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2-7:ダークエルフが笑わない件について

教授コメント

『ダークエルフは本来エルフの森で生まれた種族なんですね。自らをエルフの劣化とみなす自虐的思考は高い理想や抑圧された過去によって生まれたものでしょう』


「穢れているって?」


 ナディアは自分を穢れていると言った。

 でも、僕にはそんな風には見えないんだけどなあ。


「そのままの意味。この肌の色を見ればわかる」

「黒いだけだよね?」

「でも、そこのエルフは白い」


 そう言ってナディアはアルメルを指さした。

 まあ、アルメルは確かにシミ一つない白い肌だってことは知ってる。

 だって見たもん。


「私たちダークエルフは森の穢れを肩代わりした種族」

「穢れを肩代わり?」

「そう。だから、エルフの森を追いだされた。劣る生命だと、醜い魂だと」

「うっ」


 アルメルは申し訳なさそうに俯く。

 同じエルフとして罪悪感を覚えたのかな?

 アルメルが気に病む必要はないと思うけど、それで割り切れないのがアルメルなのかも。


「ユニコーンはエルフの森の神聖さの証。私が乗れば、振り落とされる」

「そうなの?」

『別に気にしたことはないな』

「気にしてないって」

「え?」


 ナディアはキョトンとした表情で僕を見上げた。


「言葉が分かる?」

「僕が、というよりはユニコーンが僕に語り掛けてる感じかな」

「……」


 ナディアは驚きに言葉を失ったのか、口を開けたままで僕を見つめる。

 エルフにとっても、ダークエルフにとってもユニコーンは特別な存在なんだね。


「の、乗ってもいい……」

「さ、手を取って」


 ナディアは恐る恐るといった様子で僕の手を取る。

 ええと、後ろにはアルメルが座ってるから僕の前に座ってもらうしかないね。


「よし、引っ張るよ」


 ナディアが頷き、僕は彼女を抱き寄せる様に引き上げる。

 そうしてナディアは僕に背を預けながら、ユニコーンにまたがった。

 無事に乗れたことを確認すると、ユニコーンはゆっくりと街道を歩き始めた。


「ふわあ」


 ナディアは嬉しそうに感嘆を漏らす。

 拒まれると思っていた幻獣に受け入れられたことが嬉しいんだろうね。

 アルメルもそうだったけど、エルフは森に認められることを重要視するみたいだね。

 だから、森から追放されたダークエルフは自分に自信が無いんだろう。

 奴隷になったことを受け入れていたのも、自虐的な思考がそうさせるのかも?


「どう、ナディア」

「夢みたい」


 ナディアは無邪気な笑みを浮かべる。

 さっきまでどこか達観してたのに、いきなりこんな笑顔を浮かべるの?


 え、ギャップ萌え狙いですか?

 可愛いからって何でも受け入れられると思わないことだね!


「はっ」

「ん?」


 ナディアは僕の顔を見て、緩んでいた顔を引き締めた。

 え、僕の顔に何かついてた?


「どうしたの、ナディア?」

「笑った」

「え、ナディアが?」

「セカイが」

「僕が?」


 そんなはずは……。

 あ、緩んでる。

 手で確認してみたら、僕の頬が緩みまくってる。


「私に笑顔は似合わない」

「可愛かったよ?」

「そ、そんなことない」


 またこれだよ。

 なんでエルフの美少女たちは自分が可愛いことを認識してないんだろう。


「ね、アルメル」

「な、なによ」

「アルメルも可愛いのに否定してたよね」

「なっ! そ、それは……だって、100年も否定されてたし……」

「そうだよ。エルフの価値観に毒されすぎだよ、二人とも」


 確かにエルフにとっては醜いのかもしれない。

 でも、広い世界では二人とも美少女過ぎて僕の肩身が狭いんだよね。


「先に断言しておくよ。ナディアは可愛い! はい、反論はなしで!」

「でも、ダークエルフが笑うのは醜いと、皆が言う」

「皆って誰さ」

「他のダークエルフ」

「そういう閉鎖的な価値観は凝り固まった卑屈でできてるから無視するべきだよ」

「……」


 そういうと、ナディアは黙ってしまう。

 あ、あれ?

 もしかして、言いすぎた?

 怒らせちゃってるかも?


「ご、ごめん。さっき会ったばかりの僕がいきなり偉そうに説教垂れるなんて、気に障ったよね」

「違う」

「違うの?」

「考えてただけ。初めて否定されたから」

「そっかー」


 それっきり、ナディアは黙ってしまう。


 ナディアもまた、アルメルと同じ境遇なんだろう。

 ただ、アルメルとは違ってナディアの場合はそれが普通なんだ。

 だから、ダークエルフの普遍的の価値観に疑問を抱くことすらなかったんだろう。


 笑うことすら醜いと禁じるその自虐的共通認識。

 ダークエルフという比較対象が明確な種族だからこそ生まれた価値観。

 そんなものに縛られて笑えなくなるのは勿体ないよね。

 可愛い女の子の笑顔は全人類の共有財産なんだから。


「アルメルー」

「なにー」

「笑ってー」

「こ、こう?」

「可愛い」

「なっ! ほ、本当に突然ね……」


 呆れ顔のアルメルもまたいとおかし。

 こうしてお尻が痛いのを我慢しながら、僕らはゆっくりとフェルランの町を目指すのであった。


エディルメモ

『ユニコーンは処女を好むそうです』


平日の三回更新はきつかった!

今日は二回更新と要旨の更新をします。

よろしくお願いします!

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