表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/18

焼き崩れた町

約一年ぶりの更新です。大変長らくお待たせいたしました。

ゴオゴオと音をたて家が焼き崩れる。


「なぁ……ヤイバ」

「なに言うんじゃねぇ。俺もお前と一緒の気分だよ、ライト」

「いや、あえて言う。スゥーー」

大きく息を吸ったライトは腹の底から声を出して叫んだ。




「なんで燃えてるんだよォ!?」




「あぁ……燃えてるな」

「なんで! お前は! 冷静なんだよ!」

意外にもツッコミが似合うライト君でした。


「ゴホン。 ヤイバ、お前は水魔法で消火しろ。俺はそこの川から水汲んでる」

「わかった。でも樽とかあったか?」

「大丈夫だ。ちゃんと持ってるからな」

「そうか、よしやるか」

「おう!」


それからの二人の動きは速かった。ヤイバが水魔法を放ちライトが汲んできた水を弱まった火にかけるという二人の息の合った動きによって火は一時間ほどで鎮火した。


「ハァ……ハァ」

「ヤイバ、大丈夫か?」

「ハァ……ハァ……大丈夫」

魔力の使いすぎで見た目が女の子なヤイバはとんでもない状態になっているのに対してライトは汗ひとつ流していなかった。


「はぁー……よし、回復した」

「ん、なら生きてる人探すか」

ライトは半分諦めているような様子で立ち上がりゆっくりと歩いって行く。


「ちょっと待ってくれ!」

「なんだよ、早く行くぞ」

「いや、待てって。おい、ライト! 良い情報と悪い情報どっちが聞きたい?」

「そりゃあ、良い情報だろ」

「人の反応があった」

「マジか!? それで、何人だ?」

「そして、悪い情報だが」

「おい、だから」

「反応は一つだけ、しかも……弱くなっている」

「おい! 場所はどこだ!?」

「この先を抜けたところだ」

「早く行くぞ!」

「わかってるよ!」



○ 崩れた家


何者かに荒らされた後、火を放たれ跡形もなく崩れた家。そして、ナニカを焼いたようなひどい臭いが立ち込めていた。



◇ライトshift


「うぅ、こいつはひでぇ」

俺がその家を見たときの感想はこの一言だけだった。

誰がこんな酷いことをしたかなんて考えなくてもわかる。帝国の奴らだろう。許せねぇ……罪のない人々を殺し。こんな形で土に返すなんて。


「ヤイバ、反応の場所は本当にここなんだな?」

「あぁ、この家のどこかにいるはずなんだが」


こいつ、ヤイバは俺の親友だ。なぜか見た目が女でその見た目のせいで女友達が一人もいないという伝説を持っている。

こいつは時に大人でも素手で倒しちまうくせに滅多に拳を使わない。一度なぜか聞いてみたんだが「拳を使うと手加減が効かないから」と返ってきたときは驚いたぜ。



「ライト! いたぞ、見つけた!」

「まってろすぐに向かう!」


もし、ヤイバが女なら惚れてたに違いねえや。




◇ライトshiftout


唯一の生き残りを無事助け出すことができた二人は奇跡的に火が放たれていなかった馬小屋に生き残りの少女を運んだ。


◇ヤイバshift


「ライト、俺は回復術を使って治療を行う。俺がぶっ倒れたら後は任せたからな」

「わかった。なら、今のうちに飯を取りに行ってくる」

「あぁ」


俺はライトが小屋から出て行くのを見届けた後、火傷を負った少女に目を向けた。


「やばいな、とりあえず火傷を治すか。『ファイヤーヒール』」


この魔法は、俺が母から教えてもらった回復術の一つだ。主に火に関する傷を治すことができる。しかし、それ以外にはあんまり役に立たないのが難点だな。


「よし、呼吸も落ち着いてきたな。後は『ヒール』と『ウォッシュ』 うん、これで大丈夫かな」

ウォッシュは回復術じゃなくて日常呪文だ、効果は確か……汚れを落とすとかだったはず。

俺はライトに一つだけ隠し事をしている。それは、俺が帝国の奴らに対してものすごく黒い黒い感情を持ってるいるということだ。ライトも帝国の奴らを憎んで復讐をすると言っていたが俺は帝国を滅ぼ……っ痛、魔力の使いすぎか? 意識が……



ヤイバはそのまま気を失ってしまった。




つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ