決意、そして未知との遭遇
まだ弱いです。
でっでも、ちゃんと強くなるんだからねっ!
※ツンデレではありません
書き忘れてましたが、なるべく週1投稿していこうと思ってます。
「はあ……。疲れた~。」
僕は貸してもらって部屋のベッドに横になっていた。
ちなみに、夜ご飯もおじさんにパンを3つ貰った。
普通においしかった。
でも、お米を懐かしいと感じるのは日本人だからだろうか。
この世界にもお米があるといいな。
…今日は色々あったな。
2人を助けて死んじゃって、神様に会って、異世界に来て…。
あれ? 色々なんてレベルじゃないぞ?
のんびり生きていきたい僕の生活とかけ離れてるよ。
これからどうなるんだろうな。
もう助けてくれる二人、いや三人はいない。
ちゃんと、一人で生きていかなくちゃ。
ってもう、たくさんの人に頼っちゃたな…。
思わず苦笑いをする楓。
頼らないと生きていけないなんて情けないな、僕は。
そういえば…あの金髪の女の子は誰だったんだろう。
すぐ逃げちゃったけど。
まあ、いいか。明日にでもおじさんに聞こう。
ふわあ…。もう眠くなってきた。
色々あって疲れたからかな・
今日はもう寝よう。
お休みなさい……。
楓の意識は闇に沈んだ。
♢
「ん……?ここは?」
朝、明るい日の光と鳥の声で目を覚ました。
「ああ、そうか。異世界だったな…。」
夢じゃなかったと実感し、眠い目をこすりながら楓は起き上がった。
「っつ!」
バケモノを殴った手がひどく痛んだ。
数秒で治ったが、まだ手をしびれている。
はたから見たなら、手を押さえてる中二病だろう。
「後遺症か何かかな?まあ、気にしなくてもいいか。」
僕にはどうもできないしね。
神様に会ったときにでも聞いてみよう。
・・・会わないだろうけど。
今日、楓はここを出ることにした。
ずっとお世話になるわけにはいかないからだ。
…まあ朝ご飯はいただいてしまったが。
少ない荷物をまとめ、ドアを開けた瞬間、
「きゃっ!」
あの金髪美少女さんとぶつかった。
「ああっ、ごめん!大丈夫?」
転んでしまった少女に手を差し伸べる。
「は、はい…。」
少女はおずおずと僕の手を掴んだ。
「僕は、楓。君は?」
「わ、私は……。えっと。さ、さようならっ!」
もじもじした後、ピューとまたどこかへ逃げてしまった。
人見知りかな?
まあ、いいか。
「泊めていただき本当にありがとうございました。」
「いいんだよ。でも、大丈夫か?金少ないだろ?」
「それくらい自分で何とかしますよ。何かとお世話になりました。」
「そうか、じゃあ気をつけてな!」
僕はおじさんに手を振り別れた。
「さて、お金を稼ぐか!」
僕はやる気に満ちている。
よしっ魔物を狩ってやる!
僕はこぶしを握り締めた。
……でも、魔物ってどんなのだろう。怖いなぁ…。
♦ ♦ ♦
僕は最初の森のほうへ来ていた。
「魔物どこだー?あ、でも弱いやつ。」
全く魔物が見つからないのだ。
困るな。お金が稼げなくなる。
まあ、探し始めたばっかりだししょうがないよね。
きっと一時間後にはたくさん見つかって満足してるよ。
それから一時間後。
「魔物どこだー?弱いやつたくさんこいー。」
またまた一時間後。
「魔物出ておいで~なんもしないから。出ないと目玉をほじくるぞ~。」
さらに一時間後
「魔物様出てきてください。お願いします。」
30分後
「さっさと出てこいっ!魔物!」
まったくいない。
「も~。何でもいいから魔物出てこいっ!」
僕の声は森にむなしく響いた。
「グルアアアアアアアアア!」
「ふぇ?」
背後から雄たけびが聞こえ、変な声がでてしまった。
背後に熊っぽいのがいた。
「わー。くまさんだー。ある日森の中、熊さんに出会っちゃったよ……。何も落としてないのに。」
現実から目をそらす楓。
熊と向き合うこと10秒。
「……。ぎゃああああ!」
全力疾走で逃げる。
今なら、自己ベストが出せると思うね。
「グルアア!」
すかさず、熊の魔物も追いかけてくる。
「何でこんなに速いの!?」
あの巨体で追いかけてくる。
‥‥二足歩行で。
怖い。普通に気持ち悪い。
「確かに魔物出てこいって言ったけどさ!こんなのは出てこなくていいよ!」
こいつから逃げきることはできないと察した楓は、覚悟を決めて剣を抜いた。
「はあっ!」
勢いを込めて振った楓の剣は熊に突き刺さって…いなかった。
それもそのはず、一般人がいくら剣を持っていようと満足に振えるわけがない。
「あっ…。」
楓は悟った。
あっ、これ終わったな……と。
この剣が普通の剣であったら、確かに楓は死んでいただろう。
だが、この剣には仕掛けがある。
バチッ!
そんな、スタンガンのような音を立てて剣から電撃が放たれた。
そう、魔法付与の雷である。
「グルアアッ!?」
流石は魔物というべきか、ふらついただけで意識を保っている。
だがそのすきに、楓は脱兎のごとく逃げだした。
もう魔物が追ってくることはなかった。
「はぁっ…。はぁっ…。」
楓は洞窟の中で座り込んでいた。
さすがに疲れて立つ気にもなれない。
死にかけ、どこかで甘く見ていたこの世界の厳しさを思い知らされたような気分だった。
もうお金は諦めて、ふらふらと洞窟の出口へと向かう。
「痛っ!」
石に躓き、顔面から地面にダイブ!
「ああ、もうっ!なんだ?」
思わず石を拾い、投げようとする。
「ん?」
その石は光り輝いていた。
そしてどこか神秘性を感じさせる、そんな石だった。
思わず怒りも忘れ、石を見つめる。
「ぐっ!?」
突如、脳に激痛が走った。
思わずその場に座り込む。
何かが脳に流れ込んでいく。
「ぐあああっ!?」
暫くすると痛みは治まり、何事もなかったかのような静けさが残った。
石は光を失っていた。
「なんだったんだ……?」
立ち上がると立ち眩みがした。
そして新たな感覚が脳にあった。
「これは…?」
それは。
楓の固有能力の感覚だった。
固有能力というのは当たり前だが、どんなものか分かっていないと発動すらできない。
そのかわり、とても強力で固有能力を持っている人はほとんど歴代の強者である。
普通はステータスプレートに記載されるのだが、楓の場合なぜか表示されなかった。
だから楓の固有能力はあって無いようなものだった。
その固有能力の感覚が石に触れ、なぜか理解することができたのだった。
ただし、一個だけだが。
「どうなっているんだ…?まあ、とりあえず試してみるか。」
楓は集中し、両手に魔力を集める。
「はっ!」
光る玉が前に現れた。
ふわふわと宙に浮かび、洞窟を照らす。
「えっ? なにこれ? これが固有能力? 光属性の魔法っぽいけど…。」
拍子抜けした楓。
歴代はすごい能力者なのに…とちょっと落ち込む。
「うん、でも初めて使えた魔法だ。大事にしよう!何かに使えるかもしれないし。」
前向きに考え、帰路をたどる楓だった。
ちなみにその日は野宿である。
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