3-17 満十歳になりました。……そして(済)
第三章の最終話になります。
「……何なんだよ、あの化け物は……」
勇者と言われたアルフィオが掠れたような声を漏らした。
だがそれを“弱気”とは誰も責められない。エルフのアンティコーワや剣士のチェリアも、【魔獣】との戦いを見て血の気が引いた青い顔をしていた。
アルフィオが早めの食事を用意され、先ほどのリュドリック殿下との遣り取りに憤慨しながらも、美人揃いの女性騎士や侍女達とどうやってお近づきになろうかと考えていると、唐突な眠気に襲われて意識を無くした。
まさか【勇者】である自分達さえ、強制的に魔力を奪われる生け贄であったとはつゆ知らず、アルフィオが湖畔の森の中で目を覚ました時には、リュドリックやその護衛達が、古城があった場所に向かおうと準備をしていた。
(古城が消えた……?)
正確には消えたのではなく半分ほど残っていたのだが、アルフィオ達の記憶にある城はすでになく、その上空では“黄金”と“漆黒”の嵐が荒れ狂い、あの美しかった城周囲の森がどす黒く変色していた。
見るからにまともな状況ではない。
ここからでも分かるほど禍々しい気配を感じるその場所に向かうなど、アルフィオからしてみれば正気の沙汰ではなかったが、アンティコーワやチェリア、そしてアルフィオを真の勇者と認め疑わないアタリーヌ達の願いにより、アルフィオはしぶしぶ古城跡に向かうことになった。
その性格からシグレス王家からは無視されていても、アルフィオは無能ではない。
悪魔や魔族が自然に使う魔力による身体強化を魔術として創り上げ、高速移動系や防御系の『安全に戦う魔術』にかけては、彼は素晴らしい才能を発揮していた。
高速移動の魔術を仲間達に施し、アルフィオはリュドリック達より先に、裏手からその場所に行くことが出来た。
そしてアルフィオ達は、そこでとんでもない光景を目撃する。
見ただけで“天災級”と分かる【魔獣】が存在し、あろうことか、あの美しい姫君……ユールシアが、従者達と共に恐ろしい【魔獣】と戦闘を繰り広げていた。
安全な距離を優先させたために、仔細なところまでは分からなかったが、ユールシアは黄金の翼のようなモノで空を飛び、魔法で作った黄金の槍を投げ放ち、【魔獣】を地に墜とした。
だが、それが問題ではない。
確かにユールシアの使った神聖魔術は、強大な魔力と【聖】の気を感じさせ、彼女と同じ【聖女】と呼ばれるアンティコーワが力の差に愕然としていたが、それ自体は驚きつつも大きな問題ではなかった。
問題は【聖女】と呼ばれる彼女の従者達。
聖女と共に戦う彼らの姿は遠目にも“異形”であり、そのうちの一人が、アルフィオ達と以前に戦った【魔族】であると気がついた。
「ど、どういうことなんだよっ!?」
「……分かんないけど、あのお姫さまが魔族とつるんでいたってこと?」
「ば、馬鹿なこと言わないで、アンコっ。あの子は聖王国の【姫】で、アタリー達の妹なのよっ! きっと魔族に騙されているのよっ」
状況に混乱するアルフィオ達。そこに今まで黙っていたアタリーヌが笑うように声を掛けた。
「ふふ……やっぱり、あの子……ユールシアは邪悪な存在だったのですわっ」
「お、お姉様……?」
傲慢な笑みを浮かべる姉にオレリーヌが冷や汗を流す。
「いえ、あの……あれでも一応、私達の妹で……」
「オレリーヌっ!」
「ま、待て、アタリーっ。あんな美少女が……いや、あの子は、あの化け物と戦っていたじゃないか」
「そもそもそれがおかしいのですわっ。あんな“化け物”と戦える実力が、ユールシアにあるなんて有り得ませんっ。その証拠にほら」
アルフィオの言葉に答えたアタリーヌが指し示す方を見ると、そこにリュドリック達が到着していた。
「ちょうど良い場面でリュドリック様が到着しましたわ。やっぱり、あの子は魔王と結託して化け物を呼び出し、リュドリック様を騙そうとしているのよっ!」
「そ、そうなのか……」
良く分からない理論であったが反論を思いつけず、実の姉の言うことだから、彼女だけが分かる何かがあるのだとアルフィオは納得した。
それにアルフィオからしてみれば“美少女”に貴賤はなく、まともなお姫様よりも悪落ちしたお姫様の方が落としやすいと、前世で読んだ“薄い本”に良く書いてあったのを思い出した。
「よ、よし……。とりあえずここから撤退するぞっ」
「どうしてですかっ!? 今、あのユールシアの悪事を殿下達の前で暴いて、」
「駄目だっ、もしこの話を殿下が信用しなかったら、あそこにいる全員を相手にするんだぞ? 単独になったところを狙おうっ」
「……そうですわね。リュドリック様が洗脳されているかも知れませんし」
アルフィオの説得に、アタリーヌはそうなり得る可能性を理解して、歯噛みしながらも頷いてくれた。
まさか、あの魔獣が恐ろしいとはとても言えず、アルフィオは胸を撫で下ろす。
「でも撤退してどこに行くの?」
「まずはこの国から出よう……」
不安そうなチェリアにアルフィオは軽薄そうな笑みを浮かべて、彼女の肩を抱く。
今までカリストの依頼をこなして、少なくない額の金が貯まっている。
アルフィオの望みは、この世の王になることでも世界を救うことでもなく、“嫁”達と一緒に末永く幸せに生きることだ。
嫁を手に入れるためなら戦っても良いが、それ以外で命の危険に遭うつもりもないので、ほとぼりが冷めるまでシグレスの実家辺りで過ごそうかと思っていた。
「わかったわっ! それじゃ、魔族領に行く準備をしましょうっ」
「……え」
アンティコーワの決意のこもった言葉にアルフィオが思わず声を漏らした。
「そうだったのね、アルっ。魔族の戦力を削ぎつつ、あの子が魔族と繋がっている証拠を集めて、ついでに修行にもなるわっ!」
「さすがですわ、アル様っ! そのような深い考えがあったとは、我ら姉妹、あらためてアル様を尊敬いたしますわっ」
「アル様、素敵ですぅ すぐに出発しますかっ?」
チェリアやアタリーヌやオレリーヌさえも、アンティコーワの言葉に頷き、好意に満ちた瞳でアルフィオを見つめていた。
「……い、行こうっ!」
「「「「はいっ」」」」
もう逃げることは出来ない。アルフィオは何故こうなったのか内心頭を抱えながら、女の前で格好付けることしか出来ず、彼らは魔族領へと向かうことになった。
「………」
その中でアタリーヌは、ようやくユールシアに吠え面をかかせることが出来るとほくそ笑みながら、……何か重大な“間違い”をしている感覚を微かに覚え、それを無理矢理に心の奥底へと押し込めた。
***
「「「「「「「「………………」」」」」」」」
盛大な捨て台詞を残して【彼】が何処かへと飛び去ると、その場にいる全員が勝利を喜ぶでもなく微妙な沈黙で私を見つめていた。
どうしましょ……。
あいつめ……あんな事を言ったら、まるで私が悪魔と知り合いのように聞こえるではありませんか。
実際そうなんだから仕方がないけど、どうやって誤魔化そうかと従者達に視線を送ると、いつの間にか彼らは数十メートル離れて無関係の振りをしていた。
……あなた達、本気で後で覚えていなさいっ。
「……まさか、あのカペル公爵様が、あのような恐ろしい悪魔を呼び出そうとしていたなんて……」
私は沈痛な面持ちで“責任転嫁”を謀る。
半分以上は事実だから特に問題はありませんわ。……もう半分は確実に私のせいですけど。
「……カペル公爵はどうした?」
それも気になっていたのでしょう。リックも私の話に乗ってくる。
「あの悪魔が現れて、……私が自分を解毒する前に、ほとんどの方がその犠牲に……」
「そうか……。一人でも実行犯を捕らえられれば良かったのだが……」
「さすがにあの状況では……」
私と【彼】の戦闘に巻き込まれて生きているとはさすがに思えない。話の流れを変える為に、どうにかしてカペル公爵が元凶だと丸め込みたい。
「問題ありません」
そんな声に振り返ると、全身ボロボロで微かに笑い声を漏らす人間を抱えたノアが、私達のところまで来ていた。
「その人は……?」
「はい、カリスト大司教です。運良く爆風に飛ばされ、森の中に倒れていたのを発見しました」
まさか従者達が証人を捜していてくれたとは……っ。
でも証拠じゃなくて証人だと、私が悪魔に変わるところを見ているんじゃないの? と考えたけど、精神系が得意なファニーがこっそり手で丸を作っていたので、私もホッと安堵する。
「それどころじゃないですよっ!」
突然、ノエルが大きな声を出した。
これはやばい……。誤魔化しきれなかったと身構えていると、リックがノエルの肩に手を置いて彼に話しかける。
「ノエル……。お前だって、一番つらいのがユールシアだと分かっているだろ……」
「それはっ、……そうなんですが、ルシアが可哀想で……」
……へ?
「そうですよっ、姫様があんな恐ろしい悪魔に目を付けられるなんてっ」
「おそらくユールシア様のお力を恐れたのでしょう……。あんな悪魔風情がユールシア様を“生け贄”に求めるなど……」
ノエルの一言を皮切りに、護衛騎士や聖騎士さん達が私に慰めの言葉をくれた。
要するに、【彼】のあの台詞は、聖女である私を生け贄に求める言葉で、私がおどおどしていたのは、それに怯えていたのだと思ってくれていたらしい。
さすがにここまで信用が高いと、悪魔でもちょっと心が痛む。
そんな話が落ち着く頃になって、戦闘が終わったと判断したのか、ヴィオ達と彼女達を護衛していた熊さん達傭兵団の皆さんが戻ってきた。
「ユルお嬢様っ、ご無事ですか!?」
「すまねぇっ! 団長の俺が肝心な時に役に立てなくて……」
お酒好きの熊さんは、睡眠薬入りのお酒を大量に飲んだらしく、ヴィオの解毒でも時間が掛かったみたい。
とりあえずここに居ても仕方ないので、暗くなる前に街に戻ることにする。
「ところでユルお嬢様。……どうしてお召し物を替えられているのですか……?」
みんなが撤退の準備をする中、ヴィオが初めて見る黒銀のドレスに、彼女の目がキラリと光った気がした。
「見るからに、かなり上等な品とお見受けしますが?」
「それは俺も気になっていた。食事の時は違うドレスを着ていたよな?」
うっ……リックのくせに目敏いな。横から聞きつけたリックがさらに疑問を重ねて、最後にノエルが私のドレスを見て不思議そうな顔をする。
「そのルシアのドレスって……ひょっとして魔法の品?」
この世界にも魔法のアイテムは存在する。
でもそれはファンタジーで良くある、魔法を掛けて効果を持続化させたエンチャントではなく、物に魔法陣を仕込んで魔力で発動させる【魔道具】が一般的です。
それ故に魔法陣の研究で食べていける人が居るんですけど、私が今着ているドレスのような複雑な魔術が常時展開されているのは見かけない。
魔力を帯びた魔力剣はあるけど、あれは刀身に魔法陣を刻んであり、一定以上の魔力を貯める機能も付いているだけの魔力充電式なのです。
このドレスは実際、【魔力結界】【自動再生】【形状変化】の魔法が掛かってるし、これって複数の大悪魔が作り上げた伝説級のドレスだからねぇ……。さてどうしようかと、チラリと従者達に視線を向けると、今度はちゃんとティナが前に出てきた。
「お話し中に失礼させていただきます。そちらのドレスは、ユールシア様が考案なされた魔術によって、布地に魔法陣が織り込まれた【聖女】用の専用装備にございます」
「ほぉ……そんな物があるのか。どこの研究所で作った? 他にも作れるのか?」
リックが感心したように問うと、ティナも真面目な顔で堂々とデタラメを答える。
「これを作ったのは我々四人でございますが、布に魔法陣を織り込むことにユールシア様の神聖魔法が不可欠であり、まだ研究段階のため使用する魔力量が膨大で、この一着を制作するのが精一杯でございました。短期間での複数制作はユールシア様の負担が大きく、体調を崩される可能性が…」
「いや、分かった。……そうか、残念だ」
「それではこの【聖剣】もルシアが作ったのでしょうか? どちらも凄いのは見てわかりますけど、どうしてドレスが黒なんですか……?」
ノエルのまた何気ない一言に、ティナの言葉が一瞬止まる。
ノエルが言いたいのは、聖女様用専用装備なら【黒】は無いんじゃない?……と言いたいのでしょう。うん、私もそう思う。
さすがのティナも、そこまで言い訳を用意していなかったのかと思えたが、ティナは何故か、フフンッと笑みを漏らし(薄い)胸を張る。
「ユールシア様の白い肌と金の髪には“黒”が似合うのです。もちろん、下着も黒レースのきわどい物で統一していますわっ」
その一言に、リックとノエルが顔を赤くして私から視線を逸らし、私も顔を真っ赤にしながら、ティナの頭を地面に叩きつける勢いで引っぱたいた。
***
あの事件から数ヶ月が過ぎました。
従者の一人が、主人が現在穿いている下着の色を男性の前で暴露し、主人に叱責されて一晩寝込むという事件が……、あれ? そっちではありませんか?
私達が王都に戻ると、すでに連絡を受けていた王城では重鎮達が慌ただしく事の収拾に動いていました。
私が適度に回復してあげたカリストがペラペラと自供し、結果としてカペル公爵家はお取り潰し……になるはずでしたが、さすがに数年で二つの公爵家を潰すと、他国から弱体化したと思われて侮られる可能性がありましたので、お祖父様にも信用のある弟のゼッシュさんが新しいカペル公爵となったのです。
例の『輝きに闇をもたらす聖女の会』の会員さんで、王都にあるカーペ商会の代表であり、私の裏金を管理してくれている人なのです。
……何故か説明するとイメージが悪くなりますね。
そしてもう一つ問題がありまして、私のことです。
城を丸ごと吹き飛ばすような【魔獣】が現れ、一度は撃退しましたが、その魔獣は、私を“生け贄”として求めるような言葉を残したので、王都を囲む各公爵家領地で、外敵に対する厳重な監視体制を敷くことになったのです。
私が僻地の屋敷にでも移れば問題ないんですけど、誰も許してくれなかったので、仕方なく私も働きました。
五カ所の公爵家領地に出向き、巨大な【聖結界】を作り、偶に【祝福の宴】で領民達を不安にさせ……もとい不安を払拭させる、と言ったことを半年ほど続けると、一度も【魔獣】が姿を見せないこともあり、表向きは平穏を取り戻すことが出来ました。
私も今では普通に学院で授業を受けています。
変わったことと言えば、ブリちゃん達護衛騎士さんが廊下にずらりと並び、教室の外で待機しているくらいですかね。
……また同級生達との距離が開いてしまったわ。まぁ、今更なんですが……。
そう言えば変な噂も流れました。
『聖王国の【姫】を、魔獣が“嫁”に寄越せと暴れた』……と。
噂なのに、公式で伝わっている情報よりも真実に近いのがビックリなのです。
***
また数ヶ月がすぎて、私はもうすぐ10歳になります。
身長もまだ伸びていたけど、前みたいに関節が痛くなるほどではありません。今の身長は……同じ歳の子の平均より頭半分大きいくらいかな?
それよりも、身長より体重の増加が大きいのが気になります……。
表向きはすっかり平穏になったと言いましたが、問題は解決していません。
今頃【彼】は、どこで何をしているんでしょう?
そんな感じなので、今年は誕生日パーティーは無しかなぁ……と思っていたら、普通にやるみたいです。
でもちょっと今までとは違う。パーティーの前に王都のコストル大聖堂で、何かの式をするんだって。
「ルシア……っ」
お誕生日当日。聖女専用装備と言うことで今回も着用している黒銀ドレスは、何か黒すぎて威圧感があるので、その上から真っ白で豪華なサーコートを羽織って、大聖堂の一室で待機していると、お久しぶりのワンコの声が聞こえた。
「ノエルーっ」
私が軽く手を振ると、ノエルが本当にワンちゃんみたいに駆け寄ってきて、私の手を握る。……リックもそうだけど、君達、女の子に気安く触れすぎです。
「ノエル、なんか凄い格好しているね」
「……うん、派手だよね……なんか」
ノエルも背が伸びたみたいで以前と身長差が変わらない。そんな彼が今回着ているのは、綺麗に磨かれた銀色の肩当て、胸当て、小手等の部分鎧。その他は堅革製だから、重装と軽装の中間くらいかな?
その上に私のと良く似た紺色のサーコートを着て、腰には私があげた黄金魔剣を下げている。
なんか豪華そうなその装備にノエルは不安そうにしていたけど。
「大丈夫。ちゃんと格好いいよ、ノエル」
「あ、ありがと……ルシア」
照れたように微笑むノエルは本当に可愛いな。
「俺はどうだ?」
「え? ……リック?」
開いたままの扉からリックが歩いてきて……あれ?
「その格好……」
リックの格好もノエルと良く似た豪華な装備で、ノエルより金属鎧部分が多いから、騎士っぽい感じになっていた。
「値段、高そう……」
「……なんだそれは」
私の答えにリックは呆れた顔で私の額を指で突き、私の手を握るノエルを軽く睨んだ後に、私の右手を取って強引に歩き出した。
「行くぞ、ユールシアっ」
「だから、どこにっ!?」
このままだとまた引っ張り合いになるのかと思ったけど、ノエルは私の左手を握ったまま隣を歩き、そのまま二人に引かれるように廊下を進んでいった。
……え、この状況のまま人前に出るんですか?
「リュドリック・ラ・フォン・ヴェルセニアよ、汝、悪しき魔獣より民を護りし功績により、【聖戦士】の称号を与える」
「はっ」
コストル聖教会、教皇テオフィロ様のお言葉が聖堂内に響き、埋め尽くす上級貴族や騎士達から称賛のどよめきが起こる。
「ノエル・バルナバスよ、汝、悪しき魔獣を撃退せし功績により、【聖王国の勇者】の称号を与える」
「はいっ」
その言葉にさらに、……特に騎士達からどよめきが漏れた。
「ユールシア・ラ・ヴェルセニアよ、汝、悪しき魔獣の手より戦士達を護り、民の不安を癒した功績により、【聖王国の聖女】の称号を与えるっ」
「……はい」
その瞬間、どよめきというか大歓声が上がり、やる気のない私を左右から聖戦士様と勇者様が引っ張り上げた。
私、悪魔ですよ……。
なんか、魔獣の脅威とか、国民の不安とか、貴族への不信感とか、その他諸々を払拭するために、魔獣を撃退した私達に【称号】が贈られて、それを国内と国外に広めるらしいのです。
「………」
リックとノエルは少しだけ緊張した顔で観衆達に手を振り、両側からガッチリと拘束された私は手を振ることも出来ず、とりあえず精一杯の笑顔を振りまいた。
もう一度言いましょう。
私……“悪魔”ですよ?
その数日後……、魔王領から【魔王ヘブラード】の名において、人間国家に対しての宣戦布告が行われた。
読了、ありがとうございました。
これにて『第三章・獣の花嫁』が終了です。
花嫁の単語はもっと早く出すつもりだったのですが、うまくいかないものですね。
『第四章・デヴィル プリンセス』は、第一部最終章なので、文章量を気にせず、好きに書かせていただこうかと思っています。
では、ご意見ご感想をお待ちしております。





