渦巻く数多の可能性
ちょっと短いですが書きたいこと多すぎたので更新
──キーン、コーン、カーン、コーン──
『それでは、生徒会選挙の結果を発表いたします』
チャイムが鳴り響き、教室のスピーカーからノイズがかった声が響く。
あれから数日、特に何かが起きるわけでもなく、社は僕の家で生活している。
僕もお気楽者というわけじゃない。しっかり追っ手を警戒していたが、それも今のところ杞憂に終わっている。
まぁ外に出たらすぐ見つかるだろうし、家から出さないようにしてるけど。
『生徒会長、内村 扇。副生徒会長、内村 奏。書記、金山 鋼太郎。会計、絡夜 巳令──』
次々と役職が発表されていくが、僕達にはあまり関係のない話なので、考え事をしながら聞き流す。
その後も新生徒会長からの声明があったり、長々と校長の話があったりしたが、それもしばらくして終わる。
再度のチャイムが鳴り、HRの終了を告げた。
僕は早々に支度を済ませ、武尊がいる教室へと向かう。
忍は先に帰ったらしく、武尊と共に歩く僕は、聞いた話を断片的に思い出していた。
武尊が言うには、昨日あったことを母親に伝えるとすぐ、僕に会いたいと言ったそうだ。
…いや、どういうこと?何も分からないんだけど。
「まぁとにかく、研究所に来てくれってさ。社ちゃんは家で匿っておけとも言われたが」
そんなわけで、僕と武尊は研究所に向かうことになっているのだが...
「...おや?私に何か用でしょうか、鏡面様?」
「い、いえ...」
前の運転席に座る老年の男性をちらと見て、まさか気付かれると思わず気まずくなる。
この人は姫百合 雉隠さんと言うらしい。僕達を車で迎えに来た時に自己紹介を受けており、武尊の執事で、武尊の母親に重要な用事がある際はこの人が世話をしているそうだ。
しかし隣の座席に腕を組んで座る武尊がだんまりを決め込んでいる所から、武尊の苦手な人なのだろうな、ということを感じ取っている。
「しかし武尊坊ちゃまも大きくなりましたなぁ。男子三日会わざれば刮目して見よと言いますが、数年前より体もがっしりと育って、爺は嬉しいですぞ」
「............」
まぁ多分、年上から慕われることが苦手なんだろうな。武尊が坊ちゃまって言われてるところなんて、普通想像できないし。
「...おや、もう着きましたか。もう少し話していたいと思うのは、年を重ねたからか...では武尊坊ちゃま、鏡面様、どうぞこちらへ」
そうこうしていると車が止まり、ドアが開けられて研究所へと案内される。雉隠さんがぽつりと何か呟いたようにも思ったが、気にしないことにした。
研究所に入ると、最小限の灯りと、無機質な廊下が僕達を出迎える。前を雉隠さんが歩き、僕と武尊はそれについていくように、一つの部屋に案内された。
「では、私は失礼いたします」
雉隠さんは恭しく一礼すると、もと来た道を辿って行く。
僕と武尊は目の前にある扉を開けると、躊躇いもなくその中へ入った。
重厚な扉が完全に閉まると、外の音が遮断される。
内装は簡素で、窓もなく、机と、その上にランプが乗っているだけだった。
「よく来たね、望門君」
その部屋の中で、一人の女性が、椅子に座って待っていた。
武尊と同じ緑色の髪を持ち、研究員らしく白衣を身に着けている。
武尊の母親、梨反 澪だ。
「お久しぶりです、澪さん」
「連れてきたよ、母さん」
僕達がそれぞれ挨拶を交わし、澪さんも微笑んでそれに応える。
しばらく他愛もない話をし、一段落した所で、澪さんが「さて、」と話を切り出した。
「今回望門君を呼んだのは他でもない、副所長が追っている少女と...望門君の魔力について」
片方は予想していたものだったが、もう一つの件に、僕も武尊も驚愕の表情を浮かべる。
澪さんは構わず、次のように続けた。
「まず少女の件についてだけど...調べた所、副所長についている研究員達が、あの暴動を起こしたみたい。研究所を代表して、謝罪させてもらうわ」
澪さんは一度言葉を切って、僕達の反応を見る。
しかし次の瞬間には、先程の穏やかさとは違う、一研究員の鋭さを宿した目になっていた。
「そして本題──
ごくり、と唾を飲む。
僕の鼓動が早鐘を打ち、脳がかつてないほどに回転している。
──望門君。君の魔力を、私に見させてほしい」
澪さんはその鋭い目つきで、僕を真っ直ぐに見据えた。
また期間をあけて申し訳ない...
あ、今更なんですが
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作者の励みやモチベーションになりますので、改めてよろしくお願い致します
それと、この後すぐ新作「女帝レイルの誕生奇譚」の方を投稿いたしますので、そちらも是非お読みになっていただければ幸いです
作者が2、3年温めてきた設定で書いてますので、お楽しみに




