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処刑された最強呪術師、魔法世界でただ1人の禁忌となる  作者: 鬼喜怪快
3章 生まれ変わり編

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47話 カイドウ村、到着



 

 キューサの町で十分な準備を整えた一行は、

 翌朝早くにカイドウ村へ向けて出発した。



 砂漠地帯は、日が暮れる前に抜けなければならない。

 夜になれば、再びサンドイーターとの戦闘は避けられないからだ。


 だが今回は馬車の整備も万全。

 午後には砂漠を抜け、夕方には目的地へ到着する予定だ。


 馬車は、順調に進んでいる。


 

 「……その姿で移動されるのですか、ミラ様」


 

 水着姿のままリュックを背負ったミラに、パルメが遠慮がちに声をかける。



 「え? うん。そうだけど?」



 それ以上、誰も何も言わなかった。


 本人がそれでいいのなら、それでいい――そういう空気だ。



 馬を休ませつつ進み、昼頃には無事に砂漠を抜けた。


 その先に広がるのは、迷いの森。

 感覚を狂わせる花粉が漂い、入れば方向感覚を失う厄介な森だ。


 だが、役小角の鬼門遁甲盤があれば問題はない。

 さらにミラの感知術によって魔物との接触も避け、効率よく進むことができた。


 森を抜けると、荒れ地を貫く一本道。

 やがて、ぽつぽつと人影が見え始める。


 

 「皆さん。そろそろ、カイドウ村です」



 車夫が声をあげた。

 

 丸太の柵で作られた簡素なゲート。

 カイドウ村の入口が見えた。


 観光地でもなく、他所者の出入りもなさそうな雰囲気。

 パジャン村よりもはるかに小さく、村全体がどんよりと沈んだ印象を受ける。


 ――しかし、それ以上に異様だったのは。


 馬車で入村しているのに、誰一人として振り向かないことだ。


 活気が、まるで感じられない。



 車夫が通りすがりの村人に声をかけ、カルタの居場所を尋ねた。

 返ってきたのは言葉ではなく、無言の指差しだけだった。


 無表情で、感情の欠片も見えない。


 指された先にあったのは、村の中でも異彩を放つ建物だ。


 藁葺き屋根。

 広い敷地を木柵で囲み、高床式に組まれた建築。


 この世界の様式とは、明らかに違う。

 小角は、胸の奥に懐かしさを覚えた。


 馬車を降り、敷地へ足を踏み入れる。



 「ロッキくん……すごく変わった家だね」



 ミラが感想を漏らした。

 その瞬間――



 「変な格好した者に、変な家など言われたくはないわ!」



 唐突に、少年と少女が姿を現した。

 どちらも幼いが、確かな呪力を帯びている。


 「だっ、誰が変な格好よ!」


 ミラが噛みつくが、否定しきれないのも事実だった。


 「突然失礼いたしました。我々はカルタ様にご用があり参りました。

 カルタ様は御在宅でしょうか」


 パルメが丁寧に頭を下げる。

 すると少女が一歩前に出た。


 「わたしはカルタ様の弟子のインと申します。カルタ様はあちらの宮殿で瞑想中です。

 しばし、こちらでお待ちください」


 そのとき、少年が小角を見据えた。


 「……あなた、師匠と似た“気”を持っているな」



 空気が張りつめる。


 

 「まさか……呪術師ですか?」


 「……」


 「俺はヤン。あなたは?」


 「……ロッキ」



 名を告げた瞬間。

 ヤンから感じていた呪力が膨れ上がった。


 

 『封印の式』


 

 円陣が展開され、呪術で小角の動きが縛られた。

 ラァナとパルメはもちろん、ミラも突然の戦闘に驚いている。


 「なっ……!」


 だが、円陣の中心にいたのは――

 人型に切られた1枚の紙だけ。


 「!?」


 次の瞬間、ヤンの背中に指2本が触れる。

 

 「円陣の中を攻撃するのは止めたほうがいい。あの紙には身代わりの式が施してある」


 「……」


 「下手に攻撃すると、君に返ってくるよ」


 「……ありえない。身代わりの式には、対象者の媒介が必要でしょ。

 あなたは俺のことを何も知らない」


 「名前を教えてくれたでしょ。それに……」


 「!」

 


 円陣の中の紙を見るなり、ヤンは術を解いた。

 紙にはヤンの名と、彼の髪の毛の切れ端がすでに貼られていた。


 出会った時から先手の取り合い――心の読み合いだった。

 


 すると、 

 宮殿の方向から、桁違いの呪力が流れ込んできた。

 振り向くと、巫女装束を纏った女性がこちらを向いている。


 

 「その子たちを許してやっておくれよ」


 

 すると――

 ヤンとインがいた場所に藁人形が転がっていた。


 呪術師同士の化かし合い――

 一本取られたのは、小角だった。


 

 一行は招かれるまま宮殿へと入る。

 内部の造りも、どこか日本的だった。


 女性は神棚を背に座し、

 開口一番、小角に問いかける。



 「君が、ロッキ?」


 「はい」


 「それじゃ――邪馬台国って、わかるかな?」



 ミラたちが“ヤマタイコク“という言葉に首をかしげる中、

 小角の心臓はわずかに跳ねた。


 邪馬台国を知る者。

 

 ――間違いない。

 この女も、自分と同じ世界の人間だ。


 それも、日本最古の呪術師と謳われた、

 あの女王の系譜に連なる存在――



 小角の確信と共に、物語は次へ進んでいく。


 



 

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