初日の一歩目
「ふぁぁ…」
目を覚ますこの男。天柄未来
あまつかみらい
。この物語の主人公である。
朝の日差しが窓から入り込みぐしゃぐしゃの布団の上に寝ていたに未来に容赦なく照りつけ自然と目が細くなる。
「おはよう…」
「のわっ!?」
日差しが遮られたかと思うと視界にはいつも見ている幼馴染みの顔が飛び込んでいた。天音瑠璃
である。
未央は慌て飛び起き壁の隅まで引き下がる。
何故なら思春期真っ只中の未来の前には美少女が
新しい制服を着て四つん這いになり上目遣いでこちらを不思議そうに見つめているのである。
そう。文章では伝わりにくいだろうが彼女は可愛いのだ、恋愛もののファンタジーにありがちな感じの。人混みを歩けばほとんどの男性が振り返るほどの。
そして彼女の制服姿を見ていた未来は思い出す。
そう、今日は入学式だと・・・
「ねぇ…未来」
「なんだよ…」
…
「遅刻するよ?…」
「溜めんな!知ってるよっ!」
未央は目の前の美少女の声と共に現実に引き戻される。ドタバタと音を立てながら歯を磨き顔を洗いetc
着替えを始めるが…ふと一つの疑問が脳裏に浮かぶ。
「なんで当たり前のように男子の着替えみてんだよ!恥ずかしいだろ!」
上半身パジャマ頭ボサホザの未来はありきたりなワイシャツに頭を倒したところで止まり、美少女幼馴染みに向け言い放つ。
「遅刻する…」
今はそんな事を言っている暇がない、そう悟ったのか未来は瑠璃に背を向けると着替えを始める。
未だにドタバタと音を立て支度をする未来に対し、本人には聞こえないくらいか細い声で彼女は呟いた。
「行くぞ!瑠璃!」
制服からワイシャツが見え、完璧に着こなしていないまま瑠璃の手を握り部屋のドアを勢いよく開けて、走り出す。
ここは魔導学園の敷地にある寮の一室。
新入生はとりあえずここへ放り込まれるわけだが、当然女子寮と男子寮は別れている。
ならなぜ瑠璃は今、未来の後ろをついて走っているのか。そう。未来が遅刻ギリギリの時間になっても待ち合わせ場所に来なかったからだ。もちろん時間ギリギリなので他の生徒は誰1人としていないが全新入生徒は数百人に及ぶマンモス学園の寮は言うまでもないがとても大きい。そして校舎までも多少となり遠いのだ。
「走れ!瑠璃!もっと早くだ!」
自分勝手にも程がある。誰の為に待っていたのか。
そう思いながらも
瑠璃は引っ張られながらも必死に未来の手を離さなかった。
未来達が所属する魔導学園の校門は一つしかなく、そこを通らなければ校舎には入れない。しかも今日は入学式。間に合わなければバレるのだ確実に。未来は思う。自分はいい、でも瑠璃はダメだ、なぜならーーーーーー
「見えた!校門だ!間に合えーーーーー!」
遠くから見てもわかるような大きな塔にも見える丸いビルのような校舎が3棟顔を見せる。
未来はラストスパートダッシュ、瑠璃も負けじと手を離さずくらいつき、校門を抜けた。
未来と瑠璃の魔学生活、最初の一歩である。
砂煙を巻き上げ誰1人いない校庭で息切れをする2人。
鳥の鳴き声が響きわたるくらい静かな校庭、入学式なのだから当然といえば当然か。
膝をつきながらも間に合ったと確信した未来は考える。そう、これから忍び込む算段を。しかしその安易な考えは次の瞬間打ち砕かれた。
「入学そうそう遅刻とは良い度胸!うんうん」
聴いたことのない声が未来達の背後から聞こえたのだ。
肩まである長い長髪が風でなびき奇妙なアイマスクにもにたような仮面を被った黒スーツを纏った男性。そう、側からみたら不審者っぽい。謎の男性は腕を組みながら頷く。
「あんた誰だ。顔隠すってことは…不ー」
「ちーがーうーなー?」
男性は白い手袋をした右手を前に出し未来が言い切る前に否定し続けて2人にこう言い放った。
「私は魔導軍所属、魔導学園魔導科の教師を務めている
要影士郎
だ。うんうん」
固まって口をぽかーんとあける2人。
そして次の言葉に2人は驚愕し、顔を見合わせるであった。
「君たちの担任だよ」