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1.5-5:ウェルカムトゥーマッドサイエンティストラボな件について

教授コメント

『魔素と言うのは魔力によって魔法を発現させるための媒介となる粒子です。


「いらっしゃーい」


 目隠しを外されると、そこにはいつも通りラフな服装の上に白衣を羽織っただけの未来さんがいた。

 床に機械が散乱してたり、計測器なのかな、よく分からない機械が机に山積みになっている。


「ああ、未来さんの部屋だね」

「どこを見て納得したのかは明らかだけど、失礼じゃないかな?」


 と言いながらも未来さんは笑顔を見せる。

 全く気にしてないじゃないか。


「それで、僕はどうすればいいの?」

「ああ、君にはあそこの機械に入ってもらいたいんだ」


 そこにはガラス張りのポッドの周りに沢山のケーブルが付いた大きな機械があった。


「あれは?」

「あれは異世界特区の大気、土壌、水質調査によって得られた魔素の解析データで較正した、その名も『異世界パラメータ分析器、APAM』だよ」


 パラメータ分析器?

 APAM?


「何の略ですか?」

「アナザーワールドパラメータアナライズマシーン。そのまんまだね」

「なるほど」

「それを使って君とアルメルちゃん二人のデータを測定したいんだ」

「あ、やっぱりアルメルもやるんだね」

「当然だよ。貴重なエルフのサンプルだよ?」


 アルメルをサンプル扱いとは、さすがマッドサイエンティスト!


「あ、嘘嘘。ごめんって、そんな睨まないでよ瀬海くん」

「え、僕睨んでました?」

「もうすっごい怖かった」


 あー、無意識だったかも。


「あ、ちゃんとアルメルちゃんにも説明しておいてね」

「なんで?」


 横で聞いてるのに?


「アルメルちゃんに僕の言葉は伝わってないからね。君から伝えてもらわないといけないんだ」

「え、そうだったの⁉」


 そう言えば、色々僕に聞き直してたっけ。

 アルメルには他の人の言葉が通じてなかったなんて、気付かなかったよ。


「不安になって当然だね」

「? どうしたの、セカイ」

「いや、何でもないよ」


 その後、アルメルに説明した僕は、荷物を未来さんに預けてカプセルの中に入る。


「それじゃあ、行くよー」


 レーザーのようなものが頭の先からつま先まで、僕の身体をスキャンしていく。

 数分程度すると、カプセルのふたが自動で開く。


「どうでした?」

「んー、まだ数字が出ただけで、結果はまだかな。昼過ぎには出ると思うよ」

「あ、そうなんだ」

「それじゃあ、次はアルメルちゃんね」

「あ、アルメルの番だって」

「分かったわ」


 少し不安げな顔をするアルメル。

 その不安を少しでも取り除きたくて、僕はアルメルの手を握る。


「大丈夫だよ、アルメル」

「セカイ……」

「わー、お熱いねー」

「行ってくるわ」

「うん、行ってらっしゃい」

「それじゃあ、測定するよー」


 僕の時と同じようにして測定が終わる。

 何事もなく終わり、カプセルのふたが空く。


 すると、アルメルが僕の方に駆け寄ってきてそのまま抱きついてくる。


「あ、アルメル?」

「……やっぱり怖かったわ」

「そっかー」


 まあ、閉鎖空間って怖いよね。

 アルメルの頭を撫でる。

 それにアルメルは気持ちよさそうに目を細める。


「室温上がってきたね。もう君たち外の休憩室でやってくれない? 部屋を出て右に行けばあるからさ」

「はーい」


 アルメルと一緒に休憩室へと移動する。


 そこには飲み物や軽食などの自販機がずらりと並んでいた。

 研究所に閉じこもってる人たちはここで食事を済ますんだろうね。


「セカイ、これは何かしら?」


 そんな自販機にアルメルは興味津々だ。


「これはお金を入れて商品を選ぶとここからそれが出てくるんだ」

「買い物ができるの?」

「そうだよ」

「こんな小さなお店なんて……。中の商人さんは大変ね」

「ふふっ」


 アルメルの不思議そうな顔がおかしくて僕は思わず笑ってしまう。

 それにアルメルは不満そうにジト目で見つめてくる。


「な、なによ」

「い、いや、確かにこの中に人が居たら狭くて苦しそうだなって思ってさ」


 そう言いながら笑っていると、アルメルは何かを察したようだ。


「え、まさか誰もいないの?」

「うん。無人で販売してくれるんだ」


 あ、驚いた顔をしてる。


「へー、異世界って面白いのね」


 感心したように声をもらし、アルメルは色々見て回っていた。


「何か食べる?」

「いいの?」

「うん。移動が長くてお腹空いて来たでしょ?」


 そう言うとアルメルのお腹から『くー』と可愛い音が聞こえてくる。

 あ、やっぱりお腹空いてるんだね。


 そんな風に僕が笑うと、アルメルは顔を赤くしながら僕を睨んできた。


「ええ、そうよ。お腹が空いてるのよ!」

「なんで僕が怒られてるの⁉」

「恥ずかしいからよ!」


 えー、可愛い音なのに。

 そんなこんなで、僕らは周りの自販機を見て回る。


「見たことのない食べ物ばかりだわ」

「揚げ物が多いね」


 これは、ボタンを押してからあっためてくれるタイプの自販機だね。

 あっちにはカップ麺にお湯を入れてくれるやつもあったよ。


「魚の揚げ物もあるのね」

「魚の?」

「ほら、これ」


 そうしてアルメルが指さしたのはタイ焼きだった。

 ああ、確かに魚の形をした食べ物だね。


「それにする?」

「ええ。エルフの森だと、魚なんて滅多に食べられないもの」


 アルメルはなんだか嬉しそうに笑顔を浮かべた。

 アルメルが嬉しそうだと、僕も嬉しいよ。

 その後、机の上に買ったものを色々並べて昼食にした。


 から揚げとか、フライドポテトとか、焼きおにぎりとか。


「うん、美味しいね」


 このチープさがまたいいんだよね。

 たまに食べたくなるジャンキーな味だよ。


「……」


 一方でアルメルは首を傾げる。

 手には魚の揚げ物こと、タイ焼きが。


「セカイ、この魚甘いわ」

「甘いね」

「それに身がつぶつぶなの」

「つぶつぶだね」

「……これ、本当に魚なの?」

「え、魚じゃないよ?」

「え?」


 静寂が訪れる。


 目を丸くして手元のたい焼きをアルメルは見つめた。

 そして、その小さい口に再びたい焼きを運ぶ。


「はむ」


 たい焼きのお腹を噛み、アルメルはもぐもぐと口を動かす。


「美味しいわ」

「それはよかったよ」


 あんこを口元に付けながら頬張るアルメルが微笑ましい。


 そんな昼食でしたとさ。



本日は四回更新ですー。

よろしくお願いしますね!

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