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第三話 『生計』

「ミカよ、エリザよ。まずは言っておかねばならないことがある」


「なになにアルフ~」


「なんですかアルフさん」


「このままいくと今日の宿代がない!!」


 俺の渾身の叫びに驚いたのはエリザ。


「え、魔王討伐パーティーともあろうものが文無しなんですか……」


「パーティーの格にお金の多寡は関係ない! とはいえこのままじゃ今日は野宿となってしまう」


 俺は別に構わないが、女の子二人はさすがに野宿は嫌がるだろう。


 伝説の武具さえ残っていればお金なんていくらでも工面できたのに、やはり許すまじ糞三銃士。


「うちは別に野宿でもいいよ~」


 あっけらかんと言うのはミカ。


「わたしはちょっと……」


 当然エリザは嫌がっている。


「そうだよな。野宿は嫌がると思っていたので日銭を稼ごうと思う」


「稼ぐとなるとクエストですか?」


「勿論。滅茶苦茶強い賢者の俺がいるから最上級の討伐クエストを受けて当面の資金を賄おうと思う」


「いいねー、それでママの病気の資金の足しにもなりそうだし」


 ミカは万歳をして喜んでいる。


「よし、そうと決まればクエストを受けにもう一度酒場に行くぞ」


「「お~!!」」



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



 酒場といえば嫌な記憶を思い出した。


 前のパーティーのサイフォスもフィーナもかなりの酒豪で、俺に酒を強要した。


 ライトは僧侶なので全く飲まないのだが、その二人の行動を止めるということもしなかった。


 俺ははっきり言って下戸だ。


 その弱さと言ったら、お酒を一杯でも飲むと痙攣を起こして倒れるくらいの。


 一番ひどかったのは俺が痙攣して倒れるたびに、ライトが解毒魔法(クリアー)を使い俺の酔いを回復させ、また飲まされて痙攣するというのを何度も繰り返す鬼畜プレイをされたことだ。


 奴らは実力は少しばかりあったかもしれないが、本当に人間の屑だったことを改めて思い出した。


「どうしたんですかアルフさん? 怖い顔をしていますよ」


「ちょっと昔の事を思い出してね」


「何か苦しいことがあったのなら教えてください。出来る限り力になりますから」


「なになに~、アルフの話ならうちも聞きた~い」


 今度のパーティーは前の奴らとは違う。


 人の気持ちがわかる人間でとても嬉しい。


「いや、大丈夫だ。ありがとう。さてさて、クエストを探さなきゃな」


 クエストが書いてある瓦版を一通り眺め、よさそうなものを選出した。


「この首なし騎士デュラハンの討伐が一番報酬が高いな。こいつを受けるので問題ないか?」


「はい」「意義な~し」


 満場一致で受けるクエストが決定した。

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