ヒロイン視点(5)
「神官を目指す決意は固いようね。ちなみに恋愛は……?」
グロリアに問われた私は――。
「今のところ恋愛とかどうでもよくなっています。転移前は彼氏が欲しいと思っていましたが」
そう。そうなのだ!
殺人犯に憑りつかれたせいで、今の私の目標は神官になることであり、攻略対象のことなど眼中にない状態だった。
「……エルクのことはさっき見たでしょう? 素敵だと思わなかった……?」
「素敵でしたよ! 王子様みたいで」
私の言葉にグロリアはハッとしている。
よってすぐにこう続ける。
「素敵な王子様と女神様のお二人だと思いました。ハリントン公爵令息にはグロリア様がお似合いです。私は神官見習いの一人として、お二人の幸せを心から願っています!」
「リコさん……!」
グロリアによると、ゲームのヒロインと悪役令嬢は、水と油の関係。相容れることはないという。だから私がエルクとグロリアの幸せを願うのは「奇跡」なのだと言うけれど……。
私は二人が相思相愛にしか見えないし、邪魔をするなんて無粋なこと、したくなかった。
「ハリントン公爵令息もグロリア様に夢中です。私を見ても『あ、この子か』という反応しかありませんでした。大丈夫ですよ。お二人は絶対に幸せになれます!」
「ありがとうございます、リコさん。そうなるとロイのことは……」
「師匠ですから、グラス上級神官は。尊敬をしていますし、沢山彼から学びたいと思いますが……。恋愛感情はないです。本当に。今の私は恋愛よりも、神官になろう!ですから!」
この時の私の言葉に嘘はない。
本当に、そう思っていたのだ!
でも……。
人生って何があるか分からない。
目指せ、神官!だったし、この日から五年後。
私の肩書きからは「見習い」が消え、遂に「神官」になるのだけど……。
同時に。
お読みいただき、ありがとうございます!
ここから乙女ゲームの世界の話らしく、エンディングが分岐します。
お好みの方をお楽しみくださいませ~♪
→ロイ攻略エンドは次話:ヒロイン視点(5-1)へ
→お兄様攻略エンドは次の次:ヒロイン視点(5-2)へ
両方お読みいただいてもOKです~























































