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incident35.嘘か真か

「はあっ…!」

勢い良く飛び起きる。

体は…痛くない。痣もどこにもない。

夢、か。

それにしても何て妙に現実的な夢だったんだろう。

私と三千院さんが!?

あり得ない。

どうしてこんな夢を見てしまったのだろう。確かに0係の場所は恋しいが三千院さんが恋しいなんて思ってはいない。

蛇丸君…は別だ。

あんな別れ方をしたのだから。ただ気まずいだけ。ああ、何て気分なんだろう。モヤモヤする。


その頃、三千院も同じ夢を見て起きていた。

「ハッ…!夢、だよな?」

起きて時計を見ると朝6時だ。

何だったんだあの夢は?

天童さんとなんて考えた事もない。

現実のように見えた。気が緩んでいるのか?いや、逆だ。救出の事をずっと考えているからこんな夢を見たんだ。きっとそうに違いない。それしかない。


「ふふっ。私ってば頭い〜い。あんな夢見たら意識しちゃうよねぇ。これであの二人がくっつけば蛇丸君は私のものぉ〜♪」

「ガキが一丁前に悪巧みか?」

背後から声がする。

御門がハリセン片手に立っていた。気付かなかった。いいや、夢中で気付けなかった。

「わ、私は何も悪い事してないっ!」

「机の上の証拠を閉まってから言え。どうせバカ弟子と例の娘をくっつけて、あの口の悪いガキとお前がくっつこうという魂胆だろう?これだから発情期のメスガキは」

「メスガキですってぇ!?黙ってなさいよ、このババア!」

「それがどうした?ババアはババアだからな。当り前だ。そのくらいピーピーピーピーとヒヨコに言われても何とも思わん。それよりもガキは年寄りを敬え!」

持っていたハリセンで朱音の頭を思いっ切り叩く。

「いったぁ〜い!何するの…あれ?私、何をしてたんだっけ?」

「お前に淫魔が付いていたから祓った。やましい心に呼び寄せられたんだろうな。アイツらはイタズラ好きだ。良いオモチャにされたんだろうよ」

「やましい?失礼ね!純愛よ」

どこかで聞いたセリフだ。

「我が妹ながらここまでバカだったとは…。情けない。祓魔師が淫魔に取り憑かれるなんて」

兄の蒼人だ。いつの間にか部屋の前にいた。

「お兄ちゃんまでひどぉい!」

頭を擦りながら抗議する朱音。だが自業自得だ。

「どこかのおバカな係長みたくなりたくなかったら日々の修行をサボらない事だな」

「それは俺の事か?」

後ろには胃薬片手に三千院が立っていた。

最近、胃薬が手放せない。

「噂のバカ弟子のお出ましだ。師より遅いとはお前もなっとらんな」

御門が余計に煽る。

「先生…もうバカ弟子はやめてもらえませんか?これでも部下を持つ係長です。それより!話は聞かせてもらった。というより聞こえてきた。取り憑かれていたとはいえ、君の仕業だったとはね。朱音さん、君にはこの任務を外れてもらう」

「何で!?私だって0係の一員で大事な雌蕊じゃない!それに蛇丸君と離れるなんていやっ!」

「そうやって任務に私情を挟む事によって仲間を危険に晒す事はできない。天童さんにも迷惑だ」

「…!」

皆に言われて黙るしかない朱音。


「ふーん。聞いたわよ。よくも私のよりひとちゃんにそんな事してくれたわねぇ」

「げっ!オネエ検死官」

一番敵に回したくない相手が来た。

「げっ!とは何よ。げっ!とは。それに私は水留よ。つ、づ、み!水留さんとお呼びなさい」

「いやああああ!」

叫ぶ朱音。

「八神兄」

「はい」

逃げようとする朱音を捕まえる蒼人。

「お兄ちゃんはどっちの味方なのよぉ」

「正義の味方だ」

あっさりと言い返す。

「さあ、私と一緒に帰るのよ。出張中の仕事が溜まってるのよね〜。もちろんあなたにも手伝ってもらうわ。大丈夫、簡単なお仕事だから」

「それって闇バイトじゃない!」

「黙らないとその口縫い合わせるから」

そこでようやく黙る朱音。大人しく留水に連れられていった。


「さて、天童さんにも説明しておくか」

朱音と荷物を抱えて帰っていく水留を見送りながら携帯を取り出す。

プルルル…。

『は、はい!』

少し焦ったような声で出る日花。

「お久しぶりです。天童さん」

これまでの事を話す。もちろん厄即の事も。

『良かった〜!三千院さんが無事で良かったです』

「心配をお掛けしてすみません」

『そんな事はありません。嬉しいです!』

その言葉に三千院も嬉しくなる。

何て良い子なんだろう。可愛く思えてくる。

速く会いたい。会って抱き締めてあげたい。


ん?


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