ドイツ軍進行
一九一四年九月九日。
からりと晴れた秋晴れの日、ドイツ軍は東部戦線、西部戦線で同時に進行を開始した。
西部戦線司令のモルトケは、ベルギーに対して無害通行権を要求するもベルギーはこれを却下。モルトケはベルギーを侵略することになった。
持ち込んだ機関銃の性能はベルギーとは雲泥の差だ。ベルギー軍の練度は目に見えて低く、我がドイツ軍は有利に戦局を進行させている。
「突撃はできるか?」
報告にきた通信兵にそう聞くと、
「いえ、奴らは国境線沿いに有刺鉄線を敷いております。安全に国境を通過するならば、まずはベルギー軍の第一線を壊滅させてからでないとこちらの損害が増えます」
それもそうなんだが。確かに戦争は始まったばかりなのだが、何よりも早さを大切にしたい。
「わかった。突撃のタイミングについては各軍の長に任せよう。ただし、塹壕を縦に延ばして有刺鉄線を切れ。できるだけ早く突破するんだ」
「は」
忌々しい小国め。大人しくしていれば良いものを、イギリスの力を過信して我が帝国に銃口を向けるとは。なんとしてもベルギーは潰す。
ロシア南西部に展開する守備軍はおよそ百万。ロシア南部に展開する守備軍はおよそ百八十万と推測される。だったら薄い方に行くだろう?だが、それは向こうも考慮済みのはずだ。
モルトケと示し合わせた午前九時ジャストに、東部戦線特別機動砲兵旅団がロシア南西部の守備軍へ砲撃開始。
その三時間後、正午。東部戦線第一軍、第二軍、第四軍がロシア南部に向けて進行開始。
「全軍、国境を越えました」
よし。
「全軍、イバノフランコフスクまで進軍しろ。機動砲兵旅団は後退して、こちらに合流するよう伝えろ」
「は!」
ドイツ軍東部戦線第四軍司令、ハーツは司令官からの指示に首を傾げた。
「おい、イバノフランコフスクってどこだよ」
第二軍司令、エルエンドルフは
「さあ?司令から名前が出るってことは大きい街かなんかじゃないか?」
第一軍司令、トカレーは、
「取り敢えず北へ進めば良いんじゃないの?今守備軍少ないし」
誰もイバノフランコフスクの地理を知らなかった。
「今日の損害は?」
「は、本日の攻勢により、死者六十三名、重傷者二十四名、軽傷者六百名あまりです」
砲兵旅団が守備軍の注意を引いたことで、損害は奇跡と呼べるレベルに収まった。
「失礼します!緊急報告です!」
「入れ」
なんだ。気分良く寝てしまおうと思ったのに。
「失礼します!第一軍、第二軍、第四軍、大きな乱れなく、『リヴィウ』に到着!」
「はあ!?」
どうやら眠れそうにない。
東部戦線では既に仮想です。
また、わかりやすいように出来るだけ現在の街の名前を使って行きます。
また、実際の戦っている場面の描写は少ない予定です。そういうコンセプトなので。