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1.5-3:裸にワイシャツは漢のロマンだと思う件について

教授コメント

『エルフの髪には自浄作用があるのかもしれませんね。ワイシャツだけでは寒そうなので靴下も履かせるべきだと思います』


 ああ、そう言えばアルメルに着替えを用意しておかないとね。

 そう思って衣装ケースをあさってみたけど、それらしいものはないなあ。


 あ、そう言えば、女の子に服を貸すってシチュエーションだとやりたいことが一つあったんだった。

 思いついた僕はとりあえず、衣装ケースを閉めてハンガーラックから服を取る。


 これで良し。

 後はアルメルにこれを着てもらうだけだね。


「アルメル、ここに着替え置いておくね」

「あ、セカイ。ありがとう」


 風呂場特有のエコーの掛かった声を聞いて、僕は部屋に戻り待機する。


 諸君、僕は紳士である。

 女の子の裸は極力見ないようにするし、軽率な行いで女の子を傷つけたりはしない。


 けれども僕は健全な男の子である。

 つまり、男のロマンに憧れを持っているし、それが目の前にあるならば勇んで拾いに行くべきだと考えてもいる。


「セカイ、着方ってこれでいいの?」


 脱衣所からアルメルが出てくる。

 濡れた髪を艶やかに輝かせ、上気した頬がなんとも官能的だ。


 そして、そんなアルメルを包むのはサイズの合わないぶかぶかのワイシャツ!


「裸ワイシャツ最高!」

「セカイ⁉」


 突然ガッツポーズを取る僕にアルメルは驚いた顔をする。

 あ、ごめん、驚かせちゃったね。


「合ってるのよね?」

「もう完璧なベストマッチです!」


 白いシャツの上に垂れた金色の髪が映えるし、裾から伸びる細い足が何ともエッチだ。


「いやあ、とっても可愛いよ、アルメル」

「裸はダメでこれが良い理由が分からないんだけど」

「ええ? 裸は駄目だよ、アルメル。女の子なんだから自分を大事にしなくちゃ!」

「これはいいのに?」

「これは服着てるでしょ?」


 まあ、胸元が見えそうになってるからもう一つくらいボタンを留めてほしいとは思うけどね。


「まあ、セカイが気に入ってくれるなら、私はそれでいいけど」

「うん、めっちゃ気に入ってます」


 なんたってロマンですから。

 あ、そう言えばドライヤーの説明忘れてた。


「アルメル、髪乾かすよね」

「? 放っておいても乾くわよ?」

「え、アルメル、髪の手入れとかしないの?」

「しないけど……おかしいかしら?」


 うーん、あっちの文化ではしないのかな?

 でも、折角綺麗な髪なのに勿体ないよね。


「よし、じゃあ、ちょっと待ってて」


 洗面所からドライヤーとブラシを取ってくると、僕はベッドの淵に腰掛ける。


「はい、アルメル」

「乗ればいいのかしら?」


 ぽんぽんと僕は自分の膝を叩く。

 すると、アルメルはそれに応じてちょこんと僕の膝に座る。


「ちょっと音がするけど、大丈夫だからね」

「音?」


 ドライヤーの電源を入れる。


「きゃっ!」


 アルメルは可愛らしい声で驚く。

 やっぱり驚くよね。

 ドライヤーってうるさいし。


「じゃあ、乾かしていくね」


 ブラシでアルメルの髪を梳きながらドライヤーを当てていく。

 え、手入れしてないのにこんなにさらさらなの?

 よく綺麗な髪を絹糸のようって表現するけど、絹糸もこんなにさらさらなのかな。


「ふふっ、なんだかくすぐったいわ」


 そう言ってアルメルは肩を揺らす。


「アルメルの髪って綺麗だね」

「そ、そうかしら?」

「うん。すごくさらさらで、なんだかブラッシングのやりがいがないね」

「それは、褒めてるのよね?」

「そうだよ。手入れが要らないほど綺麗ってことだもん」


 そんな髪だから乾かすのも楽だったわけで、ものの数分で終わってしまう。

 むう、もう少し触っていたかった気もする。


「はい、終わったよ」

「ありがとう、セカイ」


 しかし、アルメルは膝の上からどこうとしない。

 いや、それどころか僕に背中を預けて、密着してきたのだ。


「アルメル?」

「ふふ、こうしてると、なんだか安心するわ」

「そうなの? というか、不安なの?」

「当然でしょ」


 そんな素振り全然見せなかったから気づかなかったよ。


「帰る所がなくなって、見知らぬ世界に来ちゃって、もし一人で放り出されたらどうしようって、考えない方がおかしいでしょ?」

「そんな。僕は放り出したりしないよ?」

「それでも、一人になると不安になるのよ。だから、安心したくて、セカイを試すようなことをしちゃったの」


 試すっていうのは、さっきの脱衣所でのことかな?


「セカイは私を認めてくれる。けど、私は自分に自信が無いの。だから、こうして貴方の鼓動を感じると、すごく安心するのよ」

「そっかー」


 なんだか気恥ずかしくて僕は天を仰いだ。

 女の子に頼りにされてるって、こんなに嬉しくてくすぐったいんだね。


「鼓動が早いわよ」

「こんなに近くに可愛い女の子がいるからそりゃね」

「ふふっ。私もね、今ドキドキしてるの」


 僕の顔を見上げる様に仰ぐアルメルと見つめ合う。

 なんてこった。


 これはまさか二度目の選択の時じゃないのか⁉


 人生は選択の連続だ。

 時には守り、時には攻めることが重要である。

 その節目を見誤れば掴み取れる栄光も掴めないのだ。


 つまり何が言いたいかというと、据え膳食わぬは男の恥ということだ!


「あ、アルメルっ!」

「すー、すー」


 決意した僕の前にはアルメルの可愛らしい寝顔があった。


 ん?

 これ前にも見たよ⁉


「据え膳……食べ損ねたね」


 眠ってしまったアルメルをベッドに寝かせ、僕は異世界レポートの執筆に取り掛かるのだった。



閑話は今日明日で終わらせたいので、今日はもう一度更新しますよ!

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