どこか抜けてる女将さん
短いです。
先日、作者のリア友がなろうで小説を投稿しました。
一応、合作で2話とかだとほとんど作者が書いてます。
良かったら、見てみてください。
出来れば、評価も……。
https://ncode.syosetu.com/n7099em/
「あ~……。体中が痛い。」
洞窟の中で葉っぱにくるまって寝た楓はそうつぶやいた。
硬いやら、寒いやら、真っ暗だわ、ちゃんとしたベットのありがたさを身に染みて実感した。
起きたとき、目の前にネズミ型の魔物がいたときは肝が冷えた。
流石に、スライムレベルの魔物に負けるわけ訳はなく倒すことはできたが、これからはちゃんと宿屋に泊まろうと心から思った楓だった。
・・・ちなみに、ネズミ型の魔物は意外とレアな魔物だったらしくギルドで高値で売れ、楓を大いに驚かせた。
♦ ♦ ♦
「ありがとうございました~。」
ちょっと金銭的に生活できる程度には余裕ができた楓は、前に追い出された古本屋で何冊か本を買っていた。
立ち読みしていた時はあんなに怖い顔だったのに、買ったとたん営業スマイルである。
はいった瞬間睨まれ、買った瞬間に笑顔に。
何か理不尽だ。
「久しぶりの本だな……。」
感慨深そうに、楓は呟いた。実を言うと、死ぬ直前に所持していた本を持っていたりするのだがそこはあえてスルー。
「よし、読むか! あ、その前に宿屋を探さないと……。」
情報を得ようと、最早何でも屋のギルドへと歩を進める。
話し相手がおらず、独り言が異常に多い楓。
本人はそのことに気付いていない。
意外と早急に解決しなければならない問題だった。
♦ ♦ ♦
「ここが紹介された宿か‥‥‥。」
僕は、ギルドから聞いた宿屋の前に立っていた。
時は少しさかのぼる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『すみませ~ん。安くて、いい宿ありませんか?』
『あ、カエデさんですね。え~っと……、こことかどうでしょうか?ユーフォリアの宿というところですけど。』
『あ、じゃあそこでありがとうございます。』
『またの利用をお待ちしてま~す。』
・・・・・・・・・・・・
というわけなのだが、目の前にあるのはただのボロボロ建物だった。
おいこら、いい宿っていう話どこ行った……。
でもまあ、人は見かけによらないっていうし――人じゃなくて宿だけど――きっとこの宿も中はいい宿に違いない!うん!
よし入るか。
そんなことを考えながら楓は宿へと入っていった。
「すみませ~ん……。泊まりたいんですけど……。」
楓はおずおずと声を出した。
中には誰もおらず、声が虚しく響いた。
あれ~?おっかしいなぁ~?
誰かいないのかな?
「あっ!お客さん!?いっ、いらっしゃいませ!ユーフォリアの宿――あ痛っ!?」
噛んだな。
奥から全速力で駆けてきたのは、若い女の人だった。
茶髪に黄色い目、あまりご飯を食べていないのか、やせていた。
「痛い……。あ。ゴホン、ようこそ、ユーフォリアの宿へ。こちらへどうぞ。」
急に、すましたように答える――誰かさん?
自己紹介がないな……。
「あの~……。名前は……?」
「あ、ごめ――すみません。私の名前は、アドラステアラ。テアラ、と呼んでください。ここの、女将のような立ち位置です。」
あ、自己紹介してくれた。
僕より、少し年上くらいに見えるのにすごいな。女将だなんて。
「僕は,楓。よろしくお願いします。」
「カエデ様ですね。こちらこそ、お越しいただきありがとう。」
なんか、敬語おかしくない?
あえて指摘はしないけど。
「では、カエデ様。この部屋をお使いください。夕食の時間になりましたらお伝えしますので。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
そうか、もう昼食の時間は過ぎてたのか。
この世界に来てからあんまり食べてないな……。
「では、失礼しま――あだあっ!?」
あ、また噛んだ。