第二話 『凸凹パーティー』
パーティー募集の掲示をだした翌日の朝、酒場で待っていると早速声がかかった。
声の主はピンク色のショートヘアーにちょっとメッシュがかかっている。
身長は女子としては割と高めで、スタイルはスラっとしていて踊り子でもおかしくないレベルだ。
あ、ただ胸もスラっとし過ぎているのでやっぱり踊り子は無理かもしれない。
「滅茶苦茶強い賢者がいるってきいたからさー、パーティーに参加したいんだよねー」
初対面なのになんか気の抜けた態度だな。人格に問題がありそうなのでNGだ! お断りしよう。
「君はまず礼儀を覚えてくるといい。その時には再び選考させてあげるから」
「でもー、うちはママが病気を抱えててー、パーティーに入って稼がないとママが死んじゃうんだよねー。それってなんかつらいっていうかー」
口調はなんともいえないゆるさだが、踊り子顔負けの迫真の泣きの表情で喋っている。
もしかしたら純真なだけな子かもしれない。
「よし、採用」
「ほんと―? うぇーい! やったぜー!」
うわ、やっぱり凄いあほな気がするぞ。
「ステータスを見せてもらうよ」
「いいよー」
名前:ミカ
職業:遊び人
Lv:10
HP:45
MP:30
力:19
素早さ:25
体力:30
知力:1
あ、しまった。弱すぎる。先にステータスを見てから採用するんだった。
「あのさ……」
「あのー、一度採用するって言ったのに拒否するなんて人間の屑みたいなことしないよね~」
こいつ、本当に知力1なのか? 痛いところをついてくるな。
「ああ、採用という言葉に二言はないよ、俺は人間的にしっかりしているからな」
俺は俺を裏切った三銃士とは違うんだ。こういうところで懐のでかさを見せていかねば。
まあ戦闘で全く使えなくても荷物持ちとかで役には立つだろう、ミカはそういう枠ということにしよう。
「あの……ここでパーティー募集をしていると聞いたのですが」
お、入れ食いのようにパーティー希望者が来るな、滅茶苦茶強い賢者という肩書は人気なのだろうか。
今度募集に引っかかった子は一言で言うと清楚。年齢は十四、五歳くらいだろうか。くりっとはっきりした大きい目は彼女の幼さを強調している。長いストレートの黒髪は腰の辺りまで伸びていて、しっかりと手入れされている。しかも近づくと甘いシトラスの香りがしてきて、大半の男はここでクラっと落ちてしまうのだろう。
勿論俺はその程度の誘惑に負けることはない……のだが彼女の胸についている膨らみは尋常じゃない。俺でも精神統一の魔法を使わないと彼女の色香に惑わされてしまうかもしれない。
「まずはステータスを見せてもらっても良いかな?」
「もちろんです」
名前:エリザ
職業:僧侶
Lv:99
HP:1
MP:999
力:1
素早さ:1
体力:1
知力:999
うおー、めっちゃ強いと思いきやピーキーな能力だな。
HP1とか押されただけで倒れてしまうんじゃないだろうか。
「あの……きみ冒険とかしたことってある?」
「あります! 毎回戦闘不能になって教会で治療受けることになりますが」
この紙装甲じゃそうなるよな……。
まあうちのパーティーにはミカという運び屋もいるわけだからセットで考えればいいか、知力の高さは魅力的だしな。
その後もしばらく面接を続けたが、これと言った人物は来なかったのでまずは俺とミカとエリザの三人で魔王討伐パーティーを組むことに決めたのだった。