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夢のその先へ
また夢を見た。
辺りは火に焼かれ大人達の叫びと子供達の悲鳴。
火に焼かれる木の独特な音。重い瞼を開け彼は思う。
無力だ。
無力なのだ。
辺りを見回し自分の視界が横になっている事で
自分の体勢を理解する。
ああ、横に倒れてるのは俺か。
ああ、死ぬんだ。
そう悟った、悟るしかなかった。
もう痛みさえ感じないくらい
もう生きる気力すらないくらい。
生きる事を諦めたように
朧げな意識の中を彷徨ってる自分に
懐かしくも力強い声だけが響いた。
「未来!未来!未来!」
彼は静かに目を閉じた。
夢はここで終わる。
ここは魔導学園の寮の一室。
見知った天井を見上げボサボサの髪の毛をさらにクシャクシャしながら大あくびをして朝が来たのを再確認。
天柄未来の物語の始まりである。