98話 小さくなっちゃった・その2
どうにかみんなをなだめて、冒険者ギルドに行ってナタリーさんに相談をした。
小さくなるとか、そんなバカな、と笑われてしまう。
なので、実際に家に来て見てもらうことに。
「あー、タニアずるーい! 私もつみきで遊ぶ!」
「ダメよ、あたしはいま、げーじゅつさくひんをつくっているんだから!」
「……小さくなっていますね」
現実を見て、ナタリーさんが真顔になった。
「すみません。たぶん、あの壺のせいですね……普通のものだと思っていたんですけど、魔道具だったのかもしれず」
「これ、どうしたらいいかな……?」
「うーん……ギルドでも壺の検査はしていたんですよ。淡い魔力反応はあったものの、それは模様をつける時にできたものと思われていて……強力な魔力反応はなかったので、カナデさん達が小さくなってしまったのも一時的なものだと思います。たぶん、数日で元に戻ると思います」
「数日……か」
よかった。
これが一生、とかだったら途方に暮れていたところだ。
「壺を貸してくれませんか? ギルドの方でもう一度調べて、早く元に戻す方法を探ってみるので」
「お願いします」
ナタリーさんは壺を受け取り、できるだけ早く連絡をする、と言ってギルドへ戻っていった。
「さて……俺は俺で、やることをやらないとな」
みんなが元に戻るまで、しっかりと面倒を見ないと。
子育ての経験なんてないけど、なんとかするしかない。
でも……うん、たぶん大丈夫だろう。
みんな、いい子だ。
いたずらをすることなんてないから……
「あーん」
「うわあああ!?」
ニーナが小さな積み木を食べようとしていた。
「ダメだ、ニーナ! それは食べ物じゃないから!?」
「ふぇ……」
慌てて積み木を奪い取ると、ニーナの顔が歪む。
なんでそんな意地悪をするの? という感じで、どんどん涙が溜まり……
「ひっく、うぇ……うぁあああああん!」
「ああ!? ご、ごめん、ニーナ。意地悪をしたわけじゃないんだ。ただ、積み木は食べるものじゃないから……」
「あうううううっ、うぅ、あああああぁん!」
慌ててニーナを抱き上げて、優しく揺らしてみる。
「ごめんな、ニーナ。ほーら、怖くない怖くない」
「うううぅ……ひっく、ぐすっ」
よかった、なんとか泣き止んでくれた。
泣き止んだニーナは、俺の手から積み木を奪う。
これは私のもの、というような感じで、両手でしっかりと握った。
ちょっと心配だけど……
口に運ぶ気配はないから、たぶん、大丈夫だろう。
「えっと、他のみんなは……」
「うあああああぁんっ、タニアがいじわるするー!」
「カナデのほうがいじわるよっ、うえええええぇんっ!」
「いつの間にケンカを!?」
カナデとタニアが泣きながらぽかぽかと相手を叩いていた。
いや……
ぽかぽかじゃなくて、ドカンバキン?
幼くても最強種だから、その力はとんでもない。
「あぁ!? 周囲の家具が!?」
二人のケンカに巻き込まれて、ドタンバタンと……
って、いやいやいや!?
家具じゃなくて、家の倒壊の危機に発展しそうな勢い!?
「か、カナデ! タニア! 落ち着いて、落ち着いてくれ」
「……ふぇ」
「……あぅ」
慌てて大きな声を出してケンカを止めようとするのだけど……
それがいけなかったらしく、カナデとタニアが涙目になる。
「うあああああんっ、レインがおこったー!!!」
「あたし、なにもわるいことしてないのにー!!!」
「あああぁ!? いや、俺は怒ったわけじゃなくて……」
「「うあああああぁんっ!!!」」
泣き声も強烈で、空気が振動して窓が割れてしまいそう。
最強種の泣き声はそれだけで兵器になりそうだ。
「おねーちゃん、レインがカナデとタニアをなかしたよ?」
「わるいレインですね。ソラたちはにげておきましょう」
「うん!」
「まって!? 俺は別に、みんなに危害を加えるなんてこと欠片も考えてなくて……」
「「うあああああぁんっ!!!」」
カナデとタニアが泣いて、
「あ、やばいでー」
「ひっく、ぐすっ……」
二人の泣き声につられるように、ニーナも再びぐずりだしてしまう。
ティナがなんとかしようとしているものの、効果なし。
「「「うあああああぁんっ!!!」」」
「うぅ、ウチ、やくにたたん……ダメメイドや、うあああぁんっ!」
ティナまで泣き出してしまい……
「こ、これはどうすれば!?」
収拾がつかず、ただただ慌ててうろたえることしかできなかった。




