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星に願いを~虹の錬金術師の異世界冒険記~  作者: 神無月歌零
二章 迷宮脱出編
39/46

『信頼』

更新遅れてすみません!

少々立て込んでまして……短いですがご容赦ください。

更新は絶対に続けます。


「ぐっ、」


また掠めた部位から血が吹き出た。

もうこれで何発目だろう。避けても消滅させても蹴り飛ばしても、次々に傷がついていく。

それでも負けられない。こんなところで死んでたまるか。

一緒にここを出るんだ。


「がっ!?」


背後からの雷撃で、肉が焦げる匂いがした。

熱いのか痛いのかすらもわからない。頭が朦朧としていた。ただひたすらに、命を狙う運命を弾き飛ばす。


「ガアアアアアアアアア!」

「っ、『光球』!」


命中した『光球』によって羽を絶たれた蝙蝠型の魔物は、地に落ちた。

そこに放たれる槍。うまく避けた楓とは裏腹に、射線上にいた魔物は槍に貫かれ絶命した。


「カエデさん、私も戦います! 最低限の護身術なら心得ています!」

「いや大丈夫、ルナはおとなしく見てて!」


声を上げたルナを安心させ、再び敵に向き直る。


残り二匹。

魔術に特化した蛇型、そしてケルベロスが殺意を滾らせている。

まだまだここからだ。


襲いかかる槍と、魔法陣からの攻撃。

一向に終わる気配がなく、いまも楓の精神力を削り取っていた。


「はぁっ……はぁ……」



ーー楓は心身ともに満身創痍だった。



それでも終わらない。魔力がガリガリ削れて、精神が擦り切れて、視界が歪んで、足がもつれて、それでも続いていく。


別に敵が強すぎるわけではない。ただひたすら続く攻撃に、じわじわと蝕まれる。

ルナを守らなきゃいけない。気を抜いたら死ぬ。極限の緊張が、何分続いているのだろうか。


生き抜いてやるんだ。ルナを守らなきゃ。僕がしっかりしないと。僕はヒーローなんだ。守らないと、僕が頑張らないと――


「カエデさんッ!」

「――」


ルナの悲痛そうな声が、背後から響いた。驚いた拍子に足がふらつき、脇腹を槍が掠めた。


「もう、やめてください!」


再び辛そうなルナの声が脳に響いた。


意味が解らなくて困惑する。なんで。僕が守らなくてどうするんだ。僕が救わないと、助けないと。


「――私を守らなくていいです! 自分のことに集中してください!」

「そんなことをしたらルナが……!」


死んでしまう、その言葉はぐっと飲みこんだ。

いったい何を言っているのだ、ルナは。僕が守らないと、また失ってしまうじゃないか。


「――私を少しは信用してください!」

「……は?」


本当に何を言っているんだ。僕はルナを信用しているし、大切に思っている。失いたくない。だから必死になって守っているのに。


「私だって、自分の身を守るくらいならできます!」

「危ないだろ! もし君に何かあったら……!」

「――そこが信用していないんです!」


傷ついてほしくない。守らないと。もう燈みたいに失うのは嫌なんだ。

信用していないわけじゃない。ただ危険な目に遭わせたくないんだ。

そんな言葉が脳裏をよぎったが、どうにも薄っぺらい気がして口には出せなかった。


「……私だって、自分の身くらい守れます。心配してくれるのは嬉しいです。でも少しくらい信頼してください。」

「ぅ、あ……で、でも」

「どちらにしても、このままじゃ二人とも死にます。私にも戦わせてください!」


揺らいだ。それが視界なのか心なのかは分からない。

もし彼女が死んだら。考えただけで寒気がする。それでも戦わせていいのか。信頼すべきなのだろうか。


「カエデさんッ!」


懇願するようにルナが叫ぶ。


「――そんな悲しい英雄を私は見たくありません!」


悩んだ。悩んで悩んで悩んで痛む頭を動かして悩んで悩んで――


「――分かった。ルナ、僕に協力してくれ」

「……はい!」


腰に下げていた短刀を抜いたルナは、僕の背から飛び出し駆け出した。

槍を避けて魔術を避ける。最低限の動きで魔物の動きを逸らす。ケルベロスの時のような弱さはそこにはなかった。美しい武の構えでルナは空間を舞っていた。


――この選択が正しかったのかは、僕には分からない。

また失うかもしれない。死ぬほど後悔するかもしれない。でも彼女には笑っていて欲しい。


戦おう。あの時とは違う。



一緒に戦って――――生き残るんだ。


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