片田諒太
エマヌエーレ三世から直接指示を受けたイタリア王国参謀総長は、不思議な男である新入りの部下に尋ねた。
「どちらについた方が得策か?」
無論、イタリア王国は三国同盟から考えれば、ドイツとオーストリアに同調するべきだろうが、「未回収のイタリア」と呼ばれる地域で、オーストリアと争っている。
逆に言えば、どちらでも有利だと思う方につけるのだ。
「俺は……」
無口に窓の外を眺める男、片田諒太はボソリと続けた。
「ドイツと手を切るべきじゃないと思う」
ふむ。確かにドイツ帝国は今やヨーロッパ最強の帝国だ。確かに敵に回すべきでないかもしれない。だけど……
「戦争するのは俺たちだが、戦争を続けるかは国民が決めるんだ。オーストリアと仲良くしてたら、決して穏やかではないぞ」
聞いているのかいないのか、リョウタは窓の外を眺めたままだ。しかし、急に頬を釣り上げると、
「それくらい参戦の条件としてドイツに言えばなんとかしてくれるだろう」
そういうのも有りか?
「ただし、それも早くにしないと通用しなくなる。戦局が劣勢の状態で参戦の条件を突きつけても、そんな余裕はないと跳ね返される」
ふむ。
「わかった、今すぐ陛下に進言しよう」
翌八月五日、イタリア王国は参戦の旨を示す電報を打った。
宛先は、ドイツ帝国である。
短くてすみません。
突然で申し訳ないのですが、本作の更新を少しの間お休みします。
数日前からどうも体調が悪く、頭が働かないために皆様に楽しんでいただけるものを書ける状態で無いためです。
その間、貯めてある「DeaFedele」の方を少しづつ上げていきます。
皆様のご理解とご協力をお願いいたします。