第五話 『幸せって』
超火球の威力は俺の想像をはるかに超えていた。
後ろで待機していたミカとエリザに対して咄嗟に防御魔法を張ったほどだ。
超火球はデュラハンを溶かしつくすだけでは飽き足らず、城全体を吹き飛ばしてしまった。
「あー、俺の魔法って思ったよりやばいのね……」
知力の値がおかしなことになってる時点で薄々気づいてはいたが、それにしてもである。
「アルフってもしかして本当に凄いんじゃねー」
ミカは目をぱちくりさせながら呑気にそんなことを言っている。
一方エリザはというと相変わらず目をぐるぐるさせたまま倒れている。
「ミカ、エリザの介抱お疲れ様。後は俺に任せてくれ」
俺はエリザをおぶる形で担ぎ上げた。
「お、気が利くねー。エリザっちはおっぱい重いからうちじゃ持てないのよ」
「重いなんてエリザが聞いたら傷つくぞ」
「それもそだねー、でも軽いより良い気がしないでもない、なんか複雑、ぶーっ」
ミカは一人でぶつくさ文句を言い出した。
それを見て思わず俺は笑ってしまう。
「何がおかしいのさー!」
「いや、ごめん。おかしいんじゃなくて、楽しいんだよ」
「何それ? うちにもわかるように説明してよー」
ミカとエリザは糞三銃士と比べて強いってことは全くない。
でも前のパーティーでは決して得られなかった充足感で俺は満たされていた。