海戦
ドイツ軍はイギリス艦隊出港の報せを受け取ると、地中海へ向けていた海軍に英国艦隊攻撃の指令を出した。
そしてイギリス海峡、イギリスマーゲイド近海でイギリス海軍、兵員輸送艦隊とその護衛のスペイン海軍第二特派巡洋艦隊と交戦状態に入った。
同時に、スペイン海軍帝国連合艦隊第三艦隊がイタリアシチリア島防衛隊と交戦状態に突入した。
爆音が地面を揺らす。
イタリア軍がシチリア島を防衛する理由は簡単だ。イタリア海軍の拠点があるからだ。逆に言えば、スペインはこの島を獲りに来ると思っていたが、どうやら違うらしい。
「塹壕は意味を成していません!地下壕への撤退の許可を!」
徹底的に破壊するつもりらしい。艦砲射撃が既に十三時間続いている。死者は数えられない。
「わかった。一旦地下壕への撤退を許可する。ただし、反撃の砲撃は休むな!」
そう言ったところで、意味がないのはわかっている。ここにあるのは、歩兵に対する装備しかない。トーチカが機能していない今、駆逐艦に対抗する術はない。
「……クソッ、これが戦争か……!」
誰も知らなかったのだ。米西戦争で教訓を学んだスペイン軍の恐ろしさを。