発症4日目 早速のパワハラだが相手もセクハラだと思っているらしい
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「えっ。こんなオジサンなの?」
この国の第一王女で王位継承順位一位ながら、中立国ウクライのゼレン王の孫娘だ。この国王は帝国の軍事機密を横流しすることで魔族の国家との中立性を維持しているという噂の人物らしい。
この女性をパートナーに最終ゲストとしてパーティー会場へ向かうという。
「オジサンで悪いか!」
何度も何度も年齢のことばかりで嫌になる。相手は16歳で娘と同い年だ。娘ともそうだったがこの年代の女性たちと会話が成り立ったことなどない。訳も分からず軽蔑の視線を向けられる。
「私は魔王討伐した貴方と結婚しなければ王位継承の芽はないのよ。無理ゲーなうえにエロ爺だなんて。」
誰がエロ爺だ。流石に何度も勇者召喚を行っている国の王族だ。乱れた日本語を使ってやがる。しかも黒髪で幼児体型だ。王族には日本人の勇者の血が混じっているのだろう。
「うるさい。勝手に決めるな。発育不良のガキに興味ねえよ。」
娘と同い年の女に手を出すはずもない。年齢も合わなければ性格も合わない。しかも好みのタイプでもない女と政略結婚させられるためでは頑張る気力も起きないな。
「じゃあ、どうするっていうのよ。」
「条件の良い新興貴族と専属契約でも行うかな。」
「私よりもかわいい、適齢期の貴族令嬢は居ないわよ。」
「女が目的じゃねえよ。」
「えっ違うの? 歴代の勇者は能力よりもかわいい顔の女性のメンバーを優先的に討伐隊に入れていたわよ。」
召喚時の年齢が若く何年も掛けて成長していくならば、恋人になってくれそうな女性のほうが嬉しいのかもしれない。だが試算では1年以内に1人前になる必要があるのだ。シッカリと教えてくれそうでキッチリとサポートもしてくれる人材が欲しいのだ。
「そんな男ばかりじゃないぞ。むしろ50代60代の経験豊富なメンバーのほうが良い。」
「お婆ちゃんとエッチするのが好きなの? 変わった趣味ね。」
「違うだろ。そういう経験豊富じゃなくてだな、知略戦略経験が豊富な女将軍とか。女とエッチするよりも魔法の研究が好きな魔導士とか居ないのかよ。」
「退役済みですが平民出身のスワン・ガストロフ元将軍は如何でしょう?」
「オーガスタ侯爵に地位を追われたスワンね。短期的にみれば凄い戦力だわ。しかし、首を縦に振るかな?」
高位貴族に嫌がらせを受け、配偶者に逃げられ子供が引きこもりになったらしい。平民出身と下位貴族で構成する第6騎士団から第10騎士団を束ね、特に平民出身の騎士からの信頼は絶大だったらしい。
「そこは勇者に口説いて頂ければ。」
とりあえず当たって砕けろ。いや数打ちゃ当たるかな。少なくとも目の前の女に関わっているよりはマシなはずだ。




