きっと、あなたに出会うため。
以前UPした『この別れはきっと。』の続編。
ハッピーエンドです。
読まなくても分かるようにしてあるつもりですが、読んだ方がわかりやすいかもです。
ちなみに、元彼が瑛士です。せっかく名前つけたので、瑛士と表記しました。
「びっくりしたなー。俺、声出ちゃうかと思いましたよ」
お昼休みに紗英のデスクまで来た太一はそんな風に声をかけてきた。今日初めて会ったはずの2人の会話ではないそれに、周りがこちらを遠目から見ているのがわかる。紗英は睨むように太一を見上げた。
「怖いっすよ、先輩」
「話しかけるのやめてもらってもいい、渡井口くん」
「え~、いいじゃないですか!」
周囲に聞こえないように小さな声で言う紗英に対し、太一の声の大きさは周囲への気遣いが感じられない。
「なんだ、お前たち。初対面じゃないのか」
「係長、そうなんですよ。昨日、たまたま会ったんです」
「昨日?そりゃまた、偶然だな。飲み屋で隣の席だったのか?」
「いや、違うんですよ。実は、昨日…」
「お昼!行ってきます。…渡井口くん、良ければ一緒に行かない?お話したいこともあるし」
不自然だということは重々承知していた。けれど紗英にはそうするしかなかった。そんな紗英の行動に笑いをこらえて太一が頷く。その反応にイライラしながらも「ドカドカ」と効果音が付きそうな足音を鳴らし、事務室を後にした。
外に出ると夏真っ盛りのセミの声が耳に入る。茹だるような暑さとはこういうことを言うのだなと思うほど、陽射しは強い。
紗英は近くの小さなカフェに入った。会社の人がいないのを確認し、席につく。メニューを選ぶ時間も惜しかったので、サンドイッチとコーヒーを2人分頼んだ。
「選びたかったのにな」
メニューを見ながら文句を言う太一を紗英はもう一度睨む。そんな紗英に太一は小さく笑った。降参というように軽く手を挙げる
「お話って何ですか?」
「まず、馴れ馴れしい態度はやめてくれる?あと、昨日の事、他の人に言ったら、容赦しないから」
鋭い言い方に太一は呆れたように息を吐いた。
「開口一番、それですか」
「頭下げて、言わないでくれる人なら、初めからあんな風に言わないでしょ。あと、容赦しないっていうのは、仕事で被害を与えると読み取ってもらって結構よ」
「おとなげなっ」
「それで結構」
「ちなみに具体的にどんなこと?」
「仕事、教えてあげない。あなたが大変そうでも手伝ってあげない」
「そんなこと?」
「あら?ずいぶん自信があるのね。でも、大学卒業したばかりの22歳は、誰かに教えてもらわなきゃ、仕事なんてできないわよ」
「…23歳です」
「それは失礼」
どこか落ち込んだように見える太一におとなげがないと思いながらもすっきりする。きっと、この人は優秀なのだろうなと紗英は思った。だから、「できない」ことがショックなのだ。
誰かがいないと何もできない、その事実をわかっているが、心のどこかで反発したいのだろう。今までできてきたからこそ余計にその葛藤が大きいのだ。「わかりません」と言えない、そんなところが若いなと思う。そして、いいなとも思った。きっと昔は紗英もそうだった。けれど社会人を5年も経験すれば、自分の立ち位置はおのずと見えてくるし、立ち振る舞いもわかってくる。がむしゃらに成長しようというその姿勢は今の紗英にはないものだった。そしてそんな風に思う自分が、歳をとったなとも思う。
出てきそうになるため息を堪えていると、ちょうど頼んでいたサンドイッチが運ばれてきた。紗英はすぐに思考を切り替え、嬉しそうに手を合わせる。
「いただきます」
口に頬張れば、知らず「おいし~」と声が漏れた。
「ここの店、パンにこだわってて、このサンドイッチのパンも手作りなの。おいしいからあなたも食べたら。ここのパンを食べたら、意地悪しようなんて思わなくなるわよ」
「…そんな風に笑ってみればよかったのに」
「え?」
「あの人の前でも、そんな風に素直に笑えばよかったんじゃない?」
太一の言葉が何を指すのかわかって、紗英の顔からすっと笑みが引いた。
「あなたにとやかく言われる筋合いはないわ」
「胸を貸してあげた仲なのに?」
「胸を貸してもらった仲でもよ」
からかうような口調に、紗英はニコリと笑って応える。この話題は終わり、というように紗英はサンドイッチに夢中になった。そんな紗英に太一は、一つ息を吐いてサンドイッチを口に運ぶ。
「あ、本当だ。おいしい」
「でしょ?この店会社から結構近いけど、穴場なの。職場の人と今まであったことないからおすすめよ」
「俺に教えちゃってよかったんですか?」
「口止め料…かな」
そう言って笑う紗英に太一も同じように笑みを浮かべた。涼しく空調が整えられた店内で、遠くにセミの鳴く声が聞こえた。
「紗英さん、ここってどうすればいいの?」
「あ~、ここは、計算式入ってたと思うから、そこに数字だけ入れればいいよ」
「うん、それはわかったんだけど、どうしてこの計算式になるのかがわかんなくて」
「…そうね。やり方だけわかっても、しょうがないもんね。ごめん。えっと…」
あのサンドイッチがおいしかったからなのか、太一はすっかり紗英に懐いていた。今も、わからないことがあると言われたため、太一の席まで行き、マンツーマンで教えているところだ。
敬語を忘れると言う難点はあるものの、距離の詰め方が巧いからか、そのことは特に気にならなかった。敬語を忘れるのも紗英に対してだけなので、気にするのをやめた。それよりも出てくる質問が的確で、仕事に対して前向きな姿勢に、教えている紗英も知らず力が入る。
「渡井口がここにきて2週間経つけど、お前ら、すっかりいいコンビだよな」
席から見ていた係長が2人を見てそう言った。その言葉にパソコンを見ていた太一がいち早く反応する。
「そうなんですよ!係長もそう思います?」
どこか面白がるような口調で太一は言った。楽しんでいるその笑顔はまぶしくて、周囲の視線、特に女性陣からの紗英への視線に鋭さが増す。
紗英は盗むように太一を見た。格好良いなと思う。小顔で、目鼻立ちがしっかりしている。紗英は女性の中では身長が高い方だが、太一はその紗英よりも10㎝ほど高い。茶色の髪がチャラさを引き立たせるが、それすら似合うのだからどうしようもない。若手らしいフレッシュさもある。それなのに、仕事はできるのだ。言われたことはきちんとこなし、向上心だってある。まだ自分が何もできない新人であるという自覚があり、率先して周りの手伝いをする。真剣なその姿と見た目とのギャップにやられる人は多いだろう。それなのに、太一がちょっかいをかけるのが、年増の自分だというのだから睨みたくなる気持ちもわからないわけではない、と紗英は気付かれないようにため息をつく。
「…おばさんの癖に」
係長と太一が話をしている間、紗英にだけ聞こえるように耳に入った悪口。声をした方を見れば、発信元は入社2年目となる24歳の女子社員岩崎あゆみだった。ウェーブのかかったショートカットの髪が良く似合う、小動物のような可愛い女の子。もしかしたら瑛士の結婚相手はこんな人だったのかもしれないと思った。守ってあげたくなるような彼女は自分とは正反対だ。
紗英は笑いたくなるのを必死で堪えた。そんな風に、好きな人のために他人を傷つけられるなんて、若くていいなと思う。そこまで誰かを好きだと思えていいなとも思う。
「まあ、渡井口くんは弟みたいなものですからね」
係長と太一の会話に紗英はしれっと言葉を挟む。そんな紗英に太一は視線を向けた。
「弟…?」
「そうでしょ?…渡井口くんも姉のように慕ってくれるから、私も可愛くなって教えちゃうんですよ」
「おお、そうか。それなら、きっちり教えてやれよ、お姉さん」
「もちろんです。彼は優秀ですからね、いい戦力になりますよ」
「木村にそこまで言わせるなんてすごいじゃないか、渡井口。期待してるぞ」
「…はい」
何か言いたげな太一の視線を無視して紗英は周囲を伺う。「姉」「弟」という言葉にあからさまにほっとしている顔を見て、紗英は安堵の息を吐いた。これ以上、恋愛事は御免だった。1年間付き合った彼に好きだと言われることなく二股されたのち、ふられたばかりなのだ。2週間程度では、傷は癒えない。
「他に質問は?」
「…ない…です」
「じゃあ、手を動かして。その書類の締め切り、明日の朝一でしょ?」
紗英の言葉に太一は頷くことで答える。先輩への対応じゃない、そう言おうか迷って見て見ぬふりをした。
「じゃあ、頑張ってね」
軽く手を振って、紗英は自席に戻る。まとわりつくような周囲の視線も自然と離れた。もう傷つくのは、御免だ。
終業を知らせるチャイムがなった。サービス残業の問題が取り沙汰されている現在、紗英の会社ももれなく「クリーン」であることを証明するために幾つかの手段が取られている。先ほどのチャイムがいい例だ。他にも残業への対策として、21時には自動的に全ての電気が消えることになっている。
この夏の暑い時期は、紗英たちの課は繁忙期ではない。そのため、皆がほとんど定時で帰るのが普通である。紗英も自分が持つ仕事量と期限を考え、今日は帰ることにした。何人かの同僚たちの「お先に」に「お疲れ様」を返す。パソコンの電源を切る段階で、ふと紗英の手が止まった。
「…」
皆が帰る中、一人、必死でパソコンに向かう太一が目に入ったからだ。
「渡井口、まだ帰らないのか?」
「もうすぐ帰ります。ただ、あとちょっとでキリが良くなるので、そこまでやらせてください。もうすぐなんで、皆さんは先に帰ってください。キャビネットの鍵閉めは、俺がやっておきますので」
書類をしまうキャビネットは一番最後に出る人が鍵を閉める決まりになっていた。ただ鍵を閉めるだけだが、キャビネットは30ほどあり、地味に面倒臭いため、皆やりたがらない。太一の言葉にこれ幸いと、皆がそそくさと片づけを始めた。
「じゃあ、悪いな。お先に」
「はい、お疲れ様です」
そう言って笑顔で送り出したあと、太一は再び真剣な表情でパソコンに向かった。気付けば事務室には太一と紗英の2人きりになっている。紗英は一瞬考えそして、ため息をついた。
「…あ、紗英さん、まだ帰ってなかったの?」
紗英の存在を今気付いたように太一は目を丸くした。
「今やってるの、顧客データの入力だったよね?」
「え?あ、うん」
「明日朝一の締め切りの」
「……」
「半分貸して。そうじゃないと、消灯までに終わらないでしょ」
「…いいよ。このペースで行けば、ギリギリ間に合うから」
「間に合わなかったらどうするの?」
「え?」
「真剣になりすぎて、時間に気付かなかったら、データ飛ぶよ?」
「…」
「復元機能があるからって、それだって絶対なわけじゃないでしょ。それに、社会人にとって一番大切なのは、期限を守ることだと私は思う」
「…」
「『できない』、『助けて』ってちゃんと言えることも、大人に必要な能力だから。…どうする?」
紗英の言葉に太一は黙っていた。紗英は太一から言葉が出るのを辛抱強く待つ。握った拳の力を抜いて、太一は立ち上がった。
「手伝ってください。お願いします」
そう言って頭を下げる。そんな太一の髪を紗英は乱暴に撫でる。
「ちょっ!紗英さん」
抗議の声を上げた太一を小さく笑って紗英はパソコンの前に座った。
「辛気臭い顔しないの。…あと1時間で仕上げるよ」
「うん」
次に紗英を見た時には、いつもの太一に戻っていた。そんな太一に紗英は笑みを浮かべる。手分けしてやった仕事は宣言通り1時間で終了した。
会社を出ると外はすっかり暗くなっていた。空を見上げれば星の光が目に入る。暑い夏だが、夜は昼間に比べて幾分か涼しい。頬を撫でる風が気持ちよく紗英は目を細めた。
「紗英さん、今日はありがとうございました」
一歩先を歩いていた太一が振り返り、頭を下げた。そんな太一に紗英は首を横に振る。
「先輩として当然のことをしただけだよ。…昼間のうちに気付いてあげられなくてごめんね」
「そんな風に謝られたら俺の立場ないじゃん」
どこか苦笑いを浮かべる太一。そんな太一の言葉に紗英ははっとした。そう言う所なのだ、自分のだめな所は。
「ごめん」
どこか落ち込んだ紗英に太一は慌てて首を横に振った。
「謝ってほしいわけじゃなくて。…ごめん、今のは俺の言い方が悪かったよね」
「ううん。そうじゃないよ」
「…ねぇ、紗英さん」
「何?」
「今から、ちょっと飲みに行かない?今日のお礼に奢るからさ」
「別にお礼してもらうようなことしてないよ。先輩として当然のことをしただけなんだから」
「でも、それじゃあ、俺の気が済まない」
いつものからかうような表情はそこにはなかった。まっすぐな目で紗英を見つめる。涼しい筈の夜風が、少しだけ暖かさを帯びる。
「…それなら、今度、皆で飲みに行こうよ」
「俺は、紗英さんと2人で行きたい」
太一の即答に紗英は思わず視線を少しだけ逸らした。
「…」
「紗英さんは、……俺の気持ち、気づいてるんでしょ?」
太一はそっと手を伸ばし、紗英の手を取った。その手を軽く握る。
「…それなら、渡井口くんこそ、私の気持ち、気づいてるでしょ」
紗英は繋がれた手を見た。弱々しく握るその手に、太一の気持ちが映っているようで、振り払うことができない。けれど握り返すこともしなかった。
「わかってるから、チャンスが欲しい」
その言葉に紗英は視線を太一に向ける。まっすぐに紗英を見つめる瞳がそこにはあった。真剣な表情に、紗英は瑛士を見ていた自分と太一を重ね合わせる。どんなにまっすぐ見ても彼は振り向かなかった。その苦しさは痛いほどよくわかる。
「…わかった」
「…え?」
「いいよ、ご飯食べに行こう」
「…本当にいいの?」
疑うような表情に微苦笑を浮かべながら紗英は頷いて見せる。
「うん。でも、もう遅いから、2人が定時で仕事終われた日にしよう」
「わかった。じゃあ、明日ね」
「話、聞いてた?」
呆れたような声を出せば、太一は小さく笑って頷いた。
「ちゃんと聞いてたよ。だって、紗英さんはこの時期に定時で終わるなんて楽勝でしょう?あとは俺が頑張ればいいだけだから。締め切りが近いのはさっき終わったし、死ぬ気で定時までに終わらす。だから、明日行って。店、予約しておくから」
「……明日金曜日だけど、そんな直近で予約取れるの?」
「大丈夫。友だちが経営している店だから、融通利かせてくれる筈だし」
太一が嬉しそうに笑うので、紗英は苦笑を浮かべながらも頷いた。
「…わかった。じゃあ、明日ね」
「うん、明日」
そう言って太一は止めていた足を動かす。「送らなくて大丈夫」という紗英の言葉を何度も聞き流し、駅まで送り届けた。
「送ってくれてありがとう」
「こちらこそ、今日は本当にありがとうございました。それじゃあ、紗英さん、気を付けて帰ってね」
「渡井口くんもね。…おやすみなさい」
「おやすみなさい」
手を振る太一に紗英も同じように手を振り返した。少し歩いてそっと振り向くと、まだこちらを見ている太一と目が合った。それがなんだか気恥かしくて、慌てて前を向き直す。
涼しい風が頬を撫でた。平日の夜だというのに駅にいる人は多かった。仕事の電話をする人、アプリゲームをする人、ベンチで寝る人。色んな人がいる。まだ引かない頬の熱とともに、紗英は人ごみの中に入っていった。
夏の太陽は日差しを強めて襲ってくる。今日も嫌になるほど晴天だった。触れる空気は熱を帯びている。けれど、空調の効いた室内に入れば外の暑さも忘れてしまう。
「はい、これ出来ました。確認をお願いします!」
空調が聞いている筈の事務室で熱気を放つ太一を、紗英は気恥ずかしさからか直視できなかった。
「渡井口、なんだか今日は張り切ってるな」
「はい。今日は、定時で帰らなくてはいけないので」
「なんだ、デートか?」
「はい!」
「そうか!若いっていいよな~、楽しめよ、渡井口」
係長にそう言われ太一は嬉しそうに頷く。どこか嬉しそうな係長の表情に比べ、周りの女子社員の表情があからさまに曇った。紗英は出てきそうになるため息を堪えてパソコンに向かい直す。
張り切る太一も周りの洞察する視線も面倒だった。2人で歩いているところを見られたら、と思うと頭を抱えたくなる。
「太一くん、ちょっといい?」
軽く手を上げ太一を呼ぶ岩崎あゆみの声が紗英の耳にも入った。気付かれないようにそちらを盗み見る。
「岩崎さん、どうしました?」
「このデータを入力してほしいの」
そう言ってあゆみはおそらく現地調査で得た資料を太一に渡す。
「このデータを入力すればいいんですね?」
「そう。…今日中にお願いしたいんだけど、できる?」
「え?…今日中ですか?」
曇る表情の太一とは正反対の笑顔を浮かべあゆみは頷いた。
「うん。どうしても明日必要なの」
「…わかりました。今日中に終わらせます」
頭を下げる太一にあゆみは笑顔のまま「お願いね」と告げた。
嫌がらせ、いや、妨害工作であることは話を聞こえていた同僚全員がわかったのだろう。そこまで急ぎならどうして前もって頼んでおかないのか。それに明日は会議やプレゼンがあるなんて話は聞いていない。紗英はため息を吐いた。そっと席を立ち、太一の所に行く。
「紗英さん?」
「これ、チェックしたけど問題なかったよ」
「え?あ、ありがとうございます」
「こっちこそ、ありがとうね。それから、これ」
そう言って紗英が差し出したのは、小さな包みが3つ。
「…?」
「チョコレート。疲れた時は甘いものって言うでしょ?糖分摂って、頑張りなさい。…今日は定時に終わるんでしょ?」
「はい!!」
せっかく周りに聞こえないよう小さな声で言ったのに、大きな声で反応する太一に紗英は微苦笑を浮かべた。けれどあまりにも嬉しそうに太一が笑うので、つられて紗英の顔にも笑みが浮かぶ。
「じゃあ、あんまり無理しすぎないように」
「はい、頑張ります!」
そういうと太一はすぐにパソコンに向き合った。あゆみから預かった顧客データを、ブラインドタッチで、どんどん入力していく。いつもより速いスピードに呆れと妙な恥ずかしさを感じながら、紗英も自分の仕事に取り組んだ。
会社の外に出れば、もわっとした生ぬるい空気が肌に触れる。外は薄暗かった。星の輝きがちらほら見える。
「ごめん、遅くなって」
タクシーに乗ってから数分しか経っていないのに、太一の謝罪はこれで3度目だ。
「もういいって。1時間遅くなっただけでしょ?それに、お店について19時なら、逆にちょうどいい時間だよ」
「…」
「もうこの話はおしまい。次謝ったら帰るからね」
「……わかった」
渋々頷く太一に紗英は苦笑を浮かべた。11時の段階で今日中の仕事を押し付けられたのに18時には会社を出ているのだから、落ち込む必要などないのだ。むしろあゆみの悔しそうな顔が見れて紗英はどこかすっきりしていた。
それよりも、タクシーに乗り込んだ姿を会社の人に見られていないかと紗英は気が気でない。時間差で会社を出て、少し離れたところに太一が止めていたタクシーに紗英が乗り込んだ。なんだか不倫しているカップルのような行動に、けれど、誰かに見られたらと思うともっと別の手の込んだ方法の方がよかったのかもしれないと思ってしまう。タクシーの窓ガラスに鞄を押し付け、外から見えないようにしている紗英に太一は苦笑を浮かべる。
「そんなにばれたくない?」
「そりゃね。面倒事に巻き込まれるの、目に見えてるから」
「…でも、それでも俺と一緒にご飯、行ってくれるんだ」
その言葉にかすかに嬉しさが交ざっていた。太一の方を向けば、はにかむような笑みを浮かべている。嬉しいのか、悲しいのか、苦しいのか。どの感情を抱くのが正解なのか、紗英にはわからなかった。
「…約束だからね」
「それでもいいや。紗英さん、ありがとう」
そう言う太一にかすかに頷いて紗英は応える。
「あ、ここです」
15分程度走っただろうか。1軒の店の前で太一がそう言った。白を基調としたそのお店はどこか隠れ家のようだった。促されるまま紗英はタクシーを出る。
「紗英さん、ここだよ」
そう言って歩く太一の後ろを一拍遅れて紗英はついていった。高級なフレンチレストラン。隠れ家のようではあるが、外から見てもそれがわかった。
紗英は自分の服装を確認する。職場から直行したため、服装は変えてはいない。スーツのような格好。だから店には入れるが、いつものラフな服装だったら、入ることを躊躇するようなおしゃれなお店だった。おそらく金額も少し高めに設定された店だろうと容易に想像がつく。
「お友だちが経営してるの?」
「うん。大学からの友だちなんだけど、妙に波長が合って、今でもよくご飯に行くんだ。今日、紗英さん連れてくって言ったら、喜んで席用意してくれたよ」
「…それじゃあ、お礼言わないとね」
「うん。今日は忙しくて顔は出せないらしいけど、今度会った時ちゃんと言っておくよ」
「お願いね」
「いらっしゃいませ、渡井口様ですね」
入り口に入るとすぐにそう声をかけられた。何度も来ているからなのか、太一の顔を知っているようだ。太一は頷くことで答える。
「ご予約承っております。席にご案内いたします」
スーツを着た格好いい男性の後ろを紗英は太一と2人並んでついていく。もう30歳まであと2歳を切ったが、こんな店に入るのは片手で足りるほどしかないため、反応に困ってしまう。紗英は太一を盗み見た。紗英とは反対に慣れているしぐさに、5歳も離れているのに、彼の方がずっと大人に見えた。友だちがすごいからと言ってその人がすごいことにはならない。けれど類は友を呼ぶという。付き合う友人がどんな人かでその人の人となりがわかることもあるだろう。
こんな高級な店を経営している友だちがいるのか、それが紗英の率直な感想だった。仕事ができるイケメンならばこのくらいは当たり前なのだろうか。端正な顔立ちに、すらっとした体型。仕事だって上手くこなして、人間関係を築くのだって上手だ。きっと太一は、1年付き合って、「好き」という言葉もなしにふられるなんて、そんな無様な恋愛はしないのだろうなと紗英は思う。自分とは違う階層にいる人だ。歳だって離れている。
今日が潮時かもしれない。どこか嬉しそうな太一の横顔を見ながら紗英はそう思った。
「おいしい」
運ばれてきた食事を口に入れるたび、思わずそんな声が出た。そのたびに太一は嬉しそうな顔をする。高級だということもあるだろうが、どこか素朴な味に思わず優しい気持ちになった。
「本当に全部おいしい」
「ありがとう。あいつに言っておくよ」
「うん」
「紗英さん、もう少し呑む?」
ワインのボトルを指さし太一が聞いた。少しだけ考え紗英は首を横に振る。
「もう大丈夫かな」
「そっか。それじゃあ、もう出る?」
「うん。そろそろ行こうか」
紗英の言葉に太一は頷き、紗英の座っている椅子に手をかける。慣れない扱いに熱くなる頬を感じながら紗英は何も言わずに太一の好意を受け取った。
「ありがとう」
「じゃあ、行こうか」
「……あれ?お会計は?」
「さっき済ませた。今日は俺のおごりって言ったでしょ?」
「……ありがとう」
友だちの店だからと言っても一般企業の新入社員である太一からしたら大きな出費だろう。けれど笑顔の太一に「私も払う」とは言えず、けれど笑顔で「嬉しい」とは言えない自分が嫌になる。こういう態度が可愛くないのだと自分でも思った。こういう態度が瑛士を傷つけていたのだろうなと紗英は思った。傷つけられたがその前に傷つけていたのかもしれない。だから太一だけは傷つけたくなかった。
「ちょっとだけ、歩こう?」
店の外に出ると太一はそう言った。
夏だが、夜になれば、少しだけ気温が落ちる。頬に触れる風が気持ちよかった。隣を歩く太一の手が紗英の手にふと触れた。1回目はすぐに離れ、けれど2回目に触れた時には、繋いでいた。
見上げるように太一の顔を見れば、どこか緊張している。繋いでいる太一の手がかすかに震えていた。高級フレンチレストランに連れて行って、お会計もスマートに済ませるのに、完璧な人などいないのだなと紗英はどこか他人事のように思った。
「…紗英さん、今日はありがとうね」
「ありがとうは私のセリフでしょ?ご馳走様でした。素敵なお店に連れて行ってくれて、ありがとう」
「紗英さんが気に入ってくれたなら嬉しい」
「…うん。とっても気に入った。ありがとう」
紗英の言葉に太一は嬉しそうな笑みを浮かべた。その表情に紗英は泣きたくなるのを必死で堪える。
好きになんてなりたくないのに。これ以上傷つきたくなんかないのに。しばらく、恋はいいと思っていた。
空を見上げれば、三日月が夜道を照らしていた。繋いでいる太一と自分の手が見えた。恋をしたくないと思うのに、紗英には優しく触れる太一の手を振り払うことができなかった。
月曜日に会社に行くと、女性社員の視線がいつもと違うことに紗英は気づいた。かすかに耳に入る噂話を合わせれば、一緒のタクシーに乗り込むところを見られたらしい。その後、手を繋いでいたところも別の誰かが見ていたということがわかる。こちらの方は場所も離れていることや、キスをしていたという事実と違う話も囁かれているので、話を盛っただけの可能性もある。しかし、今は真実が大事なわけではなく、紗英と太一が付き合っている、もしくはデートをしたという噂をほとんどの女子社員が聞いてしまったことが問題なのだ。
紗英は思わずため息を吐く。直接、「どうなんですか?」と聞いてくれるのならば、上手くごまかす自信があった。けれど、職場での紗英のポジションは仕事に厳しい女性社員だ。役職はないものの係長の補佐的立場であり、噂話に乗るタイプでもないため、直接聞いてくる勇者が現れることはなく、噂話だけが広がっていく。
女子社員の間の噂話は広がりが早い。それはいつも同じだが、今回はいつも以上の早さだった。そのことからも太一の人気の高さが知れた。視線の中に好奇心よりも嫉妬や憎悪が多く交ざっており、居心地は悪かった。男性社員にまで広がれば、直接聞いてくる人が出てくるだろうからそれを大人しく待つことにする。
紗英はもう一度ため息を吐いた。何も知らない太一が楽しそうに他の社員と話している姿がイラつくが、太一に怒っても仕方がない。それに誘いを断らなかった自分が一番の原因なのだ。
「…」
重たい視線にいつも以上に疲れを感じたため、紗英は、一息入れようと給湯室に向かった。そして、行かなければよかったとすぐに後悔する。
「なんで、あんな女がいいんだろう。確かに綺麗だけど、もう若くないのにね」
「木村さんと付き合うなんて、太一くんも表面しか見えてないんだろうね。付き合っても結婚迫られるのが落ちでしょ?だって、木村さんってもうすぐ30だよね」
「こわっ。でも、ありえるね。…そうしたら怖くなってすぐに別れるかもよ?あゆみ、それまで待てばいいよ。うちらには時間あるんだから」
延々と紗英への悪口は継続していたが、紗英は聞き流すことに徹した。話をしているのはあゆみとその同期の田島奈緒子だった。これが自分の話題でなければ「場所と時間を考えなさい」と注意できるのにと頭を抱えたくなる。言われっぱなしは癪だった。だけれど、彼女たちの気持ちもわからないわけではない。太一を可愛げのない年増の自分にとられたと思ったら恨み言の一つや二つ言いたくなるだろう。だから、何も言わず、もとに戻ろうと振り返った。
「…」
けれどできなかった。心底イラついています、と言いたげな太一がそこに立っていたから。その表情から、彼女たちの話が聞こえていたのだと考えられる。というか今もって継続中の悪口に太一の表情がどんどん悪くなっていく。
「…」
乗り込んでいきそうな太一の右腕を紗英は両手で掴んだ。精一杯首を横に振る。
「私なら気にしてないから」
太一だけに聞こえる声でそう伝えた。けれど太一は首を横に振った。
「紗英さんの悪口はやめてください」
そう言いながら給湯室に入る太一に紗英は今度こそ、頭を抱えた。仕方なく太一に従い中に入る。
「…木村さん」
紗英の姿を確認したあゆみは、紗英を睨むように見た。その視線を遮るように太一が紗英の前に立つ。
「紗英さんを睨むのはおかしいです。俺が勝手に入ってきただけですから」
「…」
紗英をかばう太一にあゆみは悔しそうに唇を噛んだ。そんなあゆみを太一は睨むように見る。紗英は、聞こえるように大きなため息をついた。
「私が嫌いなのはわかったけど、ここは職場だよ。悪口言うならもっと上手に言いなさい」
「…」
「ほら、もういいでしょ?今、仕事中だよ。早く自分の席に戻りなさい。渡井口くんも」
「…」
「…はい」
紗英は何事もなかったかのように先輩として注意をした。素直に頷いたのは太一と奈緒子だけだった。けれど紗英は気にせず給湯室に入る。条件反射のように奈緒子が空けたスペースで当初の目的どおりコーヒーを入れる。
「なんでそんな風に言えるんですか?」
「……え?」
予期せぬあゆみの言葉に反応が遅れる。
「自分の悪口言われたのに、どうしてそんな平然とした態度取れるんですか?…木村さんは、いいですよね。強くて、一人でも生きていけて」
小さな声だったが、叫ぶように紗英には聞こえた。紗英を睨むあゆみの目に涙が浮かぶ。やはり若いなと思う。仕事中に恋愛事で泣くなんて自分には考えられない。それでも彼女の必死さは痛いほど伝わってきたから視線を逸らすことはしなかった。
「でも、私は違う。誰かに一緒に歩いてもらわなきゃ、生きていけない。だから、…太一くんをください」
「…」
「木村さんは綺麗で、仕事もできて、係長や課長にも信頼されてるじゃないですか。一つくらい、私にくれたっていいじゃないですか!」
殴りかかったあゆみの手を太一が止めた。そんな太一をあゆみは目を丸くしてみる。手を挙げようとした自分に驚いたように見えた。
「平然としてるわけない。先輩としてそうしようと必死なだけで。…いっぱい傷ついている紗英さんをこれ以上傷つけないでください」
「…太一…くん」
「それに、太一くんをくださいって言われても、隣にいてほしい人を選ぶのはあなたじゃなくて俺です。俺は、紗英さんに隣にいてほしい。仕事ができて、格好良くて、でもとても弱い紗英さんを支えたいんです。…紗英さんが嫌だっていっても、紗英さんがいいんです。…あなたを好きになることはできません」
そう言って太一は頭を下げた。その姿があまりに綺麗で、はっきりとした「拒絶」に見えた。
あゆみの目から涙が流れる。しゃがみこむあゆみに奈緒子が駆け寄った。今度は奈緒子が太一を睨む。その視線の間に紗英が割り込んだ。
「岩崎さんが私をどういう風に思っているか知らないけど、私だって人並みに傷ついて、それでも努力してここにいるの。…だから、もし岩崎さんが私から何か一つほしいなら、努力をして、奪いなさい。私も、奪われないように努力するから」
「…」
「岩崎さんも田島さんも、落ち着いてからでいいから仕事に戻りなさい。仕事に戻れないなら今日は早退していいから。もう一回言うけど、ここ、職場だから」
「…はい」
小さな返事に紗英は頷き返し、その場から離れた。太一が後ろからついてくる音が聞こえる。横に並んだ太一を見上げた。
「渡井口くんもだよ。今は仕事中なんだから、まともに答えなくていいの」
「…すみません」
「それもあんな風に傷つく言い方しなくてもいいでしょう。ああいうのは言わせておけばいいの。反応するなんて、若いって証拠だよ」
「しょうがないだろ、若いんだから。…紗英さんの悪口言われて放っておくのが大人って言うなら、大人になんてならなくたっていい」
イライラに任せて髪の毛をかく太一に紗英は呆れたように笑う。それから少し間をあけて太一を見た。
「…今日仕事終わりに、あのカフェで待ってるから」
「え?」
「話したいことがあるの。来てくれる?」
「……うん」
「そう。じゃあ、話しは終わり。あの子たちにも言ったけど、今、仕事中だからね」
そう言って紗英は自席に戻った。口につけたコーヒーに、かすかに波紋が浮かんでいることには気づかないふりをする。
セミの鳴き声が聞こえた。今年は例年に比べて暑いと言われている。それでもセミは変わらず声を上げる。ここにいるよと伝えるように。
「いらっしゃいませ」
声をかけてくれる店員に会釈で答え、紗英は店内を見回した。帰り間際に電話が入ってしまったため、帰る時間が遅くなってしまったのだ。太一からは先に入っているとメールが入っていた。
「紗英さん、こっち」
手を振る太一を見つけ、紗英はそちらに向かう。
「…話しって何?」
席についた途端に出たセリフに紗英は小さく笑った。
「切羽詰まったような声、出さないの」
「……いい話の可能性と悪い話の可能性が半々だから」
「それで午後、ミスばっかりしてたの?伝言のメモなくしたり、渡井口くんらしくないって係長も言ってたよ」
「…ごめんなさい」
大きな体を小さくして謝る太一に紗英は笑みを浮かべて首を横に振る。
「私があんな中途半端に言ったからだね。ごめん」
「紗英さんは悪くないよ。…それより、話って何?」
「…私ね、もう傷つきたくないの。渡井口くんも知ってるでしょ?私、結構ひどいふられ方したばっかりなの。もう、恋愛なんていいやって思ってたの。誰かの背中ばっかり追いかけるのはもう疲れた」
「…今度は俺が紗英さんの背中を追いかけるよ。傷つけないように、大人にもなる。…誰にも何も言わせないくらい完璧になる。そりゃ今すぐには無理かもしれないけど」
まっすぐな視線でそう言う太一に紗英は小さく笑う。その笑みに太一は少しだけ安心したように表情を緩ませた。
「紗英さん、俺はね、紗英さんを初めて見た時、可哀想な人だなって思ったんだ」
「…そりゃあ、あんなところ見られたんだから、そう思うよね」
自嘲気味に言う紗英に、太一は首を横に振る。
「でもそんなの最初だけだった。俺の前で涙を流した紗英さんを見て、守ってあげたいと思った。でも、…次にあった紗英さんは、俺なんかに守らせてくれる人じゃないって分かったんだ。仕事ができて、綺麗で、…でも、時々意地悪で」
「…」
「俺、紗英さんの涙も笑顔も意地悪なところも知ってる。だから、そんな紗英さんの隣にいたいと思った。守ることはできなくても、紗英さんの隣を歩けるような男になりたいと思った。そしてできれば、いつも笑わせていたいなって思ったんだ」
「…」
「こんな風に思うのは初めてなんだ。…紗英さん、俺は、こんなに人を好きになるのは初めてかもしれない」
太一の言葉が痛いほど胸に突き刺さり、泣きたくなった。けれど視線を逸らすことなく太一を見る。
「俺ね、紗英さんの顔も、会社での仕事ぶりも、真面目さも、意地悪なところも、泣いてるところも笑ってるところも、性格も。全部ひっくるめて、紗英さんが好きだよ。紗英さん本人が好きだよ」
瑛士は紗英本人を見てはくれなかった。紗英の肩書や顔だけを見ていた。アクセサリーのように隣に置いていただけだった。それを知っているからこそのその言葉に紗英は泣きそうになるのを堪える。
「だからさ…」
一瞬間を置いて、太一は紗英の手にそっと触れた。今日は、震えてはいなかった。紗英は自分の両手を見たあと、すぐに太一を見つめる。
「だから、この手を掴んでもいい?」
「…じゃあ、……放さないでくれる?ずっと、手を放さないでくれる?…これから、あなたはもっと素敵な女性に出会うと思う。あなたはまだまだ若いんだから、これから先、もっと色んなことを経験していくんだと思う。もっと守ってあげたくなるような人にも出会うかもしれない」
「…」
「でも、……それまででもいいから、…それまでは、放さないでいてくれる?」
声が震えた。そんな紗英に太一は笑みを浮かべることで答える。
「紗英さんが許してくれるなら、放してなんてあげないよ。歳なんて関係ない。俺は、紗英さんが好きだから。だから、紗英さんがいいって言ってくれるなら、ずっと、紗英さんの隣にいるよ」
そんな風に言う太一の顔はいつもより格好良くて、紗英は泣きたいのに、思いっきり笑った。
「それじゃあ、一生だよ?」
笑ったけれど、涙が頬を伝う。太一がそれを優しく指でふき取った。
「望むところだよ」
太一の言葉に紗英が嬉しそうに笑った。
「紗英さん、大好きだよ」
「私も、…太一くんのこと、大好き」
子どものような、陳腐な言葉だった。けれど、一番聞きたい言葉だった。好きな人に言われる一番幸せな言葉だ。
嬉しそうに笑う太一に紗英は周りを確認し、身を乗り出してキスを送る。驚いた太一の顔に紗英は声を出して笑った。そんな紗英に太一も負けずとキスを送った。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
とりあえず、紗英さんが幸せになれてよかったと思います。
あの後、カフェに入るのが気まずくなるだろう2人。それもそれできっと幸せですね。
歳の差5歳ですが、いつまでも幸せでいてくれればと思います。
う~ん、きっと大丈夫でしょう!