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第二十二話 『武道大会』

 ミカを連れてきたのは町の真ん中に位置する闘技場だ。


「んー? うちを闘技場で働かせるつもりだったりしないよねー?」


「違う違う、実は明日ここで武道大会が開かれるらしいんだ。それに俺とミカで参加しようという話」


「武道大会? なんでー?」


 ミカは口を開けてポカーンとしている。


「ミカは強くなったけどまだ実戦での練習は足りていないだろ? その練習になると思ってさ」


「まあそうかもだけどー、アルフも参加するなら優勝狙えないし面倒(めんど)いなー」


「俺も今回は特訓だ。ジャキ対策として魔法じゃなくて剣で戦うから、ミカにだって勝ち目はあるぞ」


「ふーん。じゃあ一応でてみよっかなー」


 二人でエントリーシートに名前を書いて武道大会の参加費を払う。


 これで明日の大会に出場できるはずだ。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



 ――翌日、闘技場


「わー、全然参加者いないじゃん」


「何でだろうな……」


 見渡す限りリングの上に集まったのは俺とミカ、それに拳法家らしき太っちょのおじさんと全身鎧の女剣士だけだ。


「いやー、アルフさんが参加するとなってから出場キャンセルが相次いでしまいましてね」


 声をかけてきたのは司会の男。


「あー、そういえばこの町では無駄に名前が売れちゃってるもんな」


「その分盛り上げてくれることを期待していますよ! 是非優勝賞品を手に入れてください!」


「優勝賞品って何なんだ?」


「叡智の杖という、MPを攻撃力に変換して戦えるレア物の武器ですよ」


 それって結構ジャキ戦に使えるアイテムな気がするな。


 場合によっては賞品ゲットの為に全力で戦うとするか。


「さて、そろそろ始まるのでこのまま待機していてくださいね」


 司会の男はリングから離れていく。


 それにしてもさっきから気になるのは女剣士からの視線だ。


 ちらちらと横眼で俺のことを覗いてくる。


「あの、俺の顔になんかついてます?」


「――な、なんでもない」


 声をかけると慌てたようにそっぽを向いてしまった。


 彼女は長い金髪を頭の横に結えていて、キリッとした顔立ちをしている。


 その風貌は戦士というよりは、お嬢様だ。


 どういう剣技を振るうのかはちょっと気になるな。


「会場の皆様、長らくお待たせいたしました! これからトーナメントの抽選を行います」


 いつの間にか司会の男が戻っていて、大声でアナウンスを開始した。


「これから参加者の四名には抽選箱からボールを引いてもらいます。同じ色のボールを引いた人が一回戦の相手となります! それでは最初に滅茶苦茶強い賢者と評判のアルフさん、引いてください!」


 俺は箱からボールを取り出した。青いボールだ。


「では続いてアルフさんのお仲間の遊び人ミカさん、引いてください。自己PR文を見るとお色気には自信があるそうです」


 ……お色気? あのお胸で?


 いや、でもある界隈では貧乳をステータスと見る向きもあるそうだ。


 と、そんなことはどうでも良い。


 できればミカとは一回戦では当たりたくないな。


 二人とも決勝まで行って二回ずつ戦うほうが特訓になるし。


「ミカさんは黄色のボールです!」


 司会の声が響き渡る。


「やっり~! アルフとは別の色だー」


 ミカはガッツポーズを見せる。


「続いて隣町からやってきた刺客、美しい金髪に不釣り合いな鎧をまとった女剣士キャロルさん、引いてください」


 キャロル……? 何か聞き覚えのある名前だな。


 何処で聞いたんだっけか?


 キャロルは箱に手を入れて勢いよくボールを取り出し頭上に上げる。


 そのボールの色は――青色だ!


 一回戦の相手はこの女騎士か。


「これで残りの黄色いボールは町一番の拳法使いパイロンさんに決まりました! それでは試合の準備に入りますので、会場の皆様は今しばらくお待ちください!」

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