出会い
「そう、あれは二年前のことだった・・・・。」
俺は語るような口調で話し始めた。
「それは知ってるんだけど。」
そこをバカ(S女)に台無しにされた。
「まぁ黙って聞けよ。小学校で習わなかったのか?」
人の話の邪魔はしたら駄目だよ。別に格好良く話し始めたいとか思ってなかったからね。
「いや、だってそこは分かってるんだもん。」
S女がふてくされる。あれ?こいつ本名なんだったっけ?忘れちった、テヘペロ☆彡
「そう、あれは二年前のこと「そっからやり直すの!!?」」
「人の話は黙って聞けえええ!!」
何回止めたら気が済むの!?え?まだ二回?
「そう、あれは二年前のことだった・・・・。」
俺は語るような口調で話し始めた。
「回想入りまーす、3,2,1、どうぞ!」
そうそうここで回想に入ります。
「っじゃねえええええ!なんで邪魔すんだS女!!」
「うっさいわねナルシスト!もし読んでる人がいたらどうするの!?うっっっざいわよ!?」
「もし読んでる人がいなかったら悲しむのは作者だってことを忘れるなよ!」
「全く、あんたの頭って何で出来てるのかしら。てゆーか何か入ってるの?」
くっ・・・。適当なこと言いやがって!なんか返し文句は無いか?えーーーーっと・・・。
「へっ!作者に5秒で付けられた名前の割に気にいられてるもんだからって調子に乗るなよ!」
よし!まずまずうまくいった気がする!え?駄目?嘘乙!
「まぁ作者も所詮男なのよ。それにあんたの名前なんて10秒でネタのために考えられたようなもんじゃないの、お婆様?」
勝ち誇ったような目で見下す姿勢をとるS女。しまった、墓穴を掘った。
「これは後々のための布石なんだよバーカ!」
そうだよね?まさか罵倒のためだけに名前つけたりしたんじゃ無いよね?それ以外にだって使用用途があるはずだ!
「あー・・・回想入ったらどうだ?」
「「あ、忘れてた。」」
流石俺の仲間。いい指摘だ。こやつは町田兼好。たまたま古典の教科書が目に入ったこととは何の関係もない名前だ。
「さて、回想に入るか。」
仲間を見捨てたり仲間の言葉を裏切ったりするような俺じゃない。ここは話してやろう。仕方ないから。
俺は二年前、44回目の脱走を試みた。あの時は広い院の庭を警備員に捕まらないように隠れたり、走って逃げたりしたんだっけ。あの時はかなり小柄で逃げ足も結構速かったんだ。たしか。それでその後・・・えーーーと・・・なんだっけ・・・?
「俺を犠牲にして逃げたんだろうが。都合の悪いことは忘れやがって。」
あーそうだったそうだった。流石に力じゃ大人に及ばないから町田を犠牲にしたんだっけ。
「あんた最低ね・・・。」
何を言うか。生きるのに手段は選んじゃいけないんだよ。町田は尊い犠牲となったんだよ。
とにかく外に出たんだけど、そのあとが大変。いままで外に出られたときもすぐに捕まえに来た。だから俺は、さっさと俺と養子縁組してくれそうな奴を捜した。となると、金持ちで子供を養える奴じゃないと・・・。保護者さえ得られれば、あのつまんねぇ世界から出られる。
「えっと・・・そういう人間が集まっていそうな場所は・・・・公園か!」
というわけで公園に行くことにした。どうして外に出たことのほとんどない俺がそんなこと知ってるのかって?大人の事情。
でも、公園には、人っ子一人いやしなかった。冷静に考えてみると、両親共働きの子供は英才教育というのがデフォルトだ。だから公園には、とっくにきてしまっているような老父が一人いただけだった。そいつは地面でうごめく蟻をぼんやりと見つめていた。
「・・・他の人間がいない以上、仕方ないか・・・。」
別に老人はガード薄くてすぐに養子縁組してくれそうとか考えてない。
「あのさ、じいさん。俺は院から逃げてきたんだ。誰かに養子縁組をしてもらわなきゃまた戻らなきゃいけない。別に金とかどうこうは気にするな。働くから。どうだ?養子縁組考えてくれるか?」
焦ってる割には結構普通に話せた。よし、さあ承認してくれ!
「実はのぅ・・・・。」
思ったより深い表情をしてっじいさんはなんか言い始めた。どう出る・・・?
「実はばあさんと喧嘩してしまってのぅ・・・・。」
「んなこと知るかあああああ!!」
こいつ駄目だ!そう思った。