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処刑された最強呪術師、魔法世界でただ1人の禁忌となる  作者: 鬼喜怪快
2章 イルジョン島編

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40話 島からの凱旋




 迎えにきた飛行船が2機、島へ降り立った。


 操縦士たちは、イルジョン島に漂っていた邪気が消えていることにすぐ気づいた。


 

 「……空気が違うな」


 「本当に終わったんですね」


 

 島を離れる準備が整うと、操縦士のひとりが興奮気味に言った。


 

 「島の主は、シルドさんが?」


 「違うよ」


 

 シルドは首を振り、フランと小角を見た。


 

 「彼女とロッキだ。私は何もしていない」


 

 操縦士は言葉を失った。


 凱旋に向けて、飛行船は夕焼けに染まる空へ舞い上がる。

 上空から見下ろすイルジョン島は、嘘のように静かだった。


 そして一行は、大都市シーアへ帰還した。



 ――――――


 

 ギルド協会本部の入り口には、

 夜にも関わらず、すでに人だかりができていた。

 職員、冒険者、そして新聞記者。


 注目は、ただ1人に集中している。



 「閃光のフラン!」

 「島の主はどんな存在でしたか?」

 「ご両親の仇を討ったお気持ちは!」


 

 質問の嵐に、フランは完全に固まっていた。


 

 「……目立つの、苦手」

 

 小角に小声で訴える。

 

 「こういう時、代わりに答えてよ」


 「無理だよ……」

 

 その様子を見て、シルドが笑った。


 「明後日は、もっと大変だよ」


 「……え?」


 「凱旋パーティーだ。君は、完全に主役だよ」


 フランの顔色が一気に青くなる。

 さらにシルドは続けた。


 「それとロッキ。君もSランクに推薦する」


 「ぼ、僕は遠慮します!」


 「無理だよ。僕にとって君も英雄の1人さ」


 

 フランは、慌てる小角を見てクスッと笑った。


 ギルド協会本部では、凱旋を祝う拍手が鳴り止まなかった。


 本部長ポンズは満面の笑みで彼らを迎える。

 

 「よくやってくれた……本当に」

 

 固い握手を交わしながら、深く頭を下げた。

 

 「明後日、正式な式典を行う。今日は休め」

 

 シルド、ベルゼ、フィートには報告書作成の指示が飛ぶ。

 

 「はいはい、俺たちには容赦ないってことね」


  

 ベルゼたちは肩をすくめていた。


 

 ――――――



 用意された宿舎は、3人には場違いなほど豪華だった。


 高価な服。

 行き届いた給仕。

 完璧すぎる夕食。


 フランはため息をつく。


 

 「……パジャン村の食堂が恋しい」


 「わたしもです……」


 そこへ、仕事を終えたシルドとベルゼが合流した。


 「緊張しすぎだよ」


 「ガツガツ食えばいいんだ!」


 

 最も説得力のないベルゼの助言だった。


 食事が一段落したころ、小角が本題を切り出す。


 

 「……島で少し話されていた、生まれ変わりの体験者の話。

 聞かせてもらえませんか?」



 シルドは少しだけ表情を引き締めた。


 

 「ああ、君と同じ存在に心当たりがあるって話だよね」


 「どんな人なんですか?」


 「それは――」

 


 シルドが知る、生まれ変わりの体験者の名は――

 カルタという女性だった。


 本部には属さず、小さな村で活動しながらSランク認定を受けた冒険者。


 役小角と同じく、魔術とは異なる別の力を使う人物で、

 小角の術を見た瞬間、シルドは彼女を思い出したのだという。


 寡黙で、自身の過去や生まれ変わりの話はほとんどしない。

 そして、年齢は非公開。


 生まれ変わりの体験者であることを知るのは、シルドとごく限られた者だけのようだ。



 「……彼女はその話を好まないんだ。だから協会にも伝えていないと思うよ」


 「それを、なぜシルドさんが?」



 一拍置いて、彼は言った。


 

 「……母親なんだよ。――私の」






 

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