表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/27

第十七話 『来訪者』

 合宿最終日。


 エリザとミカは真剣な表情で爺ちゃんに相対している。


「よいか二人とも。わしからこの銀貨を奪い取ることが出来れば試験合格じゃ」


 銀貨が先端についた紐を首から下げた爺ちゃんが合宿の最終試験の説明をしている。


 俺はそれを遠く離れた場所からボケーっと見ていると、後ろから見知らぬ人に声をかけられた。


「お前がアルフか?」


 話しかけてきたのは銀髪に碧眼、赤いマントを付け、肩に三つの大きな袋を背負った異様な出で立ちの男だ。


「そうですけど、なにか?」


「フフッ、面白いものを見せてやろうと思ってな」


 男は袋をドサッと地面に置き、中を開けると糞三銃士のサイフォス、フィーナ、ライトが後ろ手に縛られた状態で姿を現した。


「アルフ!! 頼む、助けを呼んできてくれ!」


 サイフォスが開口一番俺に救いを求めてくる。


「ちょっと待って、状況がよくわからないんだけど。銀髪のあんたは何者だよ」


「我は魔人ジャキ。勇者の血筋を滅ぼさんとする者だ。貴様が伝説の勇者の孫で間違いないな?」


「確かに孫だけど……。つまりこの三人は人質ってことか? 汚いやり方だな」


 ジャキはくくっと小さく笑う。


「折角の獲物に逃げられては困るのでな」


「ふーん、そっか。でもその三人には縁切られたようなものだしなぁ」


 俺がぼそっと呟くと、


「お願い、助けを呼んで! 今までしたことは謝るから!」


 フィーナは泣きながら懇願してくる。


「わしも謝ろう……だから今回だけは助けてくれ」


 ライトは神妙な面持ちで言う。


 こういうときだけ都合のいいやつらだ。


 俺はそのまま無言でいるとサイフォスの野郎が、


「くそっ、助けを呼ぶことすらできないとは。もうおしまいだ、俺達は……」


 イラっときたので少し意地悪をしてやる。


「あ、そ。それじゃあ俺は転移魔法(テレポート)で逃げるんで、じゃあな」


 魔法を詠唱し大袈裟に杖を振るう。


 それにあせった三人は泣きながら叫ぶ。


「嘘だ、今言ったことは謝る! 俺が悪かった」

「お願い、アルフ! また一緒にパーティーを組んであげるから!」

「嗚呼……お慈悲を……」


 その瞬間、三人の体が消えた。


 転移魔法(テレポート)は俺にかけたのではなく、糞三銃士にかけてあげたのだ。


 爺ちゃん達の居るほうに飛ばしたのでもう心配はないだろう。


 俺は杖を持つ手を前に伸ばして魔人に向ける


「安心しろ魔人ジャキ。人質なんていなくても俺は逃げも隠れもしない! 正々堂々と勝負を始めようぜ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ