冒険者になろう!
適度な量を書くって難しいですね。
これから毎回書く文字数は変わっていくと思います。
「か、金がない……だと……?」
楓は驚愕していた。
元々持っていたお金はこの世界のお金っぽいものになっているがあまりにも少なかった。
ちなみに、日本円で1500円ほどである。
これからのことを考えると、買わないほうが賢明だろう。
「くっ…。向こうの世界で本を買いすぎたか……。」
ちょうど本の発売日でお金は使ったばっかりだったので、少し後悔した。
「こうなったら…。」
楓は苦肉の策を取ることにした。
そう。
立ち読みだ!
※良い子はマネしちゃいけません
♦ ♦ ♦
「う~ん、覚えられん。」
店員に見つからないように古本屋で本を読むことにした楓。
『神話 ルイン神』
『マナー入門』
『魔法についての研究』
『歴史サーガザナドゥ』
・・・etc
「覚えるものが多すぎるよ…。」
本は好きだから物語である神話。最低でも必要なマナー、歴史。
固有能力などについて知りたかったから魔術の本。
最初の意気込みはどこかへ行って疲れ果てていた。
まあ、当たり前だが。
「暗記は別に苦手ではないけど、いくらなんでも多いだろよ……。」
普通に学校で一年間に習う量を超えている。
「よし、もういっちょ頑張るか!」
もう一度やる気になったところで、
「立ち読みはがんばらないでほしいねえ…!」
「あっ…。」
青筋を浮かべたおじさんが木刀を担いで立っていた。
…今にも叩き切ってきそうだ。
「出ていけ!」
「すいませんでしたあっ!」
全速力で逃げた。
♦ ♦ ♦
はあ…。
追い出されちゃったよ…。
本屋を追い出された楓はとぼとぼと歩いていた。
結局分かんないことだらけだ。
だけど、適性がないと魔法が使えないという知りたくなかった事実は知ってしまった。
せっかくの異世界なのに~。
神様も先に情報が欲しかったよ。
それから転生させてよ、全く。
最高神に文句を言う楓。物凄く罰当たりだ。
さてと、これからどうするかな。
とりあえずお金が欲しい。
お金がないと食べるものも、住むところも何も手に入らないし…。
でも何をすればいいんだろう。
よし!冒険者になろう。
こうして、ギルドに戻ることを決意した。
今夜泊ることなどはすっかり頭から抜け落ちているのであった。
♦ ♦ ♦
「すみません、冒険者の登録をしてほしいんですけど…。」
ギルドに戻ると、受付にはさっきと同じお姉さんがいた。
ずっと仕事してたのかな…。
「あ、さっきの方ですか。ではステータスプレートを見せてください。」
なっ‥。顔全員分覚えてんのかな‥。すごいな。
そんな風に地味に驚きながら、僕はステータスプレートを差し出した。
「あっ…。16歳だったんですか。14歳くらいかと…。」
ぐっ…。地味にダメージがぁ!
いいですよ。どうせ僕は小さいですよ。
楓は16歳のわりに身長が低く、元の世界でも小さくみられることが多かった。
そのことが地味にコンプレックスなのだ。
「あ、固有能力あるんですか。すごいですね!え…?バグってる?
まあ、そういうこともあるのでしょうか。では手続きしてきます。」
そう言ってお姉さんは奥に消えていった。
しばらくして、戻ってきたお姉さんに青色の金属を渡された。
「これは…?」
「これは、冒険者のランクを表すプレートです。詳しくはこちらを見てください。」
お姉さんは壁には貼り付けられている看板を指さした。
冒険者のランク ※下にいくほど高ランクです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
青 初心者
赤 駆け出し
紫 見習い
黄 半人前
白 普通
黒 中級
銀 上級
金 超上級
真銀 伝説級
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
なるほど~。
ってことは僕は初心者か。
「依頼を受け報酬を得るか、魔物を倒し素材として提供するか、迷宮攻略に手を貸すと冒険者ギルドからお金がもらえます。」
迷宮?そんなものがあるんだ。
というか魔物とか異世界だなあ。
「これから頑張ってください。カエデ様。くれぐれも気を付けてくださいね。」
「ありがとうございました。」
よっしゃあ!冒険者だ!
さて、これからどうするかな。
武器でも手に入れるか。素手で戦うのはまず無理だろう。やはり、剣かなんかはあった方がいいだろう。剣道をやっていたわけではないが、音葉に付き合って練習したことはある。まだ素手よりは希望があるだろう。
あ、でもお金が…。う~ん、悩む。
歩きながら僕は考える。
「悩んでても仕方がない!よし、武器を買おう。無いと魔物とかとも戦えないだろうし。」
そうして僕は片っ端から歩き武具店を探すことにした。
そこで、人に聞こうという発想に至らないのは長いこと虐められてるせいか、コミュ力の低さが現れている。
「やっと見つかった・・。ここでいいかな?」
木でできたその建物には『クーマ武具店』と書かれていた。
「すいませーん。武器を買いたいんですけど…。」
中にいたのはムキムキのおっさん・・・ではなく美少女だった。
急にテンプレぶっ壊したな!
金髪で齢は14くらいだろうか。日本にいたら皆が振り返るであろう見た目だ。
「あ、あの…。」
僕が声をかけるとピューと走って奥に行ってしまった。
「えっ?」
ぽつんと店に取り残された僕。な、なんか変なこと言った……?
暫くすると、ムキムキのおっさんが出てきた。
あ、テンプレ復活。
熊みたいなそのおっさんは…ってクーマと熊をかけてんのかな?
「で、武器を探してるんだってな。どんなのがいいんだ?」
「え、えと…。よく分かんなくて。なるべく安いので…。」
「じゃあ、体型的にも剣のほうがいいかな。でも今高いのしかないしな…。
よし、作るか!」
「えっ!今から作るんですか?」
いきなりトンでも発言。
確か、剣とかって作るの結構時間かかったような…。
「おう、10分くらいでできるから少し待ってろ。何なら見るか?」
「え、あ、はい!」
作るところなんてなかなか見れるもんじゃないしね!
10分ってことは魔法を使うのかな?
僕はおっさんに連れられて奥の工房へと向かった。
「よし、作るか!」
おっさんはどこからともなく鉄?を出してきた。
台の上に置き、集中を始める。
「ふぅー…。」
魔力がおっさんの手に集まり始めた。
「『錬成』」
突如、赤い閃光がスパークし金属が徐々に形を変えていく。
「わぁ……。」
楓は思わず感嘆の声を上げた。初めて見る魔法は幻想的で儚く、どこか危険な雰囲気を纏っていた。
「よし、できた。」
「はやっ!」
見ると、確かに剣の形になっていた。
「というか今のなんですか?」
「ん?ああ、『錬成』のことか。俺の技能で物体の形を変える魔術だよ。」
「錬成……。」
この技能でもあれば、少しは僕も楽だったのにな……。
「あ、忘れてた、サービスでここに今から魔法を付与するんだった。」
「魔法を付与…?」
「まあ、見てろ。『付与、金属強化 雷 火』」
また、剣が光り輝いた。
赤、青、黄…と次々に光の色が変わっていく。
「よし、こんなもんかな。今度こそ完成だ。」
「あ、ありがとうございます!」
「かかってんのは材料費だけだから、結構安いぞ。どれくらい持ってんだ?」
「えっーと…。これだけです。」
僕はポケットに入っていた全財産を取り出した。と言っても1500円だが。
「う~ん、そうだなぁ…。じゃあ、とりあえずこんだけ貰っとくから残りは稼いでから払ってくれ。」
そう言って、全財産の半分ほどお金を取ると残りはこちらに返してくれた。
「えっいいんですか?」
「おう、その代わりちゃんと働いて返せよ~。あ、そういえばもう夕方だがお前どこ泊まるんだ?見た感じここらのもんじゃないだろ?」
鋭いな!この街に来てからすごい見破られる。
「あ、止まるとこ考えてなかった……。」
「はは、意外とドジなんだな。どうだ、俺の家に泊まるか?」
「いいんですか!」
とてもうれしいお誘いだ。
でもなんだか悪いな…。
「ああ、別にいいぞ。家広いし。」
「何から何までありがとうございます!」
「いいって、いいって。よし、じゃあ案内するぜ。」
僕はおっさん・・いや優しいおじさんと工房の二階へと上がった。