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処刑された最強呪術師、魔法世界でただ1人の禁忌となる  作者: 鬼喜怪快
1章 剣と呪術の因縁編

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17話 見えない集落の避難所


 教会の裏口から少し離れた林の奥に、違和感はあった。


 妙な静けさ――

 風が吹いているのに、葉擦れの音がしない。


 

 バーリが声を張り上げた。


 「――バーリだ! 仲間を連れて来た!」


 一拍置いて。

 茂みが、僅かに揺れた。


 現れたのは、1人の男。

 ローブを着た魔術師だった。


 

 「……本当に、来てくれたのですね。しかも……4人も」


 

 安堵と警戒が混じった声。


 

 「案内します。ついて来て下さい」


 

 男は、教会には目もくれず、林の奥へ進んだ。


 

 ――――――


 

 そこは結界の中だった。


 教会にも結界が張られていたが、あれはただの囮。

 本当の避難所は、林の奥――地下に隠されていた。


 茂みを掻き分けると、地下へ続く階段が現れる。


 

 「……深いな」


 

 バーリが呟く。


 

 「万一、教会が破られても生き残るためです」


 

 男は淡々と答えた。


 階段を降り切ると、そこには広い地下空間があった。

 即席とは思えない作りだ。


 人。

 子供。

 負傷者。


 およそ30人ほどの避難者。

 


 「援軍が……来たのか……」


 

 誰かが呟き、空気が揺れた。


 

 「名乗り遅れました」


 

 男が一歩前に出る。


 

 「私は無所属のCランク冒険者、バジルです。

 救援要請に応じてくださり、感謝します」


 「俺はバーリだ。で――」


 バーリがフランを示す。


 「こちらが、隊長のフラン」



 ざわり、と空気が変わった。


 

 「……隊長?」

 「子供じゃないか……」

 「本当に大丈夫なのか?」

 「パジャン村のギルドって……」


 

 期待が、不安へと変わる音だった。


 フランは、それを黙って受け止める。

 背筋を伸ばし、静かに口を開いた。


 

 「パジャン村ギルド所属、フランです。この4人で最善を尽くします」


 

 その声に、揺らぎはなかった。


 次の瞬間。


 「……フラン?」


 奥から、しわがれた声がした。


 神父服を着た老人が、女性に支えられて現れる。



 「……閃光のフラン。最年少Aランクの……」


 

 地下が、ざわめいた。


 フランは、短く頭を下げる。


 

 「その名で呼ばれていたこともあります」


 

 老人は、深く息を吐いた。


 「……助かりました。私は司祭のロンズです」


 


 ――――――


 

 簡易的に仕切られた奥の空間。

 話し合いは、フラン、ミラ、ロンズ、バジルで行われることになった。


 バーリとロッキは、外で待機。


 

 「なんで俺じゃねぇんだよ」


 「ミラさんの方が、冷静だからです」


 「……てめぇ」


 

 小声のやり取りを背に、フランは状況を聞いていた。


 

 「襲撃は3日前からです」


 

 ロンズが語る。


 

 「最初は4体。弓と短剣を使うエルフ達でした」


 「その時はどのように?」


 「なんとか私とバジルで1体討ち取りました。ですが――」


 

 ロンズは目を伏せる。


 

 「翌日、さらに4体増えました。今は7体」


 

 フランの眉が、僅かに動いた。


 「……被害は?」


 「50人いた集落が、今は30人ほどです」


 ――思ったより被害は少ない。


 「土地目的、ですか?」


 

 フランの問いに、ロンズは首を横に振った。


 

 「わかりません……なにが目的なのか」


 

 その言葉にフランは考えを馳せる。


 ――数が、少ない。

 ――破壊が、控えめ。


 占領が目的なら、もっと荒らす。

 もっと数を投入する。


 だが、エルフは――


 

 「……ただ狩りを楽しんでいる?」


 

 フランが、ぽつりと呟いた。

 ロンズとバジルが、顔を見合わせる。

 


 「実は……」

 


 バジルが、声を落とす。



 「殺し方が、遊ぶようなんです」



 フランの胸が、軋んだ。


 島。

 あの日。


 同じ違和感。


 

 「……ありがとうございます。状況は把握しました」


 

 フランは立ち上がる。

 


 「今夜、動きます」


 

 その声は、冷静だった。

 

 

 ――――――



 話し合いが終ったフランはロッキと合流。

 ロッキは周りに聞かれないように耳打ちをした。

 


 「……いろいろ変ですよ、ここ」


 「うん」


 フランが低く答える。


 「エルフの目的が、占領や狩りに思えない……」



 フランは、黙って避難所を眺めた。

 そこにある真実を、見据えるように。

 

 ――エルフの目的は、まだわからない。

  

 ただ、彼女は気付きつつあった。 


 この集落で、

 狩られるはずの側が、何かを隠していることに。








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