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発症1日目

お読み頂きましてありがとうございます。

 いよいよ本格的な隔離生活が始まった。朝食を差し入れて貰う。共働き世代ということもあり、休日の食事は自分の担当、凄く新鮮な気持ちだ。その分、妻は大変だが、そこはお互い様と割り切って貰うしか無い。


 室内は空気清浄機と空気清浄機機能付きエアコンを循環させている。床は畳敷きだから療養期間後、掃除およびアルコールスプレーによる除菌を行うつもりである。


 夏場なので布団は1ヵ月くらい使わなくても大丈夫なため、袋詰めしておくことで細菌が死滅すると思うが毎日使う枕はそうはいかない。廃棄する事を前提にネットショッピングサイトで注文した。


 枕は持病の無呼吸症候群で横向きで寝る必要があるため、妊婦向けのC型を使う必要があり結構高価なので痛い出費だ。だがコロナの症状である鼻水、鼻づまりの呼吸困難に直面した際、呼吸が楽になる効果を現してくれたので妻にも勧めるつもりだ。


 診療時間開始に合わせて、連絡を入れてみると午前の診療時間終了間近を指定された。しかも予約時間直前に連絡が入り、医院の前まで行ってから携帯電話で連絡を取り合う徹底ぶりだ。普段、医院を使う利用者としても安心できるシステムとなっている。


 診察室とは別の部屋に通される。椅子が2脚とビニールの衝立、大型の空気清浄機が置いてあった。まずは看護士さんからの聞き取りが行われ、しばらく待った後、完全防備の姿の主治医が現れた。


 症状の聞き取りが行われ、長い綿棒を鼻の穴に入れられる。インフルエンザの検査と全く同じだ。最悪、自分で採取する可能性も考えていたのだが、あっさりと検査が終わる。ものの数分で結果が出た。陽性だ。


 その後は再び看護士さんと交代した。コロナ治療の薬セットを用意しているというので、いつも咳風邪の際に追加して貰っている気管支拡張作用のあるテープをお願いするとあっさり了承が返ってきた。


 この後は自治体の保健所からSMSで案内が送られてくるらしい。厚生労働省の専用サイトへ登録するための番号が送られてくるという。そのサイトへ日々の症状を登録するのだ。


 検査費用を会計で払い、薬局に向かう。


 同じビルにある院外薬局の外に衝立と椅子が置いてあり、そこで薬を受け取る。看護士さんたちもそうだが薬剤師さんたちも全く焦った様子もなく懇切丁寧に説明してくれる。流行から2年経過していることも大きいだろうが、プロらしいその姿に感動を覚える。


 妻に昼食を用意して貰い、薬を飲む。特別な薬では無い。一般的な風邪の対症的な薬ばかり、唯一解熱薬が500mgのもので見たことが無かったくらいだ。生産が追い付かないと聞くから効率を重視しているのだろう。


 療養生活の仕方で風呂は最後と記載されていたが、ニアミスがあっても怖いので昼間にシャワーを使うことにする。風呂場の入口までは手袋を使い、マスクをする。


 発熱したこともあり、酷く発汗しており気持ち悪かったのが洗い流される。簡単に済ませるつもりだったが、垢がメチャクチャに出る。コロナ感染で皮膚のターンオーバーも異常をきたしているのだろう。


 身体を洗い、シャンプーを行ってから風呂場を出る。バスタオルで身体を拭うと直ぐに手袋を着ける。当然マスクも着ける。ここまで行ってからドライヤーを手に持ち、髪の毛を乾かす。あまりにもマヌケな姿だが家族へ感染させないためだ仕方ない。


 そのマヌケ姿のまま、吸入を行う。俺が使っている吸入ステロイドはコロナ初期に感染した豪華客船の乗客たちにも使われ、効果を発揮した抗ウイルス剤なので朝夕必ず行うことにしている。それによってコロナが早く治療され症状が無くなったと言っても国が決めた療養期間は変わらないのだが・・・。


 その後はアレルギー鼻炎のための点鼻薬を使い、うがいを行う。うがいは口を蓋してのブクブクうがいだ。洗面所へ飛沫をまき散らさないためである。


 そうして意外と体力が必要だったシャワーを終わらせ部屋へ戻る。体力を温存するため、寝ることにする。前夜、何度も起きて熱を測ったため殆ど寝ていなかったのだ。


 夕食の時間まではぐっすり寝られたのだが、夕食を済ませるとさすがに暇になる。コロナのことをネット検索しても気が滅入るだけなので最低限だけにする。仕方ないのでタブレットで漫画アプリを起動する。療養期間の10日間で1万円まで課金してOKと決めた。


 そこにSMSが送られてきた。厚生労働省からだ。


 意外と早かったと思ったのだが厚生労働省が配布しているコロナ感染症専用アプリへの陽性登録の案内だった。本当に欲しい保健所からのSMSを先んじての陽性登録SMSなのだ。


 ウザイ。欲しいSMSを待っているときに案内されると余計にウザイ。


 残念ながら専用アプリはインストールしていない。少なくとも数日前にインストールしている必要があったらしいので無視することにする。


 しかし、この順番で案内したら陽性登録してくれるはずだった人もしたくなくなるに違いない。


 陽性者からすると、どう考えてても保健所からのSMSが優先だ。俺は症状が少ないが症状が多く重症化が心配な陽性者からすると命綱なのだ。反感を買う順番じゃないだろうか。

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