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神と人間の殺し合い  作者: 若狭巴
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代行者〜乙女座〜



「リェル。いるかい」


パルティノが自分の部屋に入ってそう呼びかけると「ここにおります」と姿を現す下級神リェル。


「悪いけど今すぐ最優先でやって欲しいことがあるけど任せて大丈夫?」


「はい。お任せください」


パルティノの無理難題にはいつもの事なので慣れている。


「そう。なら俺に似た人間を見つけてきて欲しい」


「かしこまり…えっ、今更何とおっしゃいましたか」


自分の聞き間違いかと思いもう一度言って欲しいと頼むリェル。


「ハハッ。そうなるよね。俺でもそうなるよ」


リェルの当たり前の反応を見て一人頷くパルティノ。


「俺に似た人間を見つけてきて欲しい」


さっき言ったことをもう一度言う。


「理由を聞いてもよろしいですか」


ふざけた命令に頭を抱えるリェル。


見つけてきた人間をどうするつもりか。そもそも神と人間が似るなど有り得ない。色々言いたいことはあったが何とか我慢をする。


「王の命令」


たった一言パルティノがそう言うとリェルはそれが何を意味するのか一瞬で全てを理解した。


「かしこまりました。今すぐ取り掛かります」


「うん。任せたよ」


そう言って部屋から出て行くリェルを見送る。


「さて、誰が俺の代行者に選ばれるのかな」


リェルが選ぶ人間が誰なのか、選んだ人間で自分をどんなふうに思っているかがわかるなと思うパルティノ。





「王の命令か。何か嫌な予感がする。パルティノ様はきっと大丈夫だよな」


王の命令が何なのかは知らないリェルだが、もう二度パルティノに会えない気がしてならない。


人間がどんな役割を持っているか分からないが、少しでもパルティノの役に立ちそうな人間であることを願う。



神力を使って約八十億人の中からパルティノに似ている人間を捜し始める。パルティノの性格や思考に条件をつけて捜し始めてから五十二時間経過し、漸くパルティノに似た人間を一人見つける。


その人間の情報や過去を遡って調べているとこの人間はある部分何パルティノに似ていると思うリェル。


すぐにその人間が本当にパルティノの役に立つか行動を監視する。その人間は毎日違う男を取っ替え引っ替えして楽しんでいた。その人間は物凄く美人で色っぽく男にめちゃくちゃモテていた。その人間が歩くたびほぼ百パーセントといっていいほど振り返る。


ただ、その人間は同性からは物凄く嫌われていた。


この人間がパルティノの役に立つかは微妙だったが、この人間以上に似ている人間は見つからないとリェルは判断してパルティノに報告しに行く。


「パルティノ様。リェルです。いらっしゃいますか」


「うん、いるよ。入っていいよ」


パルティノの許可が出たので「失礼します」といって部屋の中に入る。


「見つかった?」


リェルの様子からして頼んでいた案件のことだと分かったパルティノ。


「はい。こちらにまとめました」


そう言って水晶を渡し人間界にいる一人の女性を映し出す。


「この人間が俺に似ているとリェルは判断したの」


まさか女性が選ばれるとは思っても見なかったパルティノは少し驚く。見た感じ自分に似ているところなんて見当たらないが、リェルがそう判断したなら似ているのだろうと少し怪しいと思いながらも納得した。


「はい」


きっぱり言い切るリェルにフフッと嬉しそうに笑い「リェルは俺のことよくわかってるね」と言う。


「では、私はこれで失礼します」


自分にむけて笑うパルティノに嬉しくて顔を上げられず急いで部屋から出ていくリェル。


声もかける暇もなく出て行ったのでお礼を言えなかった。


「(まぁ、次あった時でいっか)」


リェルとはいつでも会えるし大丈夫かとそう思った。


さっきリェルに渡された水晶に神力を注ぐと女性の情報が一気に頭の中に流れ込んできた。名前、生年月日、血液型、現在の生活、過去の出来事、女性に関するありとあらゆる情報が細かくまとめられていた。


「アッハハ。流石だリェル。よくわかっている」


声を上げて笑うパルティノ。


「人間に失望した人間か」


過去の出来事を見て漸くリェルがこの女性を選んだ理由がわかった。


パルティノは確信した。間違いなく人類の中で一度自分に似ている人間は、この女性だと。


代行者選出期間までまだ日数は残っているので少しだけ女性のことを観察して見ようと部屋の中で女性の生活を観察する。


女性はリェルのまとめた情報の中にあったようにほぼ毎日違う男と楽しんでいた。


女性は男に愛の言葉や甘い言葉をささやかれて嬉しそうにしても、その瞳は氷のように冷たいままだった。


男に相手がいてもお構い無しに楽しむ女性。普通に寝取るので相手の女性達は怒り狂って殺そうとする。


そうなったら、自分に好意を持っている男達を使って対処させる。そのせいで、また女性達からの怒りを買うというなんとも最悪な悪循環。


女性の過去を知ったパルティノはそうなったのは仕方ないと考えるが、このままずっとこんな生活をしていたらいつか本当に殺されるだろうと思った。


まぁ、パルティノは神だから人間のことに口出しはできないが、これが原因で戦いに負けるのだけは嫌だと思った。


ただ、友達も恋人も家族もいない女性のことを少しだけ可哀想な人間だと哀れんだ。


「本当に哀れな人間だな」


そう言って指を鳴らして人間界へと降りたつ。降りる直前まで女性のことを見ていたので今は部屋で一人で寝ていると知っていたので、天界からそこにおりた。


パルティノは真夜中に降りたので女性が目覚めるまで待つことにした。


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