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1.5-4:玄関を開けたら童貞を殺す服と巨漢がいた件について

教授コメント

『童貞を殺す服には派閥があるそうですね。露出を少なく清楚な服と、露出の多い艶美な服。私は後者が好きですね』


 チャイムの音に目が覚める。

 あ、あれ、レポート提出した後、机に突っ伏して寝ちゃってたみたいだ。


「はーい」


 立ち上がって玄関に向かう。

 どうやら宅配便だったみたいだ。

 荷物は……未来さんから?


 何が入ってるんだろうか。


「むむ、これは?」


 開けてみるとそこには女物の服と下着が入っていた。


 なに?

 もしかして、未来さんは僕に私服を送りつけて悦ぶ趣味でもあるの?


「あ、手紙だ」


 なになに?


「研究所に来るにもアルメルちゃんの服がないと思うので、似合いそうな服を選んで送っておいたよ、だって?」


 ああ、これアルメルのために送ってくれたんだ。

 それはありがたいね。


「アルメルー、朝だよー」

「ん、んんっ」


 肩を揺すってみると可愛らしい声が漏れる。


「起きないといたずらしちゃうよー」

「んー、したいなら、してもいいわよ?」

「おっけー、じゃあするね」

「あっ、ちょ、ちょっと、ふ、ふふふっ!」


 許可をもらったのでアルメルの脇をくすぐる。

 アルメルは脚をバタつかせて笑う。


「あはははは、ま、まって、セカイ。わ、分かったから。起きるから、だから、や、やめっ!」

「あ、起きた? おはよう、アルメル」


 すがすがしい朝だね。


「はぁ、はぁ。お、思ってたいたずらと違う……」


 乱れた布団の上で頬を紅潮させるアルメル。

 うーん、エロい。


「はい、アルメル」

「これは?」

「こっちの世界の洋服だよ。昨日会った女の人いたでしょ? あの人が送ってきてくれたんだよ」

「そうなの?」


 アルメルは服を手に取り、まじまじと見つめる。


「あ、あと下着も入ってたから」

「異世界の下着は飾り付けられてるのね」


 アルメルは手に取った下着を不思議そうに眺める。

 何が不思議なんだろう?


「下着って見せないものなのに、オシャレにする必要あるのかしら」

「……いや、アルメル普通に見せてくるじゃん」


 なんか自分を棚上げして本質を語ってるね。


「あっ。ふふ、確かにそうね」

「じゃあ、僕朝ご飯の用意してくるから、その間に着替えちゃっててね」

「分かったわ」


 とりあえず、パンと卵でいいかな。

 僕はあの空に浮いた城を探す映画に出てくる目玉焼きとトーストがすごくおいしそうに見えて好きなんだよね。

 ジャムとマーガリンで食べるのもいいけどね。


「よし、できた」


 皿に乗せて運ぶ。

 アルメル、ちゃんと着替えられたかな?


「アルメル、ご飯できたけど……」

「あ、セカイ」


 そこには天使が立っていた。

 胸元にフリルがあしらわれたブラウスに、ふわっと広がるシルエットの濃紺のバルーンスカートがハイウエストでフィットされる。


 なるほど、これが噂の童貞を殺す服ってやつか。

 未来さん、グッジョブ!


「どうかしら?」

「分かってて聞いてない?」

「そんなことないわよ。自信が無いって、昨日言ったじゃない」

「言ってたね」


 アルメルはその場でくるっと回ってみせる。


 ふわりと広がったスカートからスラリとした足が覗く。

 うーん、自分が可愛いと分かってないとできない仕草だね。


「どう?」

「朝から胸が苦しくなるくらい可愛いよ」

「うふふ、よかったわ」


 そんな風なやり取りの後、僕らは朝ご飯を食べ始める。

 パンを食べ終え、牛乳を飲んでいるころに再び我が家のチャイムが鳴り響く。


「ん、誰だろう。はーい」


 玄関を開けると、そこには黒いスーツに身を包んだサングラスの巨漢が二人立っていた。


「……は、ハロー?」

「愛沢瀬海様ですね。我々は異世界研究所の者です。園崎博士の研究室に貴方たちをお連れするために参りました」

「あ、未来さんの」


 そう言えば、迎えを寄こすってメールで言ってたっけ。


「あ、準備するのでちょっと待っててください」

「はい」


 部屋に戻ると、アルメルが不安そうな顔をしていた。


「セカイ、あの人たちは?」

「えっと、ちょっと僕の身体を調べるために研究所に行かなきゃならないみたいなんだ」

「どこか悪いの?」

「悪くはないけど、ちょっとね」


 あれ?

 というか、未来さんアルメルも連れて来いって言ってたっけ。

 服を送ってきたり、黒服の人も『貴方たち』って言ってたし……。


「アルメルも来て欲しいみたいだけど、どうする?」

「もちろん行くわ」

「断ってもいいと思うけど」

「だって、一人で待たなきゃいけないんでしょ? それは嫌よ」


 確かに僕もアルメルを一人で待たせるのも不安だけど、未来さんの研究所に連れて行くのはもっと、かなり、より一層不安だよねえ。


「よし、分かった。じゃあ、行こうか」


 どっちも不安なら手の届く距離に居てくれた方が良いよね。


「お待たせしました。準備できました」

「では、こちらへ」


 僕とアルメルは黒服の人に導かれ、なんだか高そうな車の後部座席に座らされる。


「申し訳ありませんが、守秘義務により研究所までの道中、目隠しをしていただきます」

「目隠し?」

「はい。手足の拘束などは致しませんので、ご了承ください」


 まあ、仕方ないのかな?

 異世界特区に対する抗議団体とかも居る情勢だし、場所が特定されるのはまずいんだろう。


「セ、セカイ、これは?」

「あ、うん。目隠しだって」

「目隠し? どうして?」


 ん?

 アルメルは話を聞いてなかったのかな?

 まあ、車とか初めての乗り物だもんね。

 緊張してるのかも。


「今から行く研究所の場所を知られたくないんだって」

「あ、そういうことなのね。分かったわ」

「あっさり了解するんだね」

「エルフの森にもそういう場所はあったもの。神聖だったり、重要な場所だったりするんでしょ?」


 確かにファンタジーには隠し部屋が付きものだもんね。


「大丈夫ですか?」

「あ、はい。大丈夫です」


 黒服の人は待っててくれたみたいだ。

 見た目が怖いけど、優しい人なのかな。


「それでは、失礼します」


 目隠しをされる。

 おお、しっかりと隠されてる。

 隙間から光が漏れる、なんてこともないかった。


「それでは、出発します」

「きゃっ」


 車が走り出すと、隣のアルメルが驚いて声をもらす。


「アルメル、大丈夫?」

「え、ええ。ちょっとびっくりしただけよ」


 声が緊張してるっぽいね。

 解してあげないと。


 そう思って僕はそーっと手を伸ばしてアルメルの脇を突く。


「ひゃうっ!」


 可愛らしい声が車内に響く。


「だ、だれ? セカイ?」


 戸惑った様子の声が聞こえて、ちょっと僕は悪戯心が芽生える。

 ツンツン。


「ひゃっ、や、やめっ!」


 ツンツン。


「セ、セカイじゃないの?」

「え、僕? 僕じゃないよー」


 とぼけてみる。


「じゃ、じゃあ、ダメ!」


 アルメルは声を上げる。


「せ、セカイ以外はダメなんだから!」

「すいません、僕でしたぁ!」


 罪悪感が凄い!


「……手」

「は、はい?」

「悪いと思うなら、手を繋いで!」

「は、はい!」


 アルメルの手を繋ぐ。


「ふふっ」


 アルメルの機嫌がよくなったみたい。


 よ、よかった。

 その後の道中、僕は贖罪の気持ちでアルメルの手を握り続けたのだった。



参考資料『NO.S PROJECT、二次元と運命が交差するブラウス、スカート』


今日の更新は終わりです。

また明日もよろしくお願いします!

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