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処刑された最強呪術師、魔法世界でただ1人の禁忌となる  作者: 鬼喜怪快
2章 イルジョン島編

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33話 すべてを封じる咆哮




 ユニコーンに跨る、漆黒の鎧騎士。

 2年前、フランからすべてを奪った元凶が目の前に姿を現した。


 その姿を見た瞬間、フランの理性は大きく揺らいだ。


 

 「……お前が……」


 声が震える。


 「全部……全部、お前が……?」


 返答はない。

 

 「みんなを殺して……剥製にして……アイナさんまで操って……」


 

 怒りと憎しみが、喉を焼く。


 フランはアイナをそっと床に寝かせ、小鴉丸に手を添えた。

 抜刀の構え。


 一方、鎧騎士はユニコーンの身体に巻き付けていた、2メートルを超える長剣を引き抜いた。


 

 「……許さない」


 「…………」


 

 フランが踏み込む。


 視認すら困難な抜刀。

 無数の斬撃が放たれる。


 だが、漆黒の鎧騎士はそれを観察するように、すべて斬撃で打ち返した。


 火花が弾け、2人の間に散る。


 後鬼はその戦いを、冷静に見つめていた。

 ――否。


 彼女の視線は、騎士ではなく一角馬に向いていた。


 一角馬。


 どこかで見たことがある。

 だが、思い出せない。


 それでも――胸騒ぎだけが強くなる。


 

 「……!」


 

 記憶が、繋がった。



 「フラン! 馬です! 先に一角馬を抑えてください!」


 「えっ?」


 フランは咄嗟に距離を取る。


 「紅葉、どういうこと? ユニコーンのこと?」


 「説明は後です! 馬に警戒を! 加勢します!」


 

 その瞬間。

 漆黒の鎧騎士が、低く笑った。


 2年前にも聞いた声。

 忘れようのない声。


 

 ――あの日も、こいつは笑った。



 「たかが人間どもの分際で……余の想像を遥かに超えた力を持っている」



 あの日リアス隊は、賞賛されていた。

 善戦していた。


 だが、ある瞬間から――地獄へと叩き落とされた。


 何かが、あった。

 だが、それが思い出せない。



 『空圧のくうあつのじょう



 後鬼が両手を突き出す。


 圧縮された大気が、騎士と一角馬を押し潰す。

 ユニコーンは膝を折り、闘技場に座り込む形になった。



 「今です、フラン! 馬の首を!」



 後鬼の声は、明らかに焦っていた。

 フランは言われるまま、首へ狙いを定める。


 ――その時。


 「たった6人で、この島へ来たことは知っているぞ」


 「……!」


 「2年前にもお前は来ていたな。剥製になった両親でも見に来たのか?」


 「……許さない……絶対に!」



 「褒美だ。受け取れ」



 ――思い出した。


 

 2年前も、

 今と同じ言葉を聞いた。


 たしか、その直後に――


 

 『ウアァァン!』


 

 一角馬が、大きく口を開き雄叫びを上げた。


 洞窟内が、静まり返る。


 空圧の乗の効果が消え、

 一角馬が何事もなかったかのように立ち上がる。


  

 「……なにが、起きたの……?」


 

 後鬼は、静かに答えた。


 

 「……判断を誤りました。おそらく、術と呼ばれるすべてのものを封印されました」


 「え……?」


 「あの雄叫び……相手の術発動を完全に封じるモノです」


 

 フランは気付いた。

 身体から、魔力が抜けていく。


 身体が重く感じる。

 力が入らない。


 

 「天馬てんまという幻獣をご存知ですか?」


 「天馬?」


 「天馬は神獣と呼ばれ、相手の術発動を封じる能力を持ちます」

 

 「魔術が使えなくなる……だからあの日、わたし達は一瞬で追い込まれた……?」


 「……おそらく」


 

 鎧騎士が、ゆっくりと近づいてくる。


 

 「策は……ないの?」


 「ありません」


 「……どうして、そんなに落ち着いてるの?」


 「そうでもありませんよ」


 後鬼は袖に手を入れ、短刀を取り出した。


 

 「これと小鴉丸で凌ぎましょう」


 「……凌ぐって、いつまで?」


 「ロキボウがこちらへ向かっています。間に合えば助かります。間に合わなければ……」


 

 言葉は、続かなかった。


 

 「死ぬってことね?」


 「……まぁ、あの人なら間に合うでしょう」


 「ずいぶんとロキ坊を信じてるのね」


 「信じているのではありません」


 

 後鬼は、微笑んだ。


 

 「いつの世も素敵な殿方は……

 好いた女の危機に必ず間に合うものですから」


 

 次の瞬間。


 ユニコーンが地を蹴り、鎧騎士が切り込んできた。


 

 「攻めず、今ある力は防御だけに回してください」


 「わかってる!」



 ――数分間を生き抜く。

 だが、フランの剣を握る腕は、すでに力を失い始めていた。





 


 

いつもお読みいただきありがとうございます。


30話を越えて、ようやく物語の土台が整いました。

ここから先が、この作品の本編だと思っています。


もし「続きを追ってもいいな」と思っていただけたら、

ブックマークでそっと応援してもらえると嬉しいです。

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