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2-11:挨拶に行ったらドラゴン討伐を依頼された件について

教授コメント

『君はどこに向かっているのでしょうか』


 通された部屋はアルヴェルさんの仕事部屋だろうか。

 入って左右の壁にはぎっしりと本の詰まった棚が並んでいて、中央には二つのソファと長机、そして、その奥にアルヴェルさんが座る大きめの仕事机が置かれていた。


「どうぞ、座ってください」

「あ、どうも」


 そうして僕とナディアはアルメルとユニコーンの正面のソファに並んで腰掛ける。


「ようこそ、我がフェルランへ。郊外の畑は見られましたか? 町ぐるみで行っていますから圧巻の規模だったでしょう」

「そうですね」

「この辺りは火山由来の土壌で、とても作物が育ちやすいのですよ」

「へー」

「この町は火山によって生かされていると言っても過言ではないんです」

「そうなんですか」


 興味ない話題に僕は適当に相槌をうつ。

 だって、亜人のレポートと関係ないもんね。


「ところで、異世界からやって来た、ええと……」

「あ、僕は瀬海といいます」

「ああ、セカイさんですか。セカイさんはどういった目的でこの町へ?」

「ええと、僕はこの世界における人間以外の種族に関する調査を行っていまして」

「はあ、亜人のですか」

「ええ。それで、亜人に関する情報を集めるためにやって来たんですけど……」


 アルヴェルさんは悩まし気に首をひねる。

 ん?

 どうしたんだろう。


「どうかしましたか?」

「いや、助けになりたいのは山々なんですけどね、実は今、このフェルランの町は困った事態に陥っていましてね」

「あ、これ面倒なやつだ」

「何か言いました?」

「いえ、何も」


 頼み事をする気配がビンビンに伝わってくるんだけど、気のせいじゃないよね?

 絶対、情報を教える代わりに労働を要求してくるに決まってるよ。

 流石権力者、汚い!


「この町は火山に生かされているとは言いましたが、今はその火山に脅かされているのですよ」

「火山にですか?」

「ええ。町の南西に位置するピュイ=ド=ムーア火山ですが」

「なんて?」

「ピュイ=ド=ムーア火山です」

「あ、ああ、ムイ=ド=ピューア火山ね」

「ピュイ=ド=ムーア火山です」


 ピュイ……もういいや、火山で。

 地名は地図が教えてくれるから、僕が覚えておく必要はないしね!


「それで、その火山がどうしたんですか?」

「ええ、それが最近、活動が不安定になってきているのです」

「不安定?」

「小さな噴火や、地震などが続いていて、いつ大規模な噴火が起こってもおかしくないのです」

「へえ」


 異世界の人って噴火の前兆を理解してるんだね。


「火山の精霊を鎮めるために僧侶の方々が火山へ向かってくださったのですが」

「ん?」


 火山の精霊?

 僧侶が鎮める?

 あ、ここの火山は僕の知ってる火山と違うみたいだ。

 多分、恐山とかそっち系の山なんだろう。


 え、恐山への偏見が凄い?

 そうかもしれないね。


「なんと間の悪いことに、そこにはドラゴンが暴れていまして」

「ど、ドラゴン⁉」


 凄いファンタジーっぽい!

 ……て思ったけど、僕最初にドラゴンのことスルーしてたね。


「ちょ、ちょっと待ってよ、どうしてこんなところまでドラゴンが下りてきてるのよ」

「ん? どういうこと?」

「ドラゴンの生息地は北にあるアルベス山脈。そこからここまで来るのは稀」

「そうなんだ」


 アルメルの言葉にナディアが補足してくれる。

 なるほど、本来はいないはずの場所でドラゴンが暴れていて困っているというわけだね。


「理由は分かりませんが、火山の精霊の活発化に呼応しているのではないかと、教会の方々は判断されています」


 うん、そこで僕らに頼みがあるんだよね。

 あれだよね。

 多分、僧侶たちの護衛をしてくださいとか、そういうやつだよね?


「どうかセカイさんたちにはそのドラゴンを討伐して頂きたいのです!」


 一番厄介な頼み事だった!


「いや、火山の精霊を鎮めたら済む話なんですよね?」

「最近では近くの森の方にまで下りてきているという噂もありますから、町に危険が及ぶ前に討伐して頂きたいのです」

「なんでそんな頼みを僕に⁉」

「? 異世界人は大量の竜種を手懐けていると聞いているのですが?」

「初耳だよ⁉」


 あれか、戦闘機とかをこっちの人たちが竜だって形容しているのかな?

 そのせいで異世界人にとってドラゴンはペットみたいなものだって思われてるのかな?


 なんてはた迷惑な認識なんだ!


「いや、流石に手に余るといいますか、役者不足といいますか……」

「森に下りてきていた……」

「んん?」


 隣に座るナディアが呟く。

 近くの森……て、ああっ!

 もしかし、ナディアの家があんなことになってたのって、ドラゴンの仕業だったのかも?


「分かりました、引き受けます」

「おおっ!」

「セカイ⁉」


 アルメルが驚いた表情で僕を見つめる。

 まあ、確かに危険だし、勝算もないけど、見過ごすわけにはいかない。

 ……というのはまあ、大義名分だけど。


「いいよね、ナディア」

「私は、別に……」


 何より、ナディアが気になってるっぽいからね。

 僕の目的は亜人との交流。

 ナディアに心を開いてもらえる可能性があるなら、躊躇う理由はないんだ。


「ドラゴンの件、僕らにお任せください!」

「おおっ!」


 そうして、僕らの予定は『亜人情報収集』から『ドラゴン討伐』へと変更されたのだった。


エディルメモ

『恐山とは日本三大霊場が存在する火山です。噴火の記録はありませんが近くには温泉が湧いています。また、イタコが有名です』


今日は4回更新を目標にやっていきたいと思います!


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