絶命じゃない?」

『肯定』


 迫りくるドラゴンの翼が焦げる様に赤く染まっていく。

 目に見えてわかるその熱量は周りの大気を歪める。


「最小限の魔力消費で目眩まし、いくよ!」

『了解。音域、低。倍音成分、低。属性付与、風、土、混合。ダストクラウド、起動』


“Dust Cloud”


 粉塵が巻き起こり、視界は一瞬で遮られる。

 僕がドラゴンを見失うと同時に、ドラゴンも見失っているはず。

 その一瞬を利用して、僕はぬかるむ足場を全力で駆け出した。


 目指すは火山。

 そこで、僕はこの戦いに決着を付ける。


「エディル、アイスレガシーの魔力が回復するまでどれくらい?」

『六分と計算』

「六分か……」


 後方でドラゴンの咆哮が聞こえる。

 魔法なしでのチェイスが、これから始まろうとしていた。


エディルメモ

『攻撃系魔法の魔力消費は100です。なお、魔力の自然回復はこの湿原では1分で30です』


読んでくださりありがとうございました!

二回更新の予定でしたが、ランキングに残ってるうちは三回更新を頑張っていこうと思います。

応援のほど、よろしくお願いします!

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