発症0日目
お読み頂きましてありがとうございます。
コロナ初陽性記念。転んでもタダでは起きないのが小説家の宿命(笑
その日は、朝から喉がイガイガしていた。でもこの程度ならシップを長時間貼り続けてもなるし、アレルギー性鼻炎でもなる。
終業後、主治医で吸入剤と点鼻薬と睡眠薬を貰ったときに非接触型体温計でも平熱だった。
自宅に帰り、食事を摂った後、急な発熱だ。まるでコロナワクチンを打ったときのように全身アチコチで体温が違うのだ。非接触型体温計の使用を諦め、脇で挟むタイプで測ったところ、38度を超えていた。
コロナだ。そう直感した。全身アチコチの体温の違いはワクチンにより身体が抵抗しているに違いない。
すぐに自己隔離に入る。まずはポリエチレン手袋を持ち込む。共用部分の取っ手など同居人が触って感染させないために必要だ。もちろんマスクも必要だが、在庫分が感染に晒されるのを避けるため、自室を出たところに置く。
後はゴミ袋、室内で分別できるように資源用と可燃用、そして感染元となるティッシュなどを捨てやすいように可燃用の小袋を用意した。
幸いにも同居人は外出中で発症前後の接触は無かった。
SNSは便利だ。家の中で接触したところも細かく伝えられる。だが既読が付かない。濃厚接触者扱いされる彼女たちが誰かとお喋りに夢中で気づかない。
拙い。どう考えても拙い。仕方なくスマートフォンを鳴らすと不機嫌な声。
だが要件を伝えると緊張した声に変わった。
コロナ下でお互いに急な発熱による自己隔離は経験済みだ。今何をしなければいけないか頭の中で計算しているのだろう。
トイレ、風呂、洗面所は共用するしかない。マスク、手袋姿で部屋の外に出てトイレを使う。冷蔵庫から小型の水筒にお茶とイオン飲料を小分けにする。製氷の残量が少ない。SNSで書き込む。
彼女たちが帰ってくるとSNSで情報のやりとりだ。コロナ下が長いため、食糧の在庫が無い。とにかくチンするご飯と薄味の総菜をお願いした。
手持ちの解熱薬を使ってみるが、あまり効きが良くない。後で聞いたことだがこの解熱薬、市販品だと成分が300mgと少なく成人男性は400mg以上必要なのだそうだ。
深部体温だけ高い状態が続く、脇に保冷剤を挟む。氷を混ぜたイオン飲料を飲む。どこかのサイトに載っていた手のひらを水に浸けるという熱中症対応を実践していくと平熱まで下がった。
それも一時のこと、すぐに熱は上がってきたが非接触型体温計と脇で測った体温計の差は0.5度と一般的な数値に落ち着いてきた。どうやら昼間に脇に塗った制汗剤が悪影響を及ぼしているらしい。
自治体のサイトによると内科の主治医の医院も外科の主治医の医院もPCR検査を実施していると公表されていた。
内科の主治医の医院はコロナの流行直後から医院内をゾーン制に分けて発熱外来を行っており、未だにコロナ治療に消極的な病院が多い中、積極的に治療を行っておりコロナ治療薬の臨床試験にも参加している。
外科の主治医の医院はビルの1室にあるためゾーン制は分けられないようだった。内科も外科もこなす町医者的存在でコロナワクチンこそ積極的に宣伝していたがPCR検査を行っていると公表していたのは知らなかったのだ。
迷いに迷って外科の主治医のところへ行くことにする。理由はコロナ治療薬の臨床試験を勧められたく無かっただけである。既にコロナワクチンの効果が出ている症状であることも大きい。F社のワクチンを2回接種したあとM社のワクチンをブースター接種したことは間違いでは無かった。
異世界転移されるまでは、ほぼ実話です。
今日は1時間おきに4話投稿しています。