終わり
私が転生した乙女ゲーム『ラブロマンス~姫君の恋物語~』の世界。
そこはイレギュラー含みだった。
まさかの転生のきっかけになった酒気帯び運転の殺人犯の魂まで、一緒にこの世界に飛ばされているとは思わない。そのせいでヒロインは大いなるとばっちりを受け、私は……悪いこともあったが、良いこともあった感じだ。
悪いことは言うまでもなく、殺されかけたこと。
だが良いことは……。
「父上が許可してくれたよ。僕が説得した。こんな恐ろしい事件もあったんだ。グロリアを守るためにも、一日も早く一緒に暮らしたいと直談判してね。勿論、商会経営、領地経営についても気を抜かない。でもグロリアと結婚することでさらに力が沸き、いろいろできるはずだと説明した。おかげで一年後、式を挙げることができるよ!」
そう。
本来は婚約破棄されたかもしれないエルクと私は、挙式を一年後に迎えることが決まったのだ!
私の結婚を両親は喜び、寂しがる。
それは兄であるアレクシスも同じだが……。
「グロリアがわたしの妹であることに、変わりはない。これからもお茶をしたり、買い物をしたり。エルク以上にグロリアを可愛がるつもりだ」
妹の溺愛を宣言してくれた!
本来のゲームの世界であれば、厄介払いとばかりに宮殿での行儀見習いを薦め、私を公爵邸から追い出すアレクシスが、こんなにも溺愛してくれるなんて!
その一方でロイは……。
「ぼくの悪魔祓いの力が未熟だったために、グロリアに迷惑を掛けてしまった。もっと修練を積み、立派な神官になるよ」
これからは今以上に努力を積み、大神官になることを決意。
そんなロイのそばにいるのは……。
「いろいろとご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。もう悪魔は完全に去りましたが、いつ何時、何があるか分かりません。私もロイ様に従い、神の道へ進むことを決意しました」
なんとヒロインは、大神殿で下女として働き、前世知識を披露して、攻略対象のハートを掴む道ではなく、神官になることを決意。ロイを師と仰ぎ、弟子入りしたのだ!
今のところ、ロイとヒロインであるリコは子弟関係。
だが二人とも同い年で、同じ神の道を志し、これから共に過ごす時間が増えるのだ。一切のラブ要素がないのかと言えば……あるかもしれない。大いにあり得ると思う!
何より神官は神に仕えるが、婚姻を禁じられているわけではない。
結婚し、子供を育てることは、神の教えとして肯定的に捉えられているのだ。
よってヒロインと攻略対象であるロイが、ハッピーエンドになることを、私は密かに期待している。
ちなみに私の言葉を話せないフリ作戦。
それはあの襲撃事件と共に終了した。
悪魔が憑りついたリコに襲われたことが、ショック療法となり、私はミネルヴァ語を再び話せるようになった――ということにしたのだ。
元々、空から降って来たリコと激突し、ミネルヴァ語を話せなくなった。ゆえにとんでもない事件を経て再び話せるようになったとしても「そうか。それで元に戻ったのか。まあ、話せるようになったのだ。良かった! それに性格は丸くなったままだ。何の問題もなし!」と好意的に受け止めてもらえた。
だが私がミネルヴァ語を話せるようになり、残念がっているのは――。
「キョトンとしているグロリアは、本当に可愛かったんだ。もう少し、話せないままでも良かったかな。言葉足らずなところも、愛おしくて仕方なかった」
「まあ、ではエルク。私、話せないフリをする?」
「いや。その必要はない。もう挙式も決まったんだ。周囲が呆れるかもしれないけど、僕はグロリアが大好きだということ。包み隠すつもりはないからね!」
兄アレクシス以上の溺愛を約束してくれたエルク。
挙式までの一年が、既に甘々になりそうだった……!
改めて思う。
前世では非業の死を遂げている。
でもこの世界で私は、前世の分までいっぱい幸せになるのだと!
~おしまい~
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