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神と人間の殺し合い  作者: 若狭巴
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黄道十二神

           星の王



「あれれ、こりぁどういうことだ。俺だけが呼ばれたと思ってたのに、お前達まで呼ばれていたなんて。なんかイヤーな予感がするな」


魚座を司るイクテューエスが同じ十二神の神達を見て愉快に笑う。


「イクエス。久しぶりだね、最後に会ったのいつだったっけ。まぁ、でも元気そうでよかったよ」


牡牛座を司るタウロスが抱きつく。


「三百年くらい前じゃない、たしか。久しぶりに遊ばない」


「いいね、何して遊ぶ」


二神は悪い顔をしてどんな悪戯をしようか考える。


「いい加減にしろ、ここをどこだと思っている。王の間だぞ。大人しくしてろ」


牡羊座のクリオフが二神の悪巧みを察知し、そうなる前に止める。


「俺たちを呼んだ王はまだきてない。話すくらいいいじゃん」


「そうだよ、別にまだ何もしてないし。クリオフは相変わらず頭が固いね」


イクエスとタウロスが遠回しに嫌だと言う。


「何だと」


クリオフが二神の言葉に怒りを示すとパンパンと手を叩く音が部屋に響いた。


「三神共そこまで。王が来られますよ」


蟹座を司るカルノがそう言うと同時に王が現れた。


「久しぶりじゃな、我が子達よ」




「今日皆に集まってもらったのは、お前達の今後について話し会おうと思ってな」


王の言葉に十二神は嫌な予感がした。なぜなら、王の言う話し合いとは既に王の中で決定していることを言うだけのことだからだ。


「王よ。今後とは一体どういうことだ」


獅子座を司るレオンが王を睨みつける。


「言葉通りの意味だ、そのまま取ってくれて構わん。十二神をお前達に任せるべきかそうすべきではないか、それを決めたいと思ってな」


「なっ」


予想の遥か上の意味だと知ったじゃ十一神は驚き戸惑う。一神は何の反応もせず唯傍観していた。


「王よ。何故その結論に至ったか教えて頂いても」


水瓶座を司るヒュードロコオが願いでる。


「もちろん。それは世がお前達に酷く失望したからだ」


先程まで笑みを絶やさなかった王が軽蔑の目で十二神を見つめる。


「ある者は酒に溺れ、ある者は女に溺れ、ある者は傍観し、ある者は正義心に囚われ他者を傷つけ、ある者は弱者を痛めた。お前達は自ら与えられた使命を果たすことなく、自らの欲を満たす日々を過ごした。そんなお前達にその座は相応しくないと思ってな。どう思う、お前達」


王の問いに誰一人口を開く者はいなかった。沈黙は肯定だと認めていた。


十二神はここ数百年の生活を思い出していた。十二神の日々は王の言った通りで昔は違ったのにと。あの頃は使命を果たそうと毎日忙しかったが、いつしか少しずつ手を抜き出し、そこから一日だけもう一日だけと休みを繰り返していたら、いつしか何もしなくなった。


十二神は自分達が使命を果たしていないことは承知の上だったがこんな大事になるとは思ってもいなかった。

「お待ちください、王よ。確かに我らは自らの使命を放棄していました。ですが、使命の一つである人間を救え、導けは本当に必要でしょうか。人間は本当に救う価値のある者でしょうか。導くだけ無駄ではないでしょうか。私には人間が醜い生き物しか見えません」


タウロスが非は認めるが、使命を果たさなかったのには理由があったのだと。


「タウロスよ、確かにその通りだ。人間は傲慢で愚かで醜い生き物だ。だが、それがどうしたと言うのだ。我らは神。神は卑しき者達を導かねばならん。人の上に立ち神として崇められている以上使命を果たさねばならん。それが我ら神の務めであり生きている意味でもある。我ら神が使命を放り投げるということは死を意味する。今のお前達は生きている意味はないというこだ」


この瞬間十二神は王が本気で自分達をその座から引き降ろすつもりだと悟った。


ある者は絶望し、ある者は傍観し、ある者は怒りを露わにし、ある者は新たな人生を想像していた。


「安心しろ。世は寛大だから一度だけチャンスを与えよう。例えお前達が人間と同じ傲慢で愚かで醜い存在になろうと、王として救いの手を差し伸べよう」


チャンスという言葉に傍観していた一神以外の十一神の目が変わる。


「但し、その手を取れるのは一神のみだ。お前達の誰にチャンスを与えるべきか世には判断が出来なくてな。お前達で誰に与えるべきか教えてほしいのだ。何そう難しい顔をするな。簡単なことだ。相応しいのは自分だと証明すればいいだけだ」


王の悪い癖がでたと思う十二神。これが、ただの証明ならどんなにいいだろうと考える。王のおふざけが簡単な筈が無いと長年の付き合いで知っている。


「詳しいことは使いの者に説明させる。7日間時間をやる。これから、どうすべきかゆっくり考えろ」


そう言うと王は光に包まれて姿を消す。

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