ある少女の日記がある読みますか? はい←いいえ
うぅ……お母さん! お父さん! やめて! 二人を殺さないでっーー
「うぁ?! はぁ……はぁ……ここは、馬小屋……?」
なんで……私、生きてるの? 確かお母さんとお父さんが帝国の【勇者】と名乗った男に殺されて記憶を失う前に火を放たれて……
「どうして、馬小屋にいるのかしら?」
――――ガサ……ザサッ……
「……⁉︎ 誰か居るの!?」
「うぅ……母さん……父さん……」
「気付かなかったわ。まさか隣に女の子が寝ていたなんて。それにしてもこの子、凄く綺麗……例えるなら国宝級の宝石のよう……欲しいわ。この子が」
あらあら、いけない私ったら。
もしかして、この子がわたしを助けてくれたのかしら?
「ねぇ、おきて」
「ぅ……ん?」
「まだ寝ぼけてるけど。おはよう」
「ん……おはよぅ」
綺麗なのは顔だけじゃないのね。声も綺麗……ますます欲しくなってきたわ。
「あなたが私を火の中から助けてくれたの?」
この子はまだ完全に目が覚めていないのか私の質問に「う……ん?」と曖昧な返答を繰り返した。
「たぶん、いや。あなたが私を助けてくれたのよね。ありがとう。それで、あなたの名前を教えてくれないかしら?」
相手の名を知りたいならまずは自分からと言うけど今のこの子に名前をつけ教えても覚えてもらえそうにないわね。ただ、名前を教えてくれる可能性も低いけど
「ぅ……ん……ヤイバ」
「ヤイバ?」
男の子みたいな名前ね。そういえば隣村の女の子が変なことを言ってたわね。確か「女の子のような見た目の男の子がいる」だったかしら? もしかしてこの子が……?
「まぁ、いいわ。私はエレン・クォート」
「エレ……ン?」
「っ!?……」
なにこの子笑顔の破壊力がとてつもないわ! いけない、抑えが
「エレン……よろしくね?」
「――。――――」
……その後の記憶が曖昧だわ。途中、男が入ってきたような気がししたけど気のせいね。
「ハァ……ハァー。やばかった」
「ごめんなさいね。抑えが効かなかったわ」
「あ、あぁ。もうダメかと思った」
「あら? 酷い言われようね」
「あー。すまん」
「別にいいわ」
ややはり、この子が例の噂の子みたいね。まぁ、男でも可愛いからいいのよ……うん。
「ーーっ。背筋がゾッとした」
「完全に目が覚めたみたいだから改めて自己紹介をさせて貰えるかしら?」
「あー。ちょっと待ってくれ。外に俺の親友がいると思うから。そいつも一緒にいいか?」
「えぇ、いいわよ」
ふふ、こんな可愛い子の親友なんだからきっと私が想像するよりも可愛らしい子よね?