異世界に転生しました!
前回より少ないです。
うん、まあ、しょうがないよね。
「こ…ここは?」
目をあけると何もない白い世界にいた。
「目が覚めたかい?」
「うわっ!」
気が付くと目の前に老人がたっていた。
気配もなく、さっきまで誰もいなかったのに…。
「君は死んでしまったからね。死んだのは私たち神のせいでもあるし、あの子のためにも異世界で生き返らせてあげよう。あ、姿はそのままにしてあげるからね。」
ちょっと待った。理解が追い付かない。聞き間違いかな? 神? 異世界?
「あー…。ちょっと一気に言い過ぎたかな…。君を魔法の世界に転生させる。私は最高神。ほとんどの次元を管理してる。OK?」
僕は、納得は全くしてなかったが取り合えずうなずいた。
「よし、じゃあ行ってらっしゃ~い。」
「え?ちょっ」
そうして僕はまた意識を失ったのだった。
これを人は理不尽と呼ぶのだろう。
♦ ♦ ♦
「ん…?」
再び目を覚ますと、今度は青々とした草が生い茂る草原にいた。
都会ではまず見られない、のどかな光景だった。
「ここが異世界か…?」
見た感じだと地球とあまり変わらないようだが。
まあ、とりあえず人を探すか。
急展開過ぎて脳が付いていけてないです…。
「はあ…。はあ…。」
あれから一時間ほど歩いた。
なんで、始まりの町的なものがないんだ!
もっと町が近いところに送ってほしかった……。
そんなことを考えていると、レンガ造りの建物が見えてきた。
「お?村か?」
近づいてみると周りを木の柵に囲まれた街が目の前に広がっていた。
「結構でかいんだな…。」
門の前には兵士がいる。
楓は一瞬ためらったが、ここにいても仕方ないと思いとりあえず街に入ることにした。
「おい、そこのお前名前を名乗れ!」
へ? 意味が分かる!? なんで?
異世界だから言葉について心配していたため結構驚いた楓。
楓には、言語理解という技能があるからなのだが今の楓には知る由もない。
「え、えと僕は楓です。」
兵士はこちらをじろじろと観察した後、
「弱そうだし、まあいいか。入れ。」
と言って通してくれた。
なんか、いやな気分だ…。
「わあ……。」
街に入るとそこは、まるで中世ヨーロッパのようだった。
日本の高層ビルが立ち並ぶ、機械的な都会とは大違いな、レンガ造りの建物が立ち並んでいる。
本当に物語の世界みたいだな。
しばらく歩くと、いい人そうなおばさんに声をかけられた。
「おや、見ない顔だね。恰好を珍しいし、どこのもんだい?」
そういわれて楓は自分の格好が異世界風だが、地球の服だということに気が付いた。
いつの間に、替えられたのだろう……。
あの白い空間の時は制服だったはず――――あれ? 思い出せない。なにか神様にされたんだろうか。
「えーと…。僕は今日この街に初めて来た楓といいます。森から来ました。」
嘘は言ってない。
「森から?貧乏だったのかい?せっかくだし、この街のギルドまで案内してあげようか?」
「えっと…ギルドって何ですか?」
「そんなことも知らないのかい?長い間森で暮らしていたんだねえ…。
ギルドは冒険者としての資格を取ったり、ステータスプレートをもらったり、住民登録をしたりするところだよ。森にいたんだし、ステータスプレートもないだろう?」
なんか、うまい具合に会話が進んでるぞ?森から来た野生児設定、マジで有能!
「あ、はい、そうですね。」
「よし、じゃあ行こうか」
おばさんに連れられて楓は歩き出した。
おばさん、感謝!
「ここがギルドだよ。」
そこは、石造りの建物だった。頑丈そうで、ちょっとやそっとじゃ壊れないだろう。
「プレートは無料だからいっておいで。」
「いろいろとありがとうございました。」
「いいんだよ。じゃあね。」
そういっておばさんは去っていった。
ありがとう、おばさん。
あなたのことは一生忘れません。
ギルドの中には冒険者っぽい人たちがたくさんいた…と思ったら住民登録をする人なのか村人っぽい人なども普通にいた。
なんか意外だな。
周りから好奇の目で見られる中、とりあえず受付に行きステータスプレートをもらうことにした。
テンプレ通り、受付の美人(?)なお姉さんに楓は話しかけた。
「すいません、ステータスプレートをください。」
「あ、はい。ステータスプレートの発行ですね。それでは、これに自分の血を付けてください。」
そういって受付のお姉さんに渡されたのは金色の金属板だった。
よく分からなかったが、とりあえず指先を切って血を付けることにした。
「っ…痛いな。はい、付けました。」
すると突如、金属板が光りだした。
「うわっ!」
楓はつい声を上げてしまった。
ここは公共の場だと気づき、慌てて口を手で押さえる。
発光したステータスプレートは光が収まると文字が浮き出ていた。
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七星楓 人族 16歳 Lv1
MP 100/100
HP200/200
魔力 100
HP 200
精神力 150
筋力 50
耐性 3
魔耐 20
俊敏 50
技能 言語理解
固有能力 《khbvgkj?vjbv》 《jhbvjg》
称号 転生者(秘匿中) 神の加護を受けし者(秘匿中)
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あ、言語理解あったんだ・・・。だから、文字が読めるんだな。
この数値って高いのかな?意外と高くてチートだとか!
ていうか、固有能力読めないよ!言語理解、仕事して!
加護ってあのおじいさんの・・・?
楓が内心で喋りまくっていると、心を読んだのかお姉さんから平均ステータスを書いた紙を渡された。
「これは20歳の平均ステータスです。参考程度にどうぞ。それではいい旅を。ご利用ありがとうございました。」
後ろで待っている人もいたため、楓はとりあえず建物を出て紙を見てみることにした。
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名無しの権兵衛 人族 20歳 Lv35
魔力 269
HP 478
精神力 174
筋力 120
耐性 15
魔耐 60
俊敏 74
技能 水属性 +何か一個など
固有能力 無し
称号 村人 村長
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LVは最高100。Lvとはその人の限界を100とした数値といわれている。
固有能力はその人にしかないスキル。とても珍しい。
全ての数値は、レベルとともに上がる。
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え……。僕のステータス、平均より低くない?
異世界チートは?
てか、属性ないと魔法使えないとかないよね?
異世界で魔法なしと嫌だよ?
地味にショックを受けた!
……これからどうしようか。
「…とりあえずこの世界について勉強しますか。」
そうして、楓は情報を得られそうな本屋にため息をつきながら向かうのだった。
……ちなみに、楓が所持金について気にするのはもう少し先の話。