表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星に願いを~虹の錬金術師の異世界冒険記~  作者: 神無月歌零
番外編 その頃の彼ら
36/46

帰りを待つ

宿で楓の帰りを待っている、テアラさん視点です。


「カエデさん、遅いなぁ」


空を眺める。雲一つない蒼空が眩しい。手を伸ばせば届くかな、そんな馬鹿な考えが頭をよぎった。


うちに泊まりに来てくれているお客様――カエデさんが迷宮に出掛けてから五日が経った。その間一度も帰らず、連絡もない。冒険者とは危険な仕事だ。迷宮の中で――死んでしまったんじゃないかと不安になる。


優しい笑顔を浮かべる人だった。冒険者には珍しい、優しく気弱な男の子。正直あまり強そうじゃなくて、大丈夫なのかと心配していた。


久しぶりのうちのお客。人懐っこく接してくれるカエデさんのおかげで、久しぶりに楽しい日々を送ることができた。本を読んでるカエデさんに驚いたり、一緒にご飯を食べたり、本を読んだり、見たことのない不思議な遊びを教えて貰ったり――宝石のようなキラキラとした日々だった。


私の宿は決して儲かってるわけではない。昔は繁盛していたようだが、今は他の大きな宿にほとんどお客を取られてしまった。もうそろそろ店を閉じなくては、そんなときに彼は来た。


最後のお客さん。精一杯おもてなしをしようと、慣れないことをしてまで頑張った。

……まあ、出会ったときの挨拶で噛んでしまっているんだけども。ついでに敬語も崩れているけど。


兎に角、カエデさんの存在は私の中で大きくて大事だという訳だ。

一緒にいて欲しいし、——


「あ、いやその好きとかそういう訳じゃなくてね!?」


あ、思わず口に出てしまった。

でも違う。

わ、私がカエデさんのことを、恋愛的な意味で、す、好きとかそういう訳じゃない――はず。


男の子と話すのが久しぶりで変な感じなだけだ、うん。そういうことだ!


「……はやく帰ってこないかな」


カエデさんに何故だか無性に会いたかった。お話したいし、一緒にご飯を食べたい。


大丈夫。彼はきっと生きている。私にできるのは待つことだけだ。

ちょっとの辛抱だ。今頃熱心に魔物と戦っているカエデさんを、応援するのが私の役目だ。


それでも。


「――こんなに寂しがってるんだから、早く帰ってきてくださいよ」


ちょっとくらい、こう想ってもいいと思う。


お待たせいたしました。来週からは二章に入れると思います(多分)。



楓は迷宮で何を得て、何を失うのか。そして『迷宮』の正体とは……。

楓の能力、その真価が発揮される。


成長の迷宮脱出編です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ