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処刑された最強呪術師、魔法世界でただ1人の禁忌となる  作者: 鬼喜怪快
3章 生まれ変わり編

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57話 胸騒ぎ


 


 パジャン村では翌日も、後片付けに追われていた。

 幸い、ギルドへ舞い込む依頼は軽微なものばかりで、

 バーリでも十分に対応できる内容だった。



 「ちくしょう! 俺が依頼に出てる間に村がこんな目に遭うなんてよ!

 俺がいりゃ、被害が出る前にぶっ倒してたのによ!」


 「バーリ。口より手を動かせ。そこの土、あっちだ」


 「へいへい! 次は俺がぶっ倒してやるぜ!」


 今日もバーリは、いつも通り元気だった。


 ――それが、村にとって何よりの救いなのだ。


 


 カフザは、昨夜届いた文の内容をフランに伝える。


 本部から使者が派遣されること――

 そして、スウェルド邸へも調査が入ること――



 「……ひとまず、貴族に対して本部が動いてくれるようだ」


 「ロキ坊たちは?」


 「明日には戻るだろう」


 フランは安堵の顔を見せた。


 

 ――――――


 

 大都市シーア。

 ギルド協会本部、その最奥にある本部長室。


 2人の冒険者が、静かに呼び出しを受けていた。



 「……以上が、パジャン村からの報告だ」


 本部長ポンズは、書簡を机に置く。


 「スウェルドについては、以前から噂が絶えなかった。

 だが証拠がなく、手を出せなかった。

 ――今回が、そのいい機会だ」


 「それで私たちが調査へ向かう、と」


 シルドが短く理解を示す。


 「しかし……邸宅の調査にSランクが2人とは、少々大げさでは?」


 アイナが眼鏡を押し上げながら言った。


 「念のためだ。

 人数を増やせば警戒される。最小限で最大の結果を取る」


 ポンズは続ける。


 「それに、今回の被害者にフランが含まれている。

 ギルド協会として、見過ごすわけにはいかん」


 「……承知しました」


 

 部屋を出た2人は、並んで廊下を歩き出した。


 「大げさに感じるかい?」


 シルドが苦笑した。


 「……正直に言えば。ですが」


 「油断は禁物だ。

 スウェルド邸には、昔から黒い噂がつきまとっている」


 アイナは口を閉ざした。


 「俺たちが選ばれたのは貴族への配慮と、もしもの時のためだ」


 「……もしもの時のため……ですか?」


 「そう、緊急事態の撤退も含めてね」


 その言葉に、わずかな沈黙が落ちた。


 

 ――――――


 

 午後。

 パジャン村に、本部からの使者が到着した。



 「久しぶりだな、フラン。ロッキとミラは?」


 

 派遣されたのは、ベルゼとフィート。

 加えて、2名の冒険者が同行していた。



 「……また、あなたたちですか」


 「露骨に嫌そうだな」



 ベルゼは肩をすくめる。



 「本部判断だ。顔見知りの方が話が早いってな」


 

 村人や冒険者たちの視線は冷たい。

 以前の無礼は、まだ忘れられていない。



 「……まあいい。現場を確認させてもらう」


 

 調査は淡々と進んだ。



 壊された建物。

 荒れたギルドハウス。

 ――だが、肝心の式神は跡形もなく消えている。


 地下に安置された遺体も、頭部を欠いていた。



 「……頭がねぇな」


 ベルゼが低く呟く。


 「お前ら、場合によっては――殺人の隠蔽を疑われるぞ」


 「彼はロレンスと名乗っていました」


 フランの言葉に、フィートが顔を上げた。


 「……ロレンス?」


 「カリフアのロレンスだよ、ベルゼ」


 「……ああ」


 2人の空気が変わる。


 「スウェルドの取り巻きで、黒魔術の噂があった連中の1人だよ」


 「……名前は覚えてるぜ」


 フランとカフザは、嫌な予感を覚えた。

 ベルゼが遺体を見下ろし、低く言う。


 「……アイナたち、今日スウェルド邸に向かってるんだ」


 「シルドさんも一緒なんだ。

 Sランクが2人だから大丈夫だとは思うけど……」


 「……そうだな」


 一瞬、安堵しかけて――

 

 「……だが、嫌な胸騒ぎがするぜ」



 ポツリと、言葉が漏れた。 

 その感覚を誰も否定できずにいた。



 そして―― 

 この時すでに、スウェルド邸では別の動きが始まっていることを、

 まだ誰も知らなかった。


  

 

 

 

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